パスタの乾麺を2つに折ろうとしたとき、真ん中できれいに折れずに、複数の細かい折れくずがキッチンに飛散するといった経験はないだろうか。何でもないような日常だが、実はここに面白い研究結果がある。
なんでも、パスタを半分に折ろうとすると3つ以上に折れてしまうというのだ。普通に生活しているだけで、いろいろなことに好奇心を抱いてしまうのは、物理学者の性であるが、よもやここまでとは…
そんなこと疑問に思ったことすらない! という方はぜひ、自宅のキッチンでパスタの両端をもって、2つに折るつもりで力を加えてみて欲しい。3つ以上に割れることがわかったら、キッチンを掃除してこの雑学記事を読んでみるといいだろう。
【面白い雑学】パスタを折ると3つ以上に割れる理由とは?
【雑学解説】パスタを3つ以上に折る「たわみの波」
この現象について最初に疑問をもったのは、アメリカの物理学者、リチャード・P・ファインマン。量子電磁力学という難解な理論を解明し、ノーベル賞まで受賞した実績をもちながら、何を思ったか、パスタの割れる数についての疑問を世界に投げかけた。
天才肌としても知られるファインマンであったが、パスタの割れる数の解明には困難を極め、ついにその理論を解き明かすことなく、1988年にこの世を去ってしまう。一瞬でも世界に問いかけられた「パスタ問題」はこのまま解き明かされることはないのかと思われた。
時は流れ2005年。ファインマンが残した謎はアメリカから遠く離れた地・フランスで、2人の物理学者によって解き明かされることとなる。
フランスの物理学者、バジル・オードリーとセバスチャン・ノイキルヒは「ひびの連鎖による細い棒の破砕」についての研究論文を発表する。ここでいう“細い棒”とはもちろんパスタのことである。
2人はこの研究のために「カタパルト実験」という実験方法を編み出した。カタパルトとは投石機のことで、実験方法はパスタの片端を固定して反対端に力を加えていくというものであった。
この実験によれば、限界まで曲げられたパスタは当然に折れ、1つ目の分裂が発生する。このとき片端を固定されたパスタにはまっすぐに戻ろうとする力により「たわみの波」が発生する。
この「たわみの波」が固定された片端で突き当たり、折り返してくるときに後から来た波とぶつかり強い力を生み出す。この波と波がぶつかったところで2つ目の分裂が起きるというのだ。
2人が発表したこの論文はノーベル賞とはいかなかったが、「イグ・ノーベル物理学賞」という「人々を笑わせ、考えさせてくれる研究」に贈られる賞を受賞した。
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【追加雑学】パスタを2つに折る方法は存在する?
では、パスタをきれいに2つに折ることはできないのだろうか? 学者という生き物は常に、世の中の仕組みに疑問をもつ生き物である。今回、この結論に疑問をもったのが、MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者、ロナルド・ハイザーとエドガー・グリテロである。
ロナルドとエドガーはパスタを完璧に2つに折ることに試行錯誤を繰り返し、パスタに「ひねり」を加えることで「たわみの波」の影響を減少することができることを発見。専用の「折り曲げ機」まで作成して行われた方法がこうだ。
まず、パスタの両端を固定する。固定したパスタに270度以上の「ひねり」を加え、秒速3ミリメートルずつ曲げていく。すると、通常状態で曲げたときに発生する「たわみの波」の影響が減少し、キレイに2つに割れるとのこと。
しかし、この方法。人間の手で行うには並外れた握力と、変幻自在の関節の柔らかさが必要で、とても一般の家庭でできるものではなかった。
2人は今回の研究で「亀裂形成の理解を高めることや、多繊維構造・人工ナノチューブなどの棒状素材の骨折を制限すること」が見込まれると話し、一見、使いどころのなさそうな研究も、医療の現場などで活用できる可能性を示した。
「パスタを折る」雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。
パスタがうまく2つに割れない理由は、折れた反動から発せられる「たわみの波」によるものであった。これは「ひねり」を加えることで解消され、2つにキレイに割ることも可能だという研究結果が出ている。
ただ、自宅で実行するには専用の「折り曲げ機」を作るところから始める必要があるだろう。