世界最大の花・ラフレシアの名前をあなたも一度は聞いたことがあるだろう。
名前の雰囲気的に、可憐で美しい花をイメージするだろうか? ポケモンのラフレシアは可愛いし…って? 実際のラフレシアは、そんなイメージを平気でぶち壊してくる近寄りがたい花である。
なんし臭い。その臭いは死臭のようとも例えられ、さらに人食い花だなんていわれもある。かなり怪しい感じの花なのだ。
美しくも可愛くもない…。でも、人には怖いもの見たさという感情がある。ちょっと怖いからこそ、見たくなってしまうものなのだ。
今回はそんなラフレシアの雑学を紹介しよう。
【面白い雑学】世界最大&世界一臭い花「ラフレシア」とは?
【雑学解説】世界最大の花が怖い…その大きさ1m級!
ラフレシアは、ラフレシア科ラフレシア属の全寄生植物。世界最大の花と名高く、東南アジアの島々やマレー半島を中心に十数種類が生息している。
大きさは大きい物だと直径90cmほど。最大級は「ラフレシア・トゥアンムデ」という種類で、2020年1月にはインドネシア西スマトラ州にて、最高記録の直径111cmの個体が見つかっている。
【巨大】ラフレシア、過去最大「111cm」の個体を発見 インドネシアhttps://t.co/P5mPGBQjjp
見つかったのは直径111㎝のラフレシア・トゥアンムデ。この花はわずか1週間ほど開花した後、枯れてしまうそう。 pic.twitter.com/ucfhgyyqHM
— ライブドアニュース (@livedoornews) January 3, 2020
濃厚な赤色に白い斑点の花びらが毒々しい…。この花びらの異様さは見た目だけでなく、ほかの植物にはない独特の多肉質で、まるで発泡スチロールのような感触だ。
「ほんまもん?」と、疑いたくなる珍妙なその姿から、ついた花言葉は「夢現(ゆめうつつ)」。夢か現実かわからない不思議な感じということか。なんか不気味だし、やっぱりちょっと怖い…。
また夢現という花言葉には、ラフレシアの貴重さを表す意味もある。ラフレシアは開花までに1年以上を要し、咲いたとしても5日ほどで枯れてしまう。おまけに咲く季節も決まっていないため発見が難しく「幻の花」と呼ばれているのだ。
以下の動画で実際の姿が確認できる。
うん、お世辞にも綺麗とは言い難いな…。
「人食い花」と恐れられたラフレシア
1826年、植民地開拓のために東南アジアを訪れたシンガポールの創設者トーマス・ラッフルズに初めて発見されたラフレシアは、当初「人食い花じゃないか」と人々を恐れさせた。実際は人を食うなんてことはないが、その異様な姿に多くの人は恐怖を抱いたのだ。
トーマスさんは「そんなわけない」といって普通に触り、毒もなければ人も食べないことを証明したというが、正体不明の花によくそんなことできるよね…。
ちなみにこのとき発見されたラフレシアは「ラフレシア・アルノルディイ」という種類で、発見者のトーマス・ラッフルズと、同行した博物学者ジョセフ・アーノルドの名前から付けられた。
…植物に自分の名前が付くのは誇らしいけど、ラフレシアの場合は嬉しいかどうか微妙である。
【追加雑学①】ラフレシアは世界最大の花ではない?
お世辞にも綺麗とはいえないけど、やっぱり世界最大ってのはすごいよね。…と、思うところだが、実際のところ、その称号には怪しい部分もある。
世界最大の花としてギネス認定されている植物は、実はラフレシアではなく、インドネシア・スマトラ島に咲く「ショクダイオオコンニャク」である。
おすすめ記事
-
7年で2日しか花を咲かせない植物がある。デカくてキモくて臭いけど。【動画あり】
続きを見る
その大きさは直径1.5m、縦に長く伸びた部分は3.5mにも達する。これはラフレシアも完敗である。
以下の動画でその姿が確認できる。ショクダイと呼ばれるのも納得の外見。そしてこの花も生臭い…。
しかし、ひとつ補足しておくとすれば、ショクダイオオコンニャクが世界最大と呼ばれるのは、茎と花をつなぐ苞葉(ほうよう)の部分、葉っぱと花序すべてを含めた場合だ。
花序というのは小さい花をたくさんつけた茎のことで、ショクダイオオコンニャクの葉っぱをどけてなかを覗くと、実は小さな花がたくさん咲いている。
つまり、植物自体の大きさではたしかに負けているが、花の大きさではラフレシアのほうが圧倒的にでかい。よって、ラフレシアを世界最大の花とするのもまた間違ってはいないのだ。
…と、私は主張しておく。だって臭いだの怖いだの言われながら、唯一誇れる世界最大の称号も取られては、ラフレシアが不憫すぎるじゃないか…。
スポンサーリンク
【追加雑学②】ラフレシアは世界一臭い…
サイズではショクダイオオコンニャクに負けてしまっているかもしれないが、ラフレシアにはどんな植物も敵わない特徴がひとつある。
…そう、臭いだ。
ラフレシアが人食い花の異名で呼ばれてきたのは、死臭のような臭いを放っていることも関係している。「うっ…この臭い…。人が食われたに違いない!」という感じだ。
この臭いの正体はジメチルスルフィドという硫黄化合物などで、微生物がものを分解するときに出す悪臭成分のそれで、人間の口臭の原因にもなる。そんな臭いをとてつもないレベルで放っているといえば、ラフレシアの臭さも想像しやすいのではないか。
ラフレシアが悪臭を放つ理由は?
とてつもない悪臭を放つラフレシアは、食人植物でもなければ食虫植物でもない。なのに、いったいなんのためにそんな臭いを放っているのだろう。
答えは子孫繁栄のためである。ラフレシアは死臭を放ち、動物の糞や死骸を使って繁殖するハエをおびき寄せる。このハエたちに花粉を付着させてめしべとの受粉を行い、子孫を繁栄させていくのだ!
なるほど、子孫繁栄は生きとし生ける者すべての本能である。そのためなら世界一臭くだってなるということか。
ただ安心してほしい。ラフレシアが臭くなるのは開花しているあいだだけ、つまり2年に一度、5日間ぐらいの話だ。たとえジャングルを歩いていても、不意に激臭に襲われるケースはほぼない。
つぼみの状態じゃまったくの無臭だし、種類によっては咲いてもそこまで臭くないものもある。ラフレシアも繁殖のためなら臭くなるが、いつも臭いのは嫌なんだな。
【追加雑学③】ラフレシアには葉・根・茎がない
世界一の臭いに規格外のサイズ。これだけでもラフレシアの珍妙さは十分に伝わる。
しかし彼らの奇妙な部分はまだある。なんといっても、ラフレシアには通常、花にあるべき葉・根・茎がない。文字通り花しかない花なのだ。
葉がなければ光合成もできないし、根や茎やがなければ土から養分を吸い上げることもできない。
え…それ、どうやって咲いてんの? という話になるが、ラフレシアは全寄生植物で、ほかの植物に寄生して、その根っこから栄養を拝借して咲いている。要するにヒモ。超他力本願な花なのである。
…ほかの植物を踏み台にして世界最大級まで成長するってことだよね?
犠牲のうえに成り立つのは、とてつもない死臭と綺麗とは言い難い見た目…。寄生される植物からしたら迷惑でしかないぞ。
ラフレシアはブドウ科の植物にしか寄生できない
とはいえ、ラフレシアはどんな植物にでも寄生するわけではなく、寄生できるのはブドウ科の植物だけである。そしてそもそもの数も少なく、開花の頻度も極端に少ないため、別に生態系に迷惑をかける存在でもないのだ。
そしてこれもまた気持ち悪…いや、興味をそそる部分で、これだけ珍しい花とあって研究が進んでおらず、どうやってほかの植物に寄生するのかはまったくの謎である。
雑学まとめ
今回は世界最大の花・ラフレシアの雑学を紹介した。
花単体の大きさで1m級を誇るのは、世界でもラフレシアだけ。…しかも世界で一番臭いし、ほかの植物の養分を盗んで成長するというとっても奇妙な生態をしている。
ラフレシアはまさに、世界で一つだけの花なのだ!
おすすめ記事
-
【動画】"キソウテンガイ(奇想天外)"という世界三大珍植物がある。【ウェルウィッチア】
続きを見る