親指ぐらいの大きさの男の子が、お椀に乗って都に上り、お姫様の宮参りの途中で鬼退治をして、負けた鬼は打ち出の小づちを落とした。お姫様がその子に打ち出の小づちを振ると体が大きくなり、最後はお姫様と結婚した、というストーリーの一寸法師。
実は原作の一寸法師は、なかなかの策士であったという雑学を知っているだろうか?
お姫様と結婚するためなら悪知恵だって働かせる一寸法師からは、「え…主人公っぽくない…」と思ってしまうかもしれない。
【面白い雑学】一寸法師の原作のあらすじが最低すぎる。
【雑学解説】一寸法師が姫と結婚するための作戦がヤバい
「一寸法師」の原作が記載されている「御伽草子(おとぎぞうし)」という江戸時代の物語集では、今伝わっている「一寸法師」とはひと味違うストーリーが展開される。
都に上って偉い人のお屋敷で働かせてもらうまでは、私たちが知っている「一寸法師」と大体同じだ。お屋敷で働けるようになった一寸法師は、主人の娘である姫に一目ぼれしてしまう。
ただ、親指ほどしかない自分では、両想いになれることはないということから、一寸法師はある作戦を実行した。
その作戦はというと、姫が寝ているときにお米を口に付けて、「自分が蓄えていたお米をお姫様に盗まれた!」と嘘をつくこと。つまり、一寸法師は姫を罪人にしたのだ!
実際に作戦は成功。自分の娘が盗みを働いたと思い込んだ主人は、一寸法師に任せて姫を追い出してしまった。
訳も分からず罪をかぶせられて、いきなり追い出された姫がなんだかかわいそうだ…。お付きの者も付けられなかったので、一寸法師と2人きりで追い出されることになってしまった。
それにしてもなぜ冤罪とはいえ、お米を盗んだくらいで追い出されるまでの大ごとになってしまったのだろうか?
昔の日本では、お米は財産の1つだった。その財産を盗んだというのだから、大ごとになるのも仕方のないことなのだ。ただ、一寸法師が使った米は、屋敷に貢物として納められていたお米なので、一寸法師の財産ではないのだが…。
ちなみに追い出された後は、舟に乗ってある島に行きつき鬼と出会う。鬼退治をして打ち出の小づちを使って大きくなり、姫と一緒に都へ行き、出世をしたというハッピーエンドだ。
だが、ハッピーエンドといわれても、一寸法師が悪知恵を働かせて姫に濡れ衣を着せたことを考えたら、素直に喜べないのは私だけだろうか?
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【追加雑学】実は育ての親から嫌われていた一寸法師
一寸法師が悪知恵を働かせてハッピーエンドとなったという雑学だけでもなかなかのものだが、他にも原作には今と違うところがある。
原作では、一寸法師は親から嫌われていたのだ。
「御伽草子」での「一寸法師」では、40歳になっても子供ができないお婆さんが、住吉大社で子宝を願って、一寸法師を授かったとされる。
だが、成長してからもずっと親指ほどの大きさだったので、お爺さんとお婆さんは「これはもしかして妖怪の類じゃないのか…?」と気味悪がるように。
最終的には「気味が悪いからどっかにやろう」ということになり、一寸法師にこのことを告げて、一寸法師は都へと行くことになったのだ。
私たちがよく知る「一寸法師」では、ある日一寸法師が「都に行って侍になる」とか「都で働きたい」と自主的に家を出るようになっている。だが、原作では両親から嫌われて追い出されたというのだがら、少々一寸法師がかわいそうに思えてくる。
「一寸法師」の雑学まとめ
「一寸法師」にまつわる雑学をご紹介してきたが、いかがだっただろうか。
物語の主人公と言えば、まるで「良い子のお手本」といえそうなキャラクターであることが多い。だが、原作の「一寸法師」では、主人公の一寸法師が悪知恵を働かせてお姫様を手に入れるという、主人公らしくない展開が繰り広げられている。
その他にも、両親に嫌われて追い出されたという過去もあり、今私たちが知る「一寸法師」は、原作からかなりマイルドにアレンジされていたことが分かると思う。
私たちが知っている昔話は、原作をたどれば意外な展開が描かれているということを、一寸法師は教えてくれているのかもしれない。
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