日本生まれのキャラクターは数あれど、『スーパーマリオブラザーズ』シリーズのマリオほど、世界的に知られているキャラはいないだろう。
2016年に行われたリオデジャネイロ五輪の閉会式では、安倍首相もマリオのコスプレをして観衆を沸かせていた。まさに日本を代表するキャラクターである!
そしてマリオといえば、ライバルの大魔王クッパや、ヒロインのピーチ姫も、登場人物として欠かせない存在だ。そう、今回はこのクッパとピーチ姫に関する雑学である。
あなたはこう思ったことはないだろうか。大魔王がお姫様をさらうのは王道の展開だが…。それにしてもクッパはしつこい。
何度も何度も失敗しながら、なぜあそこまでしつこくピーチ姫をさらうのか。それに、クッパって不思議とそこまで悪いヤツに見えないんだよな…。クッパとピーチ姫の因縁とはいったい…?
【面白い雑学】クッパはなぜピーチ姫をさらうのか?
【雑学解説】クッパがピーチ姫をさらう理由が泣ける…
クッパがピーチ姫をさらう理由について、古くからのゲーム好きには、やはり気になっている人がちらほらいるようだ。
この話題に関し、「The Game Theorists」というアメリカのYouTubeアカウントが検証動画を出し、話題になっている。当記事ではこの動画の内容を元に、その理由をざっくりと解説していく。
全編英語なので、気になる人は自動翻訳などを利用して観るのもいいだろう。
さて、本題のクッパがピーチをさらう理由について、動画では「自身の子であるコクッパたちに、母親のいない辛い思いをさせたくないため、ピーチに母親になってもらおうと思っていた」と結論付けられている。
その根拠は…
- 『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』にて、クッパが孤児だった過去が明かされた
- クッパにはコクッパと呼ばれる子どもが7人いる(『スーパーマリオブラザーズ3』や『スーパーマリオワールド』の中ボス。ウェンディとかモートンとか。ちなみにみんな養子)
というもの。
なるほど…孤児であるクッパに対し、コクッパたちには父親がいるわけだが、7人にもなれば男手ひとりで育てるのはさすがに無理だ。それでは孤児として育った自分となんら変わらない思いを、コクッパたちにさせてしまう…。
そこでクッパは、優しい心をもつピーチ姫に、母親代わりをしてもらおうと考えたわけだ。
さらに『スーパーマリオサンシャイン』では、8人目の息子クッパJr.がピーチを実の母親だと思い込んでおり、クッパが最後に「そうではない」と謝罪する場面も登場した。…泣ける。
これらの作品の背景から、クッパがピーチをさらう理由は、息子たちに不憫な思いをさせたくないからという説が濃厚になってきたのだ!
さらうという強引な手段に出たのは、クッパの不器用さゆえか…? …複雑な事情があったんだな。
…などと、感動するのは、まだ早い。
公式設定ではやっぱりただの悪役
ここまで解説してきたクッパがピーチ姫をさらう理由は、個人の一解釈に過ぎず、公式の設定はまた違っている。
実は初代『スーパーマリオブラザーズ』の説明書に、「キノコ王国の住民は、クッパによる魔法でレンガなどに変えられて滅びた。その魔法を解くことのできるピーチ姫もクッパにさらわれてしまったので、マリオがピーチ姫を助けに行く」との記載があるのだ。
誤解が誤解を生まないように「クッパがピーチ姫をさらう理由」について説明しておくと…
・元々クッパがピーチ姫をさらうのはクッパがキノコ王国にかけた呪いを解く事が出来る存在がピーチ姫だったため pic.twitter.com/L9S6tZDQGG
— IKETO (@NIGOUKUN) October 27, 2015
つまりクッパがピーチをさらうのは、レンガに変えられた住人を元に戻さないためである。
…間違いなく悪の化身じゃねえか。ちょっと感動したの返してくれ。
と言いたくなるところだが、クッパが孤児であることや、子どもがたくさんいることは事実だ。
またこのレンガに変えられた住人を元に戻さないため、という理由が載せられているのは『スーパーマリオブラザーズ』と『スーパーマリオブラザーズ2』だけで、その後の作品ではこの設定は忘れられている。
つまり最初こそ王国を支配する目的だったが、ピーチの優しさに触れるなかで、徐々に「この人を子どもたちの母親に…」という感情になっていったのかも…みたいな解釈もおかしくはないわけだ。
どう捉えるかはあなた次第だが、私はやっぱりクッパは単に悪の化身ではないような気がしている。
…あと、ちょっと気になったんだけど、マリオがいつもジャンプで潰してるレンガって、もしかしてキノコ王国の元住人なの…?
スポンサーリンク
「幼なじみのメロンちゃんに似ているから」という理由も…
沢田ユキオ氏のスーパーマリオシリーズを題材にしたマンガ『スーパーマリオブラザーズ2』では、「ピーチ姫がクッパの幼なじみのメロンちゃんに似ているから、いつもさらっている」という理由が語られたこともあった。
この作品のクッパは幼いころメロンちゃんに「大きくなって、強くなったら結婚してあげる」といわれており、その面影をピーチ姫に重ね、いつも彼女をさらっているのだ。
これはこのマンガだけのオリジナル設定で、任天堂は関与していない。ただ、クッパがピーチをさらう理由が曖昧になっている昨今では、この設定を信じ込むファンもまた多いようだ。
【追加雑学①】クッパの部下に対する器がでかい!
スーパーマリオシリーズが発売され始めた当初、クッパはピーチ姫をさらうラスボスというだけで、具体的にどんな性格をしているかという描写はあまりなかった。
そんなクッパに明確な性格付けがされ始めたのが、96年以降順次発売されている『スーパーマリオRPG』シリーズだ。
同シリーズのクッパは傍若無人な振る舞いで、ときに部下さえも迷惑するほどのわがままっぷりを見せる。しかしその反面、仲間意識が一際強く、それゆえに部下たちは彼を慕ってついていくという描写が見られるのだ。
具体的には…
- 怖くて逃げだしてしまった部下を「あいつにはあいつの幸せがある」と許す
- 裏切って戻ってきた部下は叱るが、決して一味から追い払ったりはしない
- 部下がやられても「お前たちはよくやった」と慰め、「可愛い部下をやられて黙っているわけにはいかん!」と自ら戦いに赴こうとする
などなど、普通に理想の上司である…。
部下に対して偉そうに振る舞うクッパJr.に対し、部下のカメックが「クッパさまが軍団を率いれるのは、仲間を大切にする心と、仲間を惹きつける強い力があるから」と、説教をする場面もある。
考えてみれば、マリオの敵キャラってとんでもない数がいるわけで、それをすべて束ねてるのがクッパだもんな…。たとえ悪の軍団でも、クッパにはそれだけの組織を率いれるだけの魅力があるのだ!
【追加雑学②】ピーチ姫みたいな見た目のクッパ。「クッパ姫」って知ってる?
これまで何度となくピーチ姫をさらってきたクッパ。近年、そのクッパ自身がピーチ姫化してしまったキャラクターが登場したことを知っているだろうか。
その名も「クッパ姫」。一見すると黒いドレス姿のピーチだが、その背中にはトゲトゲの甲羅が。頭にはツノも生えているし、よく見ると牙まである。
実はこのキャラクターは2018年にイラストレーターのayyk92さんが考えた非公式キャラである。
以下のツイートの4コマ漫画がバズり、今ではクッパ姫を模したコスプレイヤーまで出てくるほど。非公式ながらマリオファンのあいだではかなりの人気キャラの座を得ているのだ!
The Super Crown's some spicy new Mario lore pic.twitter.com/7DQe6UXvLQ
— haniwa (@ayyk92) September 19, 2018
ayyk92さんがクッパ姫を考えるにいたったのは、2018年9月に発表された『New スーパーマリオブラザーズ U デラックス』の予告編を観てのこと。
この作品ではキノピオの女の子バージョンであるキノピコがスーパークラウンというアイテムを使い、ピーチ姫そっくりの"キノピーチ"に変身することができる。
そこから着想を得たayyk92さんは、『スーパーマリオオデッセイ』の設定を引き継ぎ、マリオとクッパが同時にピーチ姫にプロポーズして、ふたりがフラれる場面からエピソードを展開させていった。そのなかでクッパがスーパークラウンを使い、クッパ姫に変身するのだ。
要はピーチそっくりになったクッパと、マリオがお互いを慰め合っているというオチである。…ほんとにそれでいいのか、マリオ…。
【追加雑学③】クッパの名前の由来は、まさにあの料理だった
2013年のギネス・ワールド・レコーズが発表した「ビデオゲーム史に名を残す悪役トップ50」において、堂々の1位を獲得したクッパ。世界中に知られるその名前に、どんな意味が込められているか知っているだろうか。
実は…みんな大好きな焼き肉屋のあのメニューだった!
『スーパーマリオブラザーズ』の開発が行われていたころ、スタッフはラスボスのネーミングについて特に頭を悩ませていた。そんななか、お腹を空かせたスタッフが発したこの一言…
「焼肉屋でクッパを食べたい」
というセリフから、「それだ!」となり、クッパという名前に決まったのだという。アイデアって何気ないところから出てきたりするもんだよね。
『マリオパーティ2』においては、「好きな食べ物は?」という質問にクッパが「焼き肉」と答えるシーンも登場する。開発秘話を知っている人からすればニヤリとする場面である。
【追加雑学④】マリオの本名は○○だった!?
さて、ここまで敵役のクッパにばかりフォーカスを当ててきたが、主人公のマリオについても少し触れておこう。
あれだけ有名であるもかかわらず、意外と素性が知られていないマリオ。近年、その意外すぎる本名が明らかになり、話題となった。
2015年に開催された「スーパーマリオ30祭」において、生みの親である宮本茂が、マリオの本名は「マリオ・マリオ」であると発言したのだ!
また、一部の攻略書には、マリオは「謎のイタリア人」と記載がある。つまり、マリオは「イタリア人のマリオ・マリオ」さんというわけだ。なんか…お笑いコンビの「まえだまえだ」みたい。
ってことは、弟のルイージは「ルイージ・マリオ」? 「マリオ!」って読んだらどっちも振り返るやつだ…。
おすすめ記事
-
ねずみ男の本名は"ペケペケ"。その意味がヒドすぎる…。【ゲゲゲの鬼太郎】
続きを見る
-
ジャイ子に本名がない理由は"藤子・F・不二雄の優しさ"
続きを見る
雑学まとめ
今回はマリオの宿敵であり、不屈の人気キャラクター・クッパについての雑学を紹介した。
クッパには孤児を経験した辛い過去があって、息子たちに同じような思いをさせたくない…という気持ちがある…のかもしれないし、そんな感動エピソードはまったくもって見当違いなのかもしれない。
まあ…どうあっても、悪役なのに憎めないクッパの魅力が揺らぐことはない。「こまけぇこたぁいいんだよ!」という気持ちで、これからもゲームを楽しんでいただければ幸いである。