「人魚姫」や「雪の女王」などを作った、童話作家・アンデルセン。貧しい家に生まれ、その人生は苦労に満ちたものだった。報われない恋や、貧しさへの嘆きを描いた、童話らしくないストーリー構成が特徴的だ。
ところで、苦労の多い人生を歩んできたアンデルセンは、超が付くほど心配性だったことを知っているだろうか? 心配性でありすぎたがあまり、アンデルセンは少々変わったことをする人物だったのだ。
今回は、そんなアンデルセンにまつわる雑学を紹介しよう。
【歴史雑学】童話作家アンデルセンの性格は超心配症
【雑学解説】超心配症のアンデルセン。コントのような行動を取る
アンデルセンは「超」が付くほどの心配性だった。どれだけ心配性だったのかを表しているエピソードが、「私は死んでません」というメモだ。このエピソードは、アンデルセンの生涯をまとめた『アンデルセン 生涯と作品』という本にも書かれている。
ある日アンデルセンは、こんな奇妙な話を耳にした。
「眠っているのに「死んでる」と思われて、生きたまま埋葬されたという人がいる」
これを聞いたアンデルセンは、自分の寝顔が死に顔のように見えるのではと思い、「もしかしたら、自分もいつか『死んでる』と思われて生き埋めにされるのでは…!?」と心配になった。
そんな心配をしだしたら、安心して眠れない…! アンデルセンは考えた末に、枕もとの机に「死んでません」というメモ書きを置くことにしたのだ。そうすることで、アンデルセンは安心して眠ることができたという。
ちなみに、アンデルセンは肝臓癌のため70歳で亡くなった。勘違いによる埋葬ではなく、きちんと亡くなってから埋葬されたのだ。
まさにマイナス思考の極みといったところか。超心配性だったゆえの行動が、後世になって笑い話になっているとは、本人は夢にも思わなかっただろう。
スポンサーリンク
【追加雑学①】アンデルセンが恐れた「生きながらの埋葬」とは?
さて、アンデルセンが心配した「生きながらの埋葬」。どうしてこのようなことが起こるのだろうか?
アンデルセンが生きていた19世紀ヨーロッパでは、亡くなった人は土葬(どそう)をすることが普通だった。土葬というのは、日本のように遺体を焼くのではなく、棺に入れてそのまま土に埋めるというものだ。
生きながらの埋葬が起こる理由としては、様々なものが考えられる。アンデルセンが聞いた「眠ってるのに『死んだ』と思われて埋葬された」というものの他にも、医師が「亡くなった」と誤診したためという理由もある。
「医師が誤診するってどういうこと…?!」と思うかもしれないが、当時の医療は今のように発展していない。本当は何らかの症状で仮死状態になっているのに、どう見ても死んでいるように思えるから「亡くなった」と診断してしまうことがあったのだ。
このような生きながらの埋葬は当時の社会的にも注目される問題で、イギリスでは「生者の埋葬を防止するための協会」が作られるほどだった。
また、アメリカの小説家であるエドガー・アラン・ポーは、この問題をテーマにした「早すぎた埋葬」という作品を作っている。
アンデルセンだけでなく、当時のヨーロッパの人たちも「生きながらの埋葬」に関して、恐怖を抱いていたのだろう。
おすすめ記事
-
24時間以内はNG!死後すぐに火葬してはいけない理由とは?
続きを見る
【追加雑学②】他にもある!アンデルセンの心配性エピソード
「死んでませんメモ」は、アンデルセンの心配エピソードの最たるものであるが、他にもアンデルセンの心配エピソードがある。
「外出先、火事などの事件が起こるのではないか…」とアンデルセンは心配した。そうなってしまえば、自分はどうやって脱出したら良いのだろうか…。窓から脱出するとしても、危険も伴う。
そこでアンデルセンが考えた答えが、「外出時にはロープを持ち歩く」というもの。
ロープを持ち歩くことで、窓から脱出する機会が訪れても対応できるというのだった…。
もしかしたら、アンデルセンは生きることに対する執念が強かったのかもしれない。「死にたくない!」と思うのは、人間にとって当たり前のことではあるが…それにしても、行動が想像の斜め上だった。
アンデルセンの雑学まとめ
アンデルセンについての雑学をご紹介した。童話作家のアンデルセンは、超が付くほどの心配性だった。それを表すエピソードの最たるものとして、「死んでませんメモ」の話がある。
今の私たちにとっては笑い話に聞こえるかもしれないが、アンデルセンだけでなく、当時の人たちにとって「生きながらの埋葬」は心配な話だったのかもしれない。
だが、メモを置いて眠ったり、外出中にロープを持ち歩いたりしたというのは普通の人間ならやらないだろう。アンデルセンは、筋金入りの心配性だったのだ。
おすすめ記事
-
童話作家・アンデルセンの生涯がつらすぎ。苦難に満ちまくってます…。
続きを見る