ベートーベンというと、学校の音楽教室や教科書の肖像画にあり、ライオンのようなボサボサな髪に、口がへの字の厳しい顔つきが印象的ではないだろうか。
その型破りな髪型や顔つきから、ベートーベンという人物につきまとう苦悩の痕跡がありありとにじみでており、一瞬見ただけで強烈な印象を抱く。それは、我々が背負っているような苦悩とは次元が違うことと、天才的な芸術家の圧倒的な存在感からくるのではないだろうか。
このように、われわれ凡人とは全く違うと思ってしまうベートーベンに、「念入りに手を洗う癖があった!」なんて、本当なのだろうか? もしそうだとしたら、とても微笑ましい癖だし、ベートーベンもひとりの人間で、私たちとなんら変わらないのだと親近感が湧いてくる。
というわけで今回は、ベートーベンについての雑学をご紹介しよう!
【歴史雑学】ベートーベンはどんな性格だった?
【雑学解説】ベートーベンは不潔なのに潔癖症だった?
ベートーベンは決してきれい好きとはいえない。
髪型がボサボサなだけでなく、作曲に集中し過ぎて服装にも無頓着だったために、浮浪者と間違えられて逮捕されたエピソードがあるほどなのだ。
部屋も「ゴミ屋敷」のようで、足の踏み場もなかったようである。きれい好きというよりは、「不潔」と思って間違いないだろう。
それなのに、手を洗うことには異常なほどに入念であったようである。それは、「癖」というよりは、気になって仕方がないところにだけ必要以上にきれいにしたいと思う「病気=症」。つまり、「潔癖症」だったのだ。
微笑ましい癖というレベルではなく、「潔癖症」と呼べるほど執拗に手を洗っていたので、精神的な疾患があったのではないかともいわれている。
やはり、我々のような凡人とは違っているのかもしれない。
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【追加雑学①】ベートーベンは怒りっぽくて神経質
さらにベートーベンは、強い癇癪(かんしゃく)もちであり、怒ると手がつけられないほどであったという。
そのうえ、とても神経質だったために、ベートーベンからレッスンを受けていた弟子たちが演奏を間違えようものなら、楽譜を破いたり、弟子の肩に噛みついたりしたようである。
本当にたちが悪い。いまでいう、「パワハラ」である。
ほとんどの弟子が次々と辞めていき、この「パワハラ指導」に耐えられる人材がだけが残っていたようだ。
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【追加雑学②】それでも人気があったベートーベン
ここまで調べると、人間的にかなりの問題児であるように思えてくるが、ベートーベンは生前から人々にとても愛されていたようである。彼の葬儀には、大勢のウィーン市民が悼んで集まり、小学校も休校になったほどだ。
それは、その外見や性格からは想像できないロマンティストな部分があるからではないだろうか。生涯何度も恋愛をしており、1812年7月に書かれた「わが不滅の恋人へ」という書き出しの手紙からも、情熱的でロマンティストであることが分かる。
あらゆる困難に立ち向かう強い精神力に満ちあふれた「英雄交響曲」や「運命交響曲」はベートーベンの代表作といえるが、繊細でロマンティックなピアノソナタ「月光」や「エリーゼのために」、「ヴァイオリンのための2つのロマンス」なども同じ作曲者(ベートーベン)なのだ。
この両極ともいえる作品を聴くと、そのギャップがたまらなく、瞬く間にベートーベンの虜(とりこ)になってしまうのは自然のことかもしれない。
「ベートーベンの性格」の雑学まとめ
今回はベートーベンについての雑学を紹介したが、いかがだっただろうか。ベートーベンのことを調べていくうちに、肖像画に描かれるベートーベンとは全く違う印象をもった。
「潔癖症」であったり、恋人に憧れて傷ついてもなお恋愛を繰り返していったりするところは、むしろ人間の弱い部分が出ていて、それがまた彼の魅力を倍増しているように思う。
それゆえに、ベートーベンの作品には人間の感情を揺さぶるような情熱的で悲哀的なものが多く、現在でもなお世界中で愛され続けているのだろう。
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