コンビニでおでんを買うとき、わたしは必ずこんにゃくをひとつチョイスする。大好きな黒こんにゃくが品切れなので、「じゃあ…白こんにゃくで」という場面がよくある。
いや、別に白こんにゃくが嫌いなわけではない。しかし、なんとなく黒こんにゃくのほうがおいしいような気がしているのだけなのだ。味が違うのか? と聞かれると、正直よくわからない。
そもそも白いこんにゃくと黒いこんにゃくは何が違うのか? もしかして原料が違うのだろうか。
ところが、白いこんにゃくも黒いこんにゃくも、原料は「こんにゃく芋」。同じこんにゃく芋から白と黒ができるのはなぜかというと、製法が違うからなのだ。つまり「作り方の違い」で色が変わるということだが、他に違いはあるのだろうか?
今回の雑学では、そんなこんにゃくにまつわる雑学をご紹介していく!
【食べ物雑学】こんにゃくの色に白と黒がある理由とは?
【雑学解説】白いこんにゃくと黒いこんにゃくの違いは?
その色の違いから、使っている原料の芋の種類が違うと勘違いされがちな、白いこんにゃくと黒いこんにゃくだが、違うのはずばり製法のみ! では、それぞれの製法を、こんにゃくの歴史とともにご紹介しよう。
江戸時代以前、こんにゃくといえば黒いこんにゃくだった。これは生のこんにゃく芋をすりおろして作る。このすりおろす過程でこんにゃく芋の皮などが混じるため、黒いこんにゃく特有の黒いつぶつぶがみられる。
また、むかしは凝固剤として藁灰(わらばい)などを燃やした木灰汁(もくあく)を混ぜていたため、全体的に黒い色になった。元々こんにゃくという食品は黒いものだったということだ。
しかし、生のこんにゃく芋は収穫できる時期が限られている。しかも保存がきかず、はやく傷んでしまう。そこで、一年を通じてこんにゃくをつくるため、こんにゃく芋を乾燥させて粉末にし、「こんにゃく粉」を作る技術が江戸時代にうまれたのである。
こんにゃく芋を製粉する際、いままで混入していた皮などの不純物はとれてしまうため、こんにゃく粉から作ったこんにゃくには皮などが混じっておらず、黒くならない。これが白いこんにゃくの誕生の秘密である。
当然、原料のこんにゃく芋は白いこんにゃくも黒いこんにゃくも同じであり、何かを加えているというわけでもない。だから栄養価も味も同じなのだ。製法によって違いがうまれるということがおわかりいただけただろうか。
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現代でも、このように生のこんにゃく芋からむかしながらのこんにゃくを製造しているところがあるので、ぜひ食べてほしい。
黒いつぶつぶが見た目にも趣があり、手作りこんにゃくは表面がざらざらしていて、味が染みやすくおいしいぞ。
【追加雑学①】白いこんにゃくは人気がなかった
現代はこんにゃく粉からの製法が主流だが、これは江戸時代に開発された製法だ。つまり新しいこんにゃく製法だったわけで、当時、人々にとって白いこんにゃくの見た目は「なんじゃこりゃあ!」だったに違いない。
江戸っこたちも最初は「こんな白いこんにゃくが食えるかってえんだ!」という具合だったらしい。発祥の地である江戸でも不人気だったのだから、関西の人々にとって「江戸のやり方」で作られた白いこんにゃくは、とてもじゃないが受け入れがたかった。
「こんなん、こんにゃくちゃうわ!」
そのため、現代でも西日本では黒いこんにゃくのほうが主流なのだそう。細くて白いこんにゃくである「白滝」の生産も9割が関東だ。細いこんにゃくは、関西では「白滝」ではなく「糸こんにゃく」と呼ばれ、やはり色は黒い!
ちなみに、こんにゃく芋の生産をしない北日本では昔ながらの製法になじみがないためか、白いこんにゃくが主流なのだ。商品の流通が盛んな現代でも、地域によってこんにゃくの認識が違うのがおもしろい。製法が違うだけなのに!
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【追加雑学②】黒いこんにゃくが生まれた由来とは?
先述したように、むかし白いこんにゃくは評判が悪かった。せっかくオールシーズンこんにゃくをつくる工夫を開発したのに、売れないのでは本末転倒だ。
そこで、白いこんにゃく粉にわざわざヒジキなどの海藻を加えて、黒い色にしたこんにゃくが登場したのである。
もちろん、今でもこんにゃく芋を丁寧にすりおろして作られる黒こんにゃくもあるだろうが、現代はほとんどがこんにゃく芋を製粉化した製法で大量生産が主流である。
昔ながらの黒いこんにゃくと比較するとなんとなく「グレーこんにゃく」という表現が近い気がする現代の黒こんにゃくは、このように様々な事情からうまれた「ニュー黒こんにゃく」というわけだ。
はて。もしかして、ニュー黒こんにゃくには海藻の栄養やおいしさがプラスされているのでは? だから、黒いこんにゃくのほうがおいしく感じるのか! と一瞬思ったが、どうやらごく少量なため、栄養価や味にはあまり影響がないという。
【追加雑学③】赤や緑のこんにゃくもあるよ【動画】
ちょっと地味なイメージのこんにゃくなので、少しだけカラフルなものをご紹介しよう。こんにゃくは白と黒だけではない! 赤や緑のこんにゃくもあるのだよ。クリスマスカラーだね。
滋賀県には赤こんにゃくがある。精進料理で、刺身に似せて着色したのが始まりらしい。たしかに魚の赤身のような見た目をしている。三二酸化鉄という添加物で着色しているのだが、昔はトウキビの実の皮や食紅を使っていたらしい。
緑色のこんにゃくにはアオサが入っている。アオサは青のりの原料になる緑色の海藻だ。刺身こんにゃくという名前でスーパーなどで見かけることもあるだろう。夏にさっぱりと食べたいなら刺身こんにゃくがおすすめだ。
鮮やかな緑色の刺身こんにゃくを「海藻のかおり♪」とささやきながら、おねえさんがひたすら食す動画でほっこりしよう。
白いこんにゃくと黒いこんにゃく|雑学まとめ
冒頭でも書いたが、わたしはどうも黒こんにゃくのほうが栄養がありそうで、おいしそうだと以前から感じていた。だから、製法が違うだけで、栄養価や味は同じと知って驚いた。見た目に惑わされていたのか…。
ならば、コンビニでおでんを買うときに黒こんにゃくが品切れだとしても、がっかりしなくていいのかもしれない。しかし、この事実を知ってもやはり、わたしは黒こんにゃくを選んでしまうだろう。
それはやはり「なんとなく黒いこんにゃくの方が好きだから!」…これをいってしまってはこの雑学を書いた意味がなくなってしまいそうだが、違いがないからこそ「なんとなく」という感性が影響するのかもしれない。
皆さんはどちらのこんにゃくが好きだろうか?
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