「国」と聞いてまず思い浮かぶのはどんなことだろうか。トップのエライ人がいて、役人がいて、国民がいて、政治とか貿易とか…そんな壮大なことを思い浮かべる人も多いだろう。
しかし、世の中には人口がたった5人の国家が存在するのだ!
今回は、元は一般市民だった男が作った人口5人の「国」に関する雑学を紹介しよう。もしかしたらあなたも、一国の主になれるかもしれない。
【面白い雑学】人口が5人しかいない国「ワイ公国」とは?
【雑学解説】ワイ公国は、国王とその妻と子供たち3人の計5人しかいない
ワイ公国? そんなの社会の授業で習ってない…! という方も多いだろう。
ワイ公国は、オーストラリアはシドニーの高級住宅地・モスマン市にある「自称国家」である。
自称国家は、別名「ミクロネーション」・「ミクロ国家」とも呼ばれる、主要国際機関などには認められていない集団だ。ミクロネーションは、micro「小さい」とnation「国家」を合わせた造語である。
ワイ公国の国家元首は、ポール・デルプラット一世(初代ワイ・デルプラット公)。もともとモスマン市に住んでいた、普通のおじさんだった人だ。職業は芸術家。
国連には当然承認されていないが、モスマン市からは正式に認可されているという。
なぜワイ公国が誕生した?
では、ワイ公国ができた経緯について説明しよう。
1993年、モスマン市は都市開発計画に着手した。すべての家に舗装道路を作ろうという計画で、ポール氏もモスマン市に申請をし、道路が舗装されるのを今か今かと心待ちにしていたのだ。
しかし、いつまで経ってもデルプラット家の道路だけが舗装されない。行政のミスが重なり、デルプラット家からの申請は却下されてしまっていたのだ。
「自分の土地なのになぜ自由にできないんだ!」と激怒したポール氏は2004年、オーストラリアからの独立を宣言。そしてモスマン市に受理され、ワイ公国が誕生した。
「もうこんな国やってられるか!」と行政の対応にブチギレて独立してしまうとは…。かなり型破りな性格だ。
ワイ公国の「ワイ」はアボリジニの言葉
「ワイ」はアボリジニの言葉で「私が」という意味だとか。…とすると、「ワイ公国」は「私が公国」。
「私(ポール公)こそが公国である!」というなんとも大胆な名称である。
ワイ公国について
- ワイ公国(Principality of Wy)
- 面積:700平方メートル
- 人口:5人
- 首都:ワイ(ポール公が命名)
- 最大の都市:ワイ
- 政体:立憲君主制(国王ポール公を頂点に、女王の妻との話し合いで政策方針を決定する)
- 国内の交通手段:エレベーター
- 経済:国王自らが経営する芸術学校の収入
- 外交:モスマン市とは同盟関係
- 国歌:Wy is an Answer
- 通貨:オーストラリア・ドル(ワイブルーンという独自通貨を持っているという説もある)
もはや立派な「国」である。国歌や国旗も、国王自らが制作したそうだ。さすが芸術家…!
国歌の「Wy is an Answer」、訳すと「ワイ(独立)こそが答えだ」。モスマン市に対してかなりを恨みを持っていそうなタイトルである。
そんなワイ公国国王のポール公だが、実はそんなに気難しい人ではなく明るいおじさんで、周辺住民の中ではかなりの人気者らしい。
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【追加雑学】ワイ公国は満たしてる?国家の三要素とは!
ポール氏が独立を宣言し、それが受理されて、ワイ公国ができあがったわけだが、それでは誰もが一国の主になれるのではないか? …そんな疑問が浮かんでくる。
そもそも、国家とは何なのか。
国家の三要素である、
- 領域
- 国民
- 主権
この3つが揃って、初めて国家だといえるそうだ。
まず領域について。「ここからここまでが自分の国だ」といえる空間が必要である。デルプラット家が所有している土地、それがワイ公国の『領域』だ。
次に国民。国家には住人がいなければならない。ワイ公国には国王とその妻の女王、息子1人・娘2人の計5人の『国民』がいる。
そして主権。その国に住んでいる人間が、自分たちのことを自分たちで決められる権力が必要である。ワイ公国の国民はオーストラリアに支配されているわけではないので、『主権』もある。
ワイ公国は、国家に必要な三要素をしっかり満たしていた!
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ワイ公国の雑学まとめ
ワイ公国に関する雑学、いかがだっただろうか。
オーストラリアには、ワイ公国のように国から独立を宣言したミクロ国家が30カ国(はたして完全な「国」と呼んでいいのかわからないが…)ほどあるという。中には国民の数が1,000人を超える「国」もあるとか。
モスマン市をはじめ、各ミクロ国家がある地域の自治体は、彼らの独立を認めているようだ。…なんて寛大なんだ! さすがにオーストラリア政府は独立を認めてくれないようだが。
国際法に準拠した国家になるのはもちろん簡単なことではないが、オーストラリア国内で条件を満たせば、あなたも自分の「国」を作って王様になれるかもしれない…!