ある日の昼、筆者が仕事から帰ると、家族がお通夜のような顔をして焼きそばを食べていた。しかも普段は食欲爆発の息子が半分残して「もういらない」などと言っている! これは非常事態だ。
よく話を聞いてみると、おばあちゃんが焼きそば麺ではなく、間違えてラーメンの麺を買ってきてしまったらしい。「イケるだろ」と作った結果がこれである。しかし残すほどのまずさとは…同じ麺でもそこまで違うものなのだろうか?
【食べ物雑学】焼きそばとラーメンの麺の違いとは?
【雑学解説】焼きそばとラーメン、それぞれに特化した麺
調べてビックリ、焼きそば用とラーメン用の麺は両方ともまったく一緒のブツだった。どちらもいわゆる「中華麺」というやつだ。うどんやそうめんと違い、どちらも色が鮮やかに黄色いので似ているとは思っていたが…。
あの黄色い見た目と独特の風味は、アルカリ性物質である「かん水」という添加物によるものだとか。最近ではかん水不使用の中華麺もあるようだが。
このうちラーメン用の麺は出来上がった中華麺そのもの、生麺である。焼きそば用より日持ちしないことが多いのはこのためだ。また、茹でることを前提に、麺の表面には打ち粉がまぶされている。
一方、焼きそば麺は一度蒸しあげた状態の蒸し麺。すでに火が通っているので、炒めた具やソースと絡ませるだけでも食べられるのだ。ふんわりした歯ごたえで、炒めたときに麺がほぐれやすいよう、表面に油のコーディングがされているのも特徴である。
焼きそばにするには、とにかく調理の前に一度蒸してあることが大切。我が家がお通夜のようになってしまったのは、ラーメン用の生麺をいきなり炒めたことが原因だったのだ。
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【追加雑学①】ラーメン用で焼きそば、焼きそば用でラーメンは作れないの?
結論からいえば、それぞれの特徴を理解して注意を払えば、用途の違う麺で焼きそばやラーメンを調理することは可能だ! ただし、ラーメンに関してはどうしてもおいしさは専用に作られた麺より落ちるし、手間もかかる。
焼きそば麺でラーメンを作るときの注意点は、油抜きと茹で時間だ。まず表面の油のコーティングが気になる人は、サッと湯通しして油を落とす必要がある(コッテリが好きな人は割愛可)。
またすでに蒸してあるので、通常のラーメンのように「茹でる」という感覚で調理すると失敗してしまう。湯通し程度の感覚でサッと茹でるのがポイントだ。これだけ手間をかけても、味がラーメン用の麺に劣るというのは正直微妙である。
そして…意外なことにラーメン麺からは、時間と手間さえかければ、本格店で食べるような激ウマの焼きそばを作ることができるのだ!
【追加雑学②】自宅でひと手間かけると、本格的な焼きそばが作れる
本格的な焼きそば専門店では、注文ごとに生麺を蒸す。ラーメンの麺はこの生麺なので、これで焼きそばを作ろうとすれば、自宅にいながら専門店のクオリティになるわけだ。
しかし食感はゴワゴワと硬く、独特の風味が感じられるので、正直万人ウケする感じではないらしい。しかしこっちの方が、市販の「焼きそば用」麺よりおいしいという人も多く、試してみる価値はある。
蒸し器があるならそれを使って問題なく蒸せるし、ない場合は深めの鍋に熱湯を沸かし、ザルを重ねて蒸すといいだろう。蒸し時間の目安は、袋に表記された茹で時間の2~3倍。蒸しあがったら少量の油を絡ませておくのも忘れないようにしよう。
これなら作れそう!意外と簡単にできる蒸し麺の作り方動画
中華麺を蒸す動画を紹介しておこう。自宅で麺から蒸してみたくなった人は必見だ! なんでも太麺を選ぶのがポイントだとか…これなら簡単に作れそうである。
雑学まとめ
原料はまったく一緒なのに、加熱のあるなしや、表面に施された工夫で大きな差が出る「ラーメン用」と「焼きそば用」の麺。あのとき家族がこの違いを知っていたらと悔やまれるが、せっかちな長男が蒸しあがる時間を待てたかもまた疑問である…。
しかし、生麺を蒸して作る焼きそばにがぜん興味がわいてきた。時間のある昼にでも、太麺を買ってきてチャレンジしてみよう!