日本の夏の風物詩といえば夜に光るホタルである。 「物思へば沢のホタルも我が身よりあくがれいづる魂(たま)かとぞみる」…『後拾遺和歌集』に載っている和泉式部の歌だ。恋に焦がれる魂をホタルの光に見立てている。 1000年も昔の和歌にもたびたび登場するホタル。ちらちらと儚げに光りながら漂うホタルは、はるか昔から雅で風流な虫として日本人の心をがっちりつかんできたのだ。まさにひとつの文化だといえるだろう。 「ホタルの光」に「火垂るの墓」。文学だけでなく歌にアニメにと、多くの人々に親しまれて愛されてきたホタル。ホタル ...