通夜・葬儀へ出席するときに持参する香典。この表書きを薄い黒字で書くのは知っていると思うが、なぜ薄い黒字なのかを知っているだろうか?
できれば通夜・葬儀にはあまり縁がないように過ごしていきたいが、そうもいかない。今回は香典袋の表書きに関する雑学を紹介していこう。社会人のたしなみとしてぜひ、覚えておいてほしい。
【生活雑学】香典袋の表書きを薄い黒字で書く理由
【雑学解説】薄い黒字は悲しみを表すため
現代ではペンという便利なアイテムがあるが、当然ペンがない時代もあった。では、ペンがない時代はどうやって文字を書いていたのか?
ペンがない時代の文字を書く方法…それは墨とすずりである。文字を書くときはすずりで墨をすって書くのが一般的だった。このことをふまえて、香典袋の表書きを薄墨で書くのは次のような意味があるといわれている。
- 訃報を聞き、涙で墨が薄まってしまった
- 涙で書いた文字がにじみ、色が薄くなった
- 涙が流れ出てきて墨をすっても、色が濃くならない
- 突然の訃報で墨をしっかりすっている時間がなかった
このように、薄墨は故人に対しての悲しみを表すという意味が込められているのだ。たしかにしっかりと墨をすって「訃報の用意をしてましたよ」感を出すのは失礼だ。薄墨…。なんて奥が深いんだろう。
【追加雑学①】表書きに薄墨を使うようになったのは江戸時代?
故人への追悼の意味を込めた薄墨。始まりは江戸時代といわれている。といっても正式な資料が残っていないので予想である。
現在のようなペンが使われるにようなったのが、明治時代。墨とを使って字を書くという習慣は明治時代よりもあったため、おそらく江戸時代から墨を調節して書いていたのではないかと考えられている、というわけだ。
薄墨を使わない地域もある
一般的には香典袋の表書きには薄墨を使う、となっているが、京都ではあまり薄墨が使われていない。しかし、京都も最近では薄墨が普及してきているらしいので、ひょっとしたら今後香典の表書きに薄墨が使われるようになるかもしれない。
ちなみに最近では、香典袋の表書きがすでに印刷されている状態で販売されていることから、表書きを薄墨で書く必要がないという考えも広がってきている。とはいえ、まだまだ「香典袋には薄墨を使う」という考えの方も多い。
マナーを知らない人、と思われないようにするためにも親戚・近所の人にあらかじめ確認することをおすすめするぞ。
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【追加雑学②】知っておきたい薄墨を使う場合のマナー
ここからは社会人の常識として、香典袋に関するマナーを紹介していこう。
- サインペンやボールペンを使わない
- 間違えたら新しい香典袋に書く
- 住所や名前はハッキリと書く
上記の項目を覚えておき、さりげなくこなせるステキな大人になろう。そしてここから、プラスアルファのテクニックを紹介しよう。
香典袋の表書き、何にも線がないから、まっすぐに書くのが苦手という人も多いのではないだろうか? そんな人におすすめなのが動画でも紹介しているこの方法だ。
この方法を使えば、まっすぐに書けて美しい仕上がりになる。ぜひ、試してほしい。
雑学まとめ
香典袋の表書きに関する雑学をご紹介してきた。最近ではあらかじめ表書きが印刷されているものもあるため、薄墨のペンを使用する機会が減ってきている。しかし、そんな今だからこそ薄墨が使われる理由を知り、正しく表書きが書ける人は素晴らしいと思う。
できればあまり縁がないようにしたいが、もしものときのために薄墨のペンを用意しておくことをおすすめしよう。