建築現場の人は、なんであんなダボダボなズボン履いているんだろ? と一度は思ったことがあるのではないだろうか。私もある。
「現場作業で鍛えられて足が太くなるから、はじめに大きめのズボンを買っておく。」という中学入学時の制服的な考え方が理由かと思ったが、どうやら全く違うらしい。
今回は鳶職人がダボダボなズボン「ニッカポッカ」を履く理由について調べてみた! 非常に合理的な理由があったのだ!
【生活雑学】鳶職人がニッカポッカを履く理由とは?
【雑学解説】鳶職人にとって重要なニッカポッカの3つの機能
ニッカポッカが鳶職人にぴったりと言える機能が3つある。それぞれお伝えしたい。
抜群の動きやすさ!
ダボダボで動きづらそうと思えるニッカポッカ。実は非常に動きやすいそうだ。高所で足をたくさん動かす鳶職人にはぴったり。ズボンが密着しておらず余裕があるため、かがむのにも足をあげるのにも最適なようだ。
怪我予防になる!
足元にある出っ張りなどの障害物に、脚が当たる前にニッカポッカのダボダボが当たるため怪我予防になる! 鳶職人だけでなく溶接工の職人さんもニッカポッカを履いている。火を扱う時に、ズボンに高温のものが触れても肌が直接当たっていないので、火傷の恐れがないというメリットもある。
風の強さがわかる!
高所作業が多い鳶職人。強い風は高所作業の大敵である。風でバタバタとはためくニッカポッカのダボダボを見て、風の強さを測ることができるらしい! すごい能力だ。自分だけではなく、それを見た他の作業員もわかるようになっている。
何かに引っかかったり、風の影響を受けたり、マイナスに思えそうなニッカポッカのダボダボ。それらのマイナスは鳶職人にとってはプラスで、ニッカポッカが最適な理由であった!
【追加雑学①】ニッカポッカの起源は?
ではどのようにニッカポッカが生まれたのか? 起源はアメリカへのオランダ人移民が履いていたズボンにあった!
オランダ人移民が履いていたズボンを「ブリーチズ」という。もともとはひざ下の長さで裾がしぼられた半ズボンだった。なぜ「ブリーチズ」が「ニッカポッカ」になったのか、それにも理由がある。
1809年、アメリカの作家がオランダ人移民者についての本を著した。その時に使っていたペンネームが「ディートリヒ・ニッカーボッカー」オランダ系の名前だ。
その本が人気になり、オランダ人移民のことをペンネームから取った「ニッカボッカーズ」と呼ぶようになり、挿絵でオランダ人移民者が履いていた「ブリーチズ」が同様に「ニッカボッカーズ」と呼ばれるようになった。
そんな「ニッカーボッカーズ」は動きやすさから、野球やゴルフなどに使うスポーツウェアとして使われるようになった。それが日本に入り「ニッカポッカ」と略されるようになったそうだ!
【追加雑学②】様々なスタイルがあるニッカポッカ
ちなみにこの「ニッカポッカ」には様々なスタイルがある。ダボダボ部分の長さで呼び方が変わるのだ!
ロング7分・ロング8分・超ロング・超超ロング・超超超ロング・4超ロングだ。最後が超超超超ロングではなく4超ロングになったのは、きっと名前をつけた人が冷静になったからだろう。
現場では超超ロングが今は主流らしい。これに安全スニーカーがナウいそうだ。ナウいがすでにナウくないのはわかっているから言わないでくれ…。
【追加雑学③】ニッカポッカが減ってきている?!
そんな機能性抜群のニッカポッカだが、実は使う職人が減ってきている事実もある! ニッカポッカは印象が悪いとして禁止している会社が出てきているようだ。
作業員の誇りでもあるニッカポッカが、何も知らない人には不良少年が履くボンタンと一緒に見えてしまうのかもしれない…。
雑学まとめ
今回は鳶職人がニッカポッカを履く理由についての雑学をご紹介した。素人からはダボダボで危険に見えるズボンが、鳶職人の作業には最適なズボンだったのだ!
ニッカポッカが現場作業に最適な理由を見て、女性はタイツに長いスカートもありじゃ? と思ったが、それだと風が吹くたびにマリリンモンロー現象が起きてしまう…。やっぱりニッカポッカが一番だ。