宴会などの締めとして、「では皆さん、お手を拝借、ぃよ~!」と音頭がかかって手を叩くことはないだろうか?
これを「手締め」というのだが、「1本締め」や「3本締め」といったパターンがある。どちらも似たようなものと思えるかもしれないが、きちんとした違いがあるのだ。
今回は、似ているようで違う「1本締め」と「3本締め」にまつわる雑学を紹介しよう。
【生活雑学】1本締めと3本締めの違いとは?
【雑学解説】1本締めと3本締めは似ているようで全然違う!
手締めの中でも「3本締め」は正式なものである。3本締めは、「パパパン、パパパン、パパパン、パン」を3回繰り返す手締めだ。そのため、3本締めを行う場面は、公式行事などのフォーマルな場面が多い。
それでは「1本締め」はどうだろうか? 1本締めは、簡単にいうと3本締めを1回に簡略化させたものである。フォーマルな場面で使われる3本締めに比べるとカジュアルさがあり、身内の中での宴会の締めとして使われやすい。
「1本締めはよくやるけど、3本締めってあんまりやらないよなぁ」とは思っていたが、使う場面を考えると、なるほどと思える。
ちなみに、「パパパン、パパパン、パパパン、パン」と合計10回手を打つのには意味がある。最後の「パン」をなくして9回の拍手だと、「9=苦」を連想してしまう。そこで最後に「パン」をつけて、「苦」をなくすのだ。
また、最後の「パン」を「点」とみなして、「九」に点をつけた「丸」にするという考えから来たという説もある。いわゆる「丸くおさまる」といったところだろうか。
日本人はこういう言葉遊びが好きだなぁと思えるのは、私だけだろうか? 「9=苦」だから最後にもう1回というのは分かるが、「九→丸」というのは、なかなかユニークな発想だと思える。こういった発想から、あの独特なリズムが生まれたのだろうか。
こういう遊び心溢れる発想は、日本人の言葉に対する繊細さを感じることができて、私は好きだ。
おすすめ記事
-
お座敷遊びだった!じゃんけんは日本で誕生したもの
続きを見る
スポンサーリンク
【追加雑学①】1本締めと間違えやすい「1丁締め」
手締めといわれてイメージするものの中には、「ぃよ~!」と音頭がかかった後に、シンプルに「パン!」と1回だけの手打ちで終わるものをイメージする人もいるだろう。私はこれが「1本締め」と思っていたのだが、実は違う。
1回だけの手打ちで終わらせるのは「1丁締め」という。これは、1本締めをさらに簡略化させたものだ。手締めの超シンプル版といったところだろうか。
解説動画を見つけたので、見てみよう。
動画内でも言っているように、1丁締めと1本締めは間違えやすい。間違えたままだと恥ずかしいことになるので、きちんと理解しておきたいものだ。
ところで、なぜさらに簡略化させたのかというと、手締めをしたくても周囲に迷惑がかかるかもしれない場合があるから。そんなときに、たった1回の手打ちで済む「1丁締め」が使えるのだ。使う場面としては、居酒屋や大きな音を出せない場所が多い。
しかし、「1丁締め」には少々ややこしいことが…。実は「1丁締め」は、関東では「関東一本締め」と呼ばれているのだ。
そう、関東では「1丁締め」は「1本締め」になっている。ややこしい…。呼び名は全国で統一してほしいものだ。しかし、長い時を経て言葉の感覚が定着してしまったので、いまさら変えるのは難しいか…。
【追加雑学②】なぜ掛け声が「ぃよ~!」なのか
1本締め・3本締め・1丁締め、どの手締めでも使われる掛け声が「ぃよ~!」だ。なぜ「せーの!」ではなく「ぃよ~!」なのか? それにもちゃんとした理由があるようだ。
一説によると、「ぃよ~!」は「祝おう」が転じたものとされている。そもそも手締めは、物事が無事に終わったことを祝うためにする風習だ。「無事に終了できたことを祝おう!」という気持ちが転じて、「ぃよ~!」になったと考えられている。
正直私は「『せーの』でも良いんじゃないか」と思っていたのだが、手締めがどういうものか。そして、なぜ「ぃよ~!」なのか理由を知ると、掛け声は何でも良いわけではないのだなと納得できる。
意味があってやってきていたことは、どんどん受け継ぎたいものだ。ぜひとも知らない人に教えたいトリビアである。
1本締めと3本締めの雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。
1本締めと3本締め…回数が違うだけで似ている手締めだが、使う場面が全く異なる。ここで、1丁締めも含めて、手締めの違いをおさらいしよう。
- 3本締め:正式な手締め。フォーマルな場面で使う
- 1本締め:3本締めを簡略化したもの。忘年会など身内の宴会で使う
- 1丁締め:1本締めを簡略化したもの。周囲に配慮がいる場合に使う
こうして見ると、場面に応じて使い分けるための簡略化が行われてきたことが分かる。昔からある風習だが、臨機応変に変化させていったんだなぁと私は思う。こういうところが風習の面白さなのかもしれない。
おすすめ記事
-
役に立つ雑学まとめ30選!トリビア&豆知識を一覧にしました
続きを見る