ひと昔前は夏目漱石や新渡戸稲造の肖像画がおなじみだったように、紙幣は時代を追って改変を繰り返している。そしてそれらはデザインを一新するだけでなく、時代ごとにアルファベットで分類されていることを知っているだろうか。
ちなみに私たちが現在使っている紙幣のほとんどはE券である。このアルファベットの分類を辿ると、戦後からの日本の紙幣の歴史を感じることができるぞ! というわけで今回は、日本の紙幣についての雑学をご紹介しよう。
【生活雑学】日本の紙幣にはアルファベットの分類がある
【雑学解説】戦後に発行された紙幣はアルファベットで分類される
戦後、1946年以降に発行された紙幣(日本銀行券)は、発行時期によってA券~E券に分けられている。分類の仕方は古いものから、アルファベットの順番だ。
- A券:~1950年代
- B券:~1970年代・聖徳太子の1000円札など
- C券:~1990年代・伊藤博文の1000円札・岩倉具視新の500円札など
- D券:1984年~2007年・夏目漱石の1000円札、新渡戸稲造5000円札など
- E券:現在発行されている野口英世の1000円札・樋口一葉5000円札・福沢諭吉新1万円札
今となってはD券ですら珍しく感じるほどだ。A券、B券については実際に見たことがない人のほうが多いだろう。プレミアが付いている可能性もあるので、実家などで見つけたら儲けものだぞ!
ちなみに現在発行されていない500円札は、C券の時代に姿を消した。また2000円札は2003年を最後に製造されておらず、D券のみが存在するなど、需要のなかった紙幣の動向が垣間見えるのもおもしろい。
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【追加雑学①】紙幣には甲・乙の分類もあった
戦後は紙幣をアルファベットで分類するようになったが、それ以前はより日本らしい分類の仕方がなされていたようだ。
- 甲・乙・丙・丁:明治~昭和初期の分類
- い・ろ:戦時中の分類
今となっては「甲・乙」のような言葉を目にするのは契約書や公的な書類ぐらいなものだが、昔の日本では今のアルファベットぐらいなじみのあるものだったのだろうか。
また戦時中は外国への敵対心から野球の「セーフ」すら「よし」と言い換えるほどだ。紙幣の分類に「い・ろ」が使われたことも自然な流れだったのだろう。
ちなみに音楽の「ドレミファソラシド」が「はにほへといろは」とされていたことも有名だ。試しにこれで歌ってみるとめちゃくちゃシュールである。
【追加雑学②】紙幣によっては製造者名の違いも
A券・B券などと分類がされているといっても、実際の紙幣に「A・B」などと書かれているわけではない。しかし発行された時期によって、紙幣には細かな違いがあり、それによって分類を見極めることが可能だ。
現在発行されているE券には、表面の真ん中下側に小さな文字で、「国立印刷局製造」と書かれている。一方、2000円札以外のD券には「財務省印刷局製造」と表記されているはずだ。さらに古い紙幣は「大蔵省印刷局製造」となっている。
時代ごとに発行機関の名前が変わったことで、紙幣の表記にも違いが出ているのだ。
「日本の紙幣」の雑学まとめ
現在は出回っているほとんどがE券なので、日本の紙幣がA~E券で分類されていると意識することはないかもしれない。ただそのアルファベットの流れからは、さまざまに改変されてきた紙幣の歴史を辿ることができた。
日本語からアルファベットへ、そして遠い未来の話だが、アルファベットが「Z」まで完走してしまったら、次はどうするんだろう?