外に出て、待ち伏せしているトラに襲われるかもしれないという恐怖を感じたことがある人はいるだろうか? トラが恐ろしくて外に出ることもできない生活を経験した人はいるだろうか?
21世紀に日本で住んでいる人はそんな恐怖を経験したことはないだろう。その恐怖がどのような恐怖なのか想像もできない。
19世紀後半のネパールやインドの人々はこの恐怖を経験していた。次々と人を襲う人食いトラが出現したのだ。ここではこの人食いトラについて詳しく解説していくぞ。
【動物雑学】400人以上殺したトラ「チャンパーワットの人食いトラ」とは?
【雑学解説】チャンパーワットの人食いトラの恐ろしさとは…?
19世紀後半、ネパールで次々と人がいなくなっていた。ジャングルに入る人が二度と帰ってこないのだ。何十人もの人が行方不明になったにも関わらず、その人たちがどこでどのようになったかはわからないままだった…。
しばらくしてやっと、メスのベンガルトラが犯人だと発覚したのだ。しかし、犯人を特定したからといって問題がすんなりと解決したわけではない。何人ものハンターがこのトラを狙ってジャングルに入ったが、成果はなかった。
そのまま時間が過ぎ、200人以上がトラに殺されて、やっとネパール政府が国軍をジャングルに送り込んだ。いやいや、遅いよー!!
そして、ネパール国軍もトラを仕留めることはできなかった。こんなにも多くの人を殺しながら、隠れたということは相当賢いトラだったに違いない。というか、ふつう…逃げ切れる!?
時間が経ち、ネパールでの被害は突然なくなり、人が消えることもなくなった。そして末長く幸せに暮らしました…とはもちろんいかなかった。
このトラは実は川を渡り、狩場をインドに変えていたのだ。さらにトラは日中に町の人々を襲うほど大胆になっていた。
インドの人々はジャングルに入らなくても殺される。これはまさにホラー映画である。ジョーズよりも怖い…怖すぎる。
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人食いトラがついに撃退される
ある日このトラはいつも通り狩りに出かけ、チャンパーワットという町で少女を殺した。しかし、少女を殺した場所から足跡を残していってしまったのだ。致命的なミス…!
イギリス人のハンターであるジム・コルベットはその足跡を追っていくと、順調にトラまでたどり着いた。そして、そのトラを射殺することに成功したのだ! このトラはチャンパーワットで殺されたため、「チャンパーワットのトラ」と呼ばれている。
チャンパーワットのトラは436人殺したと記録がある。しかし、それははっきりとわかっている人数で、実際はもっとたくさんの被害者がいたと考えられる。人間の殺人鬼を凌駕してるよね、ぜったい…。
チャンパーワットのトラは最もたくさんの人を殺したトラとしてギネス世界記録を持っている。少しも嬉しくない世界記録だな…。
【追加雑学①】どうしてチャンパーワットのトラは人を殺し続けたの?
なぜチャンパーワットのトラは人を殺し続けたのだろう。ハンターやネパールの国軍から逃れられる知能を持っているのなら、人間を襲うのは危険だとわかっていたはず…。人間の味に病みつきになってやめられなくなったのだろうか?
その答えはチャンパーワットのトラの口の中に隠されていた。射殺された死体を検分したところ、犬歯が2本折れていたことが発覚したのだ。
2本の歯が折れたのは、ハンターの射撃が原因である可能性が高いらしい。犬歯なしでは野生動物を狩ることができず、人間を襲うしかなかったと考えられている。チャンパーワットのトラも命がけだったようだ。
【追加雑学②】今もトラに襲われることはあるの?
野生のトラに人が襲われることは、ネパールやインドのジャングルでは今でもあるらしい。
人間が住むためにジャングルを開拓していく一方、トラなどの野生動物は住む場所や餌を失っている。そのため、トラに襲われる事故が報告されるのは決して珍しいことではないようだ。
うーん、自業自得ともいえそうだけど、やっぱり人間側に寄ってしまうな。
雑学まとめ
チャンパーワットのトラが400人以上の人を殺したのは、大きな悲劇。しかし、チャンパーワットのトラも人間を食べるしか生きていく術がなかったようだ。
人間の人口は増え続ける一方。多くの森やジャングルは伐採され、動物たちは住む場所を失っている。これを機会に人間と自然の関わり方について少し考えてみたほうがいいのかもしれない。