この世で1番大きい数字の単位がなんだか知っているだろうか? 京? 無量大数? いやいや、この世にはそれよりもっと大きな数字がある。
京よりも無量大数よりももっと大きいといわれる数詞は「不可説不可説転(ふかせつふかせつてん)」。
なんだか長ったらしい名前である。というか不可説を2回繰り返すのに何か意味はあるのか? 大事だから2回言いました的なノリか?
いったいどんな単位なのか…。今回の雑学では、この不可説不可説転の真相に迫っていこう!
【生活雑学】最大の数詞「不可説不可説転」とは?
【雑学解説】「不可説不可説転」ってどのくらいの大きさ?
無量大数よりさらに大きいとされる「不可説不可説転」。
この単位を実際に使った例というのはない。なぜならこの数字は「華厳経(けごんきょう)」という仏典に出てくるもので、具体的に何かを測ろうとして作られたものではないからだ。
たしかに…同じ言葉を2回繰り返す感じのノリは、どこかお経っぽい。
仏典に出てくるということで、この不可説不可説転は、仏の世界の計り知れなさを示すためのものである。実は無量大数も同じニュアンスの数詞だ。
つまり、仏様の偉大さを表すのに、普通は数えきれないような数字を使うのがわかりやすかったのだろう。いや、お釈迦様なんかはひょっとしたら数えられたのかもしれないけど!
では、不可説不可説転が実際にどんな単位かというと…
10^(3.7×10^37)
=10の(3.7かける10の37乗)
宇宙の年齢(約43京5196兆8000億秒)に10を100,000,000,000,000,000,000(1垓)回掛けた数よりもさらに大きいらしい。
比較するために例を挙げると、無量大数は「10の68乗(0が68個)」だ…。それより大きい宇宙の基本素粒子の数が10の80乗。しかしこれらは、不可説不可説転の足元にも及ばない。
つまり不可説不可説転は宇宙をも軽く超越してしまう数字ということだ!
スポンサーリンク
仏典に出てくる数詞はどれもバカでかい!
このほかにも仏典には無数に数詞が登場し、そのどれもが数えきれない数字を表している。
- 恒河沙(ごうがしゃ)…10の51乗
- 阿僧祇(あそうぎ)…10の54乗
- 那由多(なゆた)…10の60乗
- 不可思議(ふかしぎ)…10の64乗
漢字を並べるだけでなんかカッコイイ。数詞なのに中二心に火を付ける。
ちなみに超意外だが、ジョーカーを抜いたトランプの山の組み合わせは「8.07×10の67乗」通りで、上記の4つよりも大きな数字になる。
トランプには無量大数にも迫る組み合わせがあって、山札を切ってカードがまったく同じように積み重なることは二度とないのだ。トランプすげえ…。
【追加雑学①】「不可説不可説転」よりさらに上!グーゴルプレックスとは?
ここまで、不可説不可説転がいかに大きな数字であるかを説明してきたが、上には上がいるものだ。
遊び心に溢れるアメリカ人は、もっととんでもない単位を生み出してしまった。
その単位とは「グーゴルプレックス」。あのGoogleの社名の由来にもなった単位で、Googleはこの名前に「膨大なデータ量から望みの情報を見つけ出してほしい」という願いを込めているという。
どんな数字かというと…
1グーゴルプレックス=10の10の100乗乗 (1010100)
まったくピンとこないが、一説には、ブラックホールをアンドロメダ銀河ぐらいの大きさにしたら、重さが1グーゴルプレックスになるという話もある。
ちなみにアンドロメダ銀河は、我々の住む銀河系の倍以上の大きさだ。うん、もう意味がわからないのも慣れてきた。
スポンサーリンク
グーゴルプレックスは、アメリカの数学者エドワード・カスナーの甥っ子、ミルトン・シロッタが考えた造語で、彼は「1のあとに疲れるまで0を書いた数」としてグーゴルプレックスを提案した。
カスナーはこれを「疲れるまでっていうのは曖昧だから、もっと厳密に定義して…」と、バカ真面目に考えたわけである。子どもの他愛もない発想に付き合ってくれる、めっちゃノリのいいおじさんではないか!
ということで、現存する最大の数詞は、半分遊びで生み出されたものだったのだ。
おすすめ記事
-
Googleの名前の由来とは?ロゴの秘密と隠しコマンドも紹介!【動画】
続きを見る
【追加雑学②】最小の数を表す言葉は「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」?
最大があれば最小もある。
仏教では、限りなく小さい数を表す数詞も登場しており、これを「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」という。
涅槃寂静は「10の-24乗」で、これは世界最小の細菌・マイコプラズマの全長よりも遥かに小さい。宇宙より大きいことを表すのも壮大だが、限りなく小さいものを表すのもまた壮大…。当然ながら実用性はまったくない。
また涅槃寂静には、数以外にも意味がある。
「煩悩の炎の吹き消された悟りの世界(涅槃)は、静やかな安らぎの境地(寂静)」
というものだ。
…つまり…何も求めないことが一番の安らぎですよーってことか? そして限りなく小さな数字でこの言葉を表している辺り、その欲を無くすことがいかに難しいかを物語っている。うーん、奥深い!
「不可説不可説転」の雑学まとめ
今回は無量大数よりももっと大きな数詞、不可説不可説転の雑学を紹介した。
宇宙をも遥かに超えてしまう壮大なこの数字は、いつか何かの計算に使う日がくるのだろうか…。科学がもっともっと発展して、宇宙の外側のそのまた外側ぐらいまで行ってもまだ足りないかもしれない。
仏様にはそんな世界が見えているのだろうか…。もしかすると仏様にしても単なる遊び心だったりして…。