「お腹いっぱい食べたから、横になってテレビでも観よう!」と思った瞬間、いつも脳裏をよぎるのは、「食べてすぐ寝ると牛になるよ」という母の言葉。慌てて姿勢をよくしてテレビを観るものの、胃や腸の辺りがやけに不快に感じるときがある。
食べた後は寝てはいけない! という母からの教えを何の疑問ももたずにそれを実行していたが、なぜいけないのか? むしろ寝た方が胃腸の調子が良くなるのではないか? と今になって不思議に思うことがある。
今回の雑学記事では、このような昔からの言い伝えである「食べてすぐ寝ると牛になる」の真意を考えながら、なぜこのようなことわざができたのかも解説していこう!
【人体雑学】食べてすぐ寝ると健康になる
【雑学解説】食べてすぐ寝た方が健康になる?
日本人の体の構造から考えても、すぐに横になった方が体に良いとされているし、消化促進の意味でも健康に繋がる。
まず日本人の体の構造から考えてみると、欧米人に比べて日本人の胃は、「鉤状胃(こうじょうい)」や「瀑状胃(ばくじょうい)」の形をしており、胃液や食べ物が胃に溜まりやすいといわれている。
この日本人特有の胃の形を考えると、右の脇腹を下にして横になる方が消化促進に良いとされている。
次に、医学的根拠から考えてみよう! 食べた後というのは、食べ物を消化するために胃腸の周りに血液が集まってくる。食べ物を食べると眠たくなるのは、消化器官に血液が集中して、脳に血液が回らなくなるからだ。
つまり寝ることで無駄なエネルギーを使わずに済むので、消化促進に繋がるのだ。
【追加雑学①】「眠る」のではなく「寝る」
ここで間違えてはいけない点は、「食べてすぐ寝ると牛になる」の「寝る」は「眠る」ではなく、「横になる」という意味ということだ。
「寝る」と「眠る」はどう違うの? と思うのも無理はない。この2つの動詞はどちらも就寝するときに使う言葉なので、同じ意味で使っているからだ。正確には、「眠る」は「眠っている状態のこと」を指し、「寝る」は「寝る動作」のことを指す。
したがって、「寝る」を「眠る」と捉えて、本当に「睡眠」をしてしまうと、胃腸の動きが鈍くなり消化不良をおこし、肥満にも繋がるので要注意だ。
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【追加雑学②】昔はしつけのために言っていただけ
日本人の体の構造や医学的根拠から考えても「食べてすぐ寝ると牛ではなく健康になる」ことが分かったところで、なぜこのようなことわざができたのだろうか。
それは昔の人が、食事をした後にすぐに横になったりするのは行儀が悪いので、しつけのために考えた言葉であるようだ。
では、なぜ牛なのか?
牛は草を食べた後に食べたものを口の中に一度戻して、再度噛みなおすのをご存知の方もいるだろう。それをするときに、体を横にすることで重力を小さくし、食べ物が口の方へ戻りやすくするのだ。
これを人間がすると、もちろん行儀が悪い! ということになるので、「食べてすぐ寝ると牛になる」ということわざができたというわけだ。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。健康に良いとはいえ、子どもが食べてすぐ寝ていると、「食べてすぐ寝ると牛になるよ!」や「行儀が悪いよ!」といってしまうと思う。
なので、食べた後はソファーやリクライニングできる椅子などに体をもたれかけて、体と胃腸を休める。この方法が、健康にも良いし行儀も悪くないので、おススメといえるだろう。