室内の照明の明るさは、家庭の明るさに比例する。
筆者はそんな気がしている。部屋がぱっと明るいと、気持ちまで明るくなるような気がしないだろうか? 反対に、部屋が薄暗く影が落ちていると、なんだか家庭の雰囲気も暗くなる気がしている。
ところが、筆者はイタリアでホームステイをして衝撃を受けた。室内の照明が異様に暗い…! 陽気なイタリア人、家族はうるさ…明るいのに、部屋の照明は暗すぎるのだ。しかし、どうやらこれはイタリアだけでなく、欧米諸国では一般的なようなのである。そこで今回は、欧米の部屋照明の明るさについての雑学をご紹介していく!
【世界雑学】日本の照明は欧米人にはまぶしい!
【雑学解説】日本の照明と欧米の照明の明るさは違う
日本の家は明るい。真っ白い電球を使い、部屋はすみずみまで、こうこうと照らしている。
我々にとって、この明るい照明は当たり前のことであるが、欧米の一般家庭は全く雰囲気が違う。室内はかなり暗めである。テーブルなど、灯りが必要な場所あたりの天井にポツンと間接照明が付けられており、そこだけが照らし出されているような環境なのである。
「いや~ん! こんなに暗かったら、目を悪くするんじゃないの?」日本人ならばそう思ってしまうところだ。しかし彼らにいわせると、「いやいや、日本の照明の方が明るすぎて目を悪くしちまうよ!」なんだそう。欧米では、「照明が明るすぎると目が悪くなる」と考えられているのである。
日本と欧米での室内照明への認識は違う
それではどうして、日本と欧米間でこのような照明に対する感覚の違いが生じているのか?
これは、欧米人とアジア人の瞳の色素の違いによるものだという。われわれアジア人の色素の濃い瞳は光に強いのに対し、欧米人の色素の薄い瞳は光に弱いのだ。同じ光を見ても、人種間で明るさの感度は異なるのである。
さらに、ほかの説もある。それぞれの伝統的な暖房器具の設置場所の違いも、室内照明の差に関係しているのだという。
日本では昔、家の真ん中に囲炉裏が作られていた。それは室内照明の役割も果たしており、部屋の中心からすみずみまでを照らしていたのだった。
一方の欧米では、暖炉が壁に作られていた。部屋の一辺に設置されるので、室内に均一に灯りは広がらず、同じ部屋でも場所によって明暗の差が出る。
このように囲炉裏と暖炉、それぞれの暖房器具によって生み出される灯りの影響も、日本と欧米の照明が異なる理由のひとつといわれているのだ。
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【追加雑学】「温かい」照明を使うイタリア人にとって、日本の照明は「冷たい」
さて、筆者は現在イタリアに住んでいるのだが、部屋の照明には苦労した。こちらの照明は薄暗く、しかもオレンジがかっているからである。
筆者は絵描きなので、この照明だと夜間や天気の悪い日中の創作活動には支障が出る。明かりが暖色かつワントーンほど暗く感じるので、この照明下では絵の具の色の調合ができないのである。しかも冒頭でも述べたように、薄暗いとなんだかテンションも下がる。
こいつは困った…。そこで筆者は、イタリア人の友人・マルコを連れて電球を探しにスーパーに出かけた。
筆者「あのさー、イタリアでも絵描くのに困らないような真っ白い電球って売ってんの?」
マルコ「あー、そりゃ『冷たい』ライトかな? こっちじゃオフィスとかで使うことが多いタイプ」
どうやら、こちらの人たちにとって、日本の一般家庭で使われているような白く明るい照明は冷たいという印象があるらしい。
スーパーに行ってみると、売られていた電球は「温かい(calda)」「冷たい(fredda)」に加えてその中間色と思われる「自然(naturale)」。一般の家庭で使われているのは「温かい」タイプである。
迷った挙句、筆者は「自然」を購入したが、これは日本の照明より若干暗い程度なので、絵を描くには問題のない明るさだった。筆者は使用していないが、「冷たい」電球は日本の照明の一番明るいものに似ていると思う。
ちなみに、筆者が日本に住んでいるときに付き合っていた欧米人も、「日本の照明、眩しいねん」といって、いつも一番暗い照明を使っていた。
しかし、普通の日本のアパートに設置されている直接照明の明かりを暗くしただけでは、欧米の間接照明のようなロマンチックさのかけらもない。「今から百物語でも始めるのか?」と、筆者は思ったものだ。
雑学まとめ
身体的特徴や文化の違いにより、欧米と日本では使用する照明の明るさが異なるという雑学をご紹介した。必要最低限の灯りでの生活に慣れた欧米人が日本にやってくると、室内全部を照らし出す直接照明は眩しすぎるように感じるようである。
しかし最近はエコブームもあって、日本の一般家庭でも間接照明を使用しているところは増えているらしい。電気代を節約したい方は、取り入れてみてはいかがだろうか?
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