ひらひらと華麗に舞う蝶々。
色とりどりのドレスのような、美しい羽をはばたかせて飛ぶ蝶は大人気の昆虫である。苦手な人が多い虫のなかでも、蝶だけは「きれい」「かわいい」ともてはやされている。
セミやカマキリのピアスやブローチをしていたら「こ、個性的だね…」とちょっと引かれてしまいそうだが、蝶のアクセサリーは「かわいい」と受け入れられているのだ。
そんな蝶のなかでも、ダントツの人気を誇るのが「アゲハチョウ」。大きな体と黄色と黒の模様が美しい羽。見つけるとテンションが上がる。
今回紹介するのはそんな「アゲハチョウ」にまつわる雑学だ。
【動物雑学】アゲハチョウのメスは、前足で味覚を感じることができる
【雑学解説】アゲハチョウの前足の味覚は子供のため!
前足に味覚って…エスパー!? って感じだが、もちろん超能力ではない。
メスのアゲハチョウには、前足の先端に「ふ節」と呼ばれる器官がついている。この「ふ節」は科学物質を認識する機能が備わっているのだ。そして、「ふ節」を植物に当てるだけで、その植物に含まれる科学物質、すなわち味を感知することができるのである。
しかし、なぜ前足に味覚が必要なのだろうか?
これには、メスしか行わないある行為が関わっている。産卵である!
アゲハチョウは葉っぱの上に卵を生む。そして、蝶の幼虫である青虫はその葉っぱを食べて育っていく。
だが、青虫も、葉っぱならなんでもいいわけではない。青虫は種類ごとに食べる植物が決まっている。アゲハチョウなら、ミカンの葉だ。
間違えて違う葉っぱに産卵してしまえば命取り。だから、母アゲハは子供がちゃんと育つように、美味しいミカンの葉っぱを見分ける必要があるのだ。
アゲハチョウの葉っぱを見分けるハイテク前足
そこで役立つのがハイテクな前足。産卵真近の母アゲハを観察すると、葉っぱの表面を前足で叩く姿を見ることができるという。これは「ドラミング」と呼ばれる行動で、葉っぱの味を確認している。
子供が美味しい葉っぱを食べて栄養をたっぷり摂れるよう、産むべき葉っぱを前足で探しているというわけだ。
こちらはアゲハチョウの産卵の様子。あの前足でまさに味を見極めているのだろうか?
アゲハチョウは美味しい葉っぱだとわかってはじめて卵を生む。前足の味覚は、子供のために備わった機能だった。なんともほっこりな話である。
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【追加雑学①】チョウの目は数万個!?
エスパーなみにすごい蝶の味覚だが、彼らがすごいのは味覚だけでない。なんと蝶は数万個の目を持っているのだ!
とはいえ、実際に私たちが蝶を見ても、目は二つにしか見えない。数万個の目がびっしり全身についていたら怖すぎる。目がびっしり集まっているのは、私たちから見える二つの目である。
実は蝶の目は、小さな小さなたくさんの目の集合体。たくさんの目があることで、視界がとてつもなく広いのだ。ほぼ360度、同時に見ることができるのだとか。そんなに視野が広ければ、外敵にもすぐに気がつくことができる。
そして、蝶の目のすごさはそれだけではない。
彼らは私たちが見ることのできない紫外線を見ることができるのだ。そのため、蝶の見る世界は私たち人間の見ているものよりもうんとカラフルだといわれている。蝶には世界がよりきれいに見えているのかもしれない。
そんなハイテクな蝶の瞳だが、欠点もある。こんなに視野も広くて見える色も多いのに、視力がとてつもなく悪いのだ。その視力、人間でいうと0.02程度。それでは、外を出歩くのも大変。
ハイテクだが視力の悪い蝶の目。良いのか悪いのか…。
【追加雑学②】チョウにも聴覚ってあるの?
味覚・視覚ときたらお次は聴覚だ。蝶にも聴覚ってあるのだろうか?
その答えはイエス。蝶の羽の付け根には小さな耳がついており、音を聞くことができる。
聞こえる音の周波数はだいたい1000〜5000Hzの範囲。人間の耳で聞こえる範囲がおよそ20〜20000Hzなので、人間に比べれば範囲は狭いが、ちゃんと聞こえている。
人間の男性が話す声がおよそ500Hz、女性の話す声がおよそ1000Hz。蝶は高い音が得意なのかな。女性たちのおしゃべりは蝶の耳にも入っていそうだ。
雑学まとめ
今回の雑学記事では蝶について紹介した。
前足で味を感じるなんてそれだけでもハイスペすぎてかっこいいのに、まさかそれが子供のためのスキルだったなんて…。素敵なママだ。しびれる。
虫も動物も、子を導く親の姿はかっこいい。
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