近年、世界中の平均気温が上昇してきている。いわゆる地球温暖化だ。
熱中症で倒れる人の数が増えたり、南極の氷が溶けることで海水面が上昇したりするなど。人々の生活に関わるほどの環境問題となってきている。
そんな地球温暖化であるが、何も悪い影響ばかりではない。とある研究結果によると、地球温暖化によって、りんごの糖度が上がっているそうだ。
今回はそんな、地球温暖化とりんごの糖度の関係性についての雑学をまとめてみた!
【食べ物雑学】地球温暖化でリンゴの糖度が上がっている
【雑学解説】地球温暖化とリンゴの糖度の関係とは?
2013年8月20日、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の果樹研究所は、地球温暖化によってりんごの糖度が上がっているという研究結果を発表した。
多くの果樹に共通することではあるが、りんごの果樹は気温が一定以上の高さになることによって発芽する。
地球温暖化により平均気温が高くなると、従来よりも早い時期にりんごは発芽することになる。つまり、収穫期に入るまでの成熟期間が長くなり、たっぷりと太陽の恵みを受けられるというわけだ。
りんごの葉は、太陽光を使ってデンプンを合成する。デンプンは果実へ送られる過程で、ソルビトールなどの糖分に変化。デンプンの生産量が多いほど糖分も多くなるので、りんごの糖度が上昇するのだ。
りんごの成熟の進み具合は、「成熟期間の長さ」と「気温の高さ」に比例する。つまり、地球温暖化によって気温が上がったことで、りんごの成熟が進みやすくなった。
甘みを増したりんごができる
りんごの特徴といえば、程よい酸味だ。あれがあるからこそ、口あたりのよい爽やかな風味が生まれる。
成熟前の青いりんごをかじった経験はあるかたは分かると思うが、成熟前のりんごはそれなりに酸含量が多い。しかし、これは成熟するにつれて、その量は少なくなっていくものだ。
さきほども説明したが、りんごの成熟は「成熟期間の長さ」と「気温の高さ」が重要。地球温暖化により、発芽が早まって成熟期間が長くなり、より多くの糖をりんごに作る。
糖度が上がると同時に、酸含量は少なくなっていくため、相乗効果でよりいっそう甘みを感じやすくなるというわけだ。
このように地球温暖化の影響で、りんごの糖度は上がっているようである。
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【追加雑学】地球温暖化はりんごにとってデメリットもある
地球温暖化はりんごの成熟を促進させて、より甘い果実をもたらしてくれる。これは喜ばしいことだ。
しかし、良い影響ばかりではない。少なからず、悪い影響も起きている。
りんごが柔らかくなる
地球温暖化により、りんごの成熟が促進されることで、実が柔らかくなる現象も起きている。
良いところあるかもしれないが、アップルパイやタルトのように料理目的で使われるりんごは、食感の良さが重視される。実の締まったりんごでなければ、加熱料理した時に実がグズグズになってしまう。
紅玉のように、酸味の強さと実の固さが売りの品種にとっては、地球温暖化はデメリットといえよう。
また、りんごの成熟が進むにつれて、中心部にあるミツが少なくなるというデメリットも起きているようだ。
りんごのミツの正体は?
そもそもミツの正体とはなんであろうか。答えは、果実の細胞からあふれた糖液のことだ。
りんごが成熟すると、果実の細胞内に糖分が蓄えられる。完熟期に近づくと、細胞内に糖分がギッシリと詰めこまれるので、新たに生まれた糖分は行き場を失くす。
そして、その行き場のない糖分は、細胞と細胞の隙間に蓄積する。これがミツだ。
地球温暖化とミツの減少、その因果関係は不明だ。しかし、研究の統計では偶然ではなさそうである。
りんごの雑学まとめ
今回は、地球温暖化とりんごの糖度の関係性についての雑学をご紹介した。
気温の上昇が果実の成熟を促進するのであれば、りんごに限らずさまざまな種類の果実でも、同様の現象が起きているかもしれない。その手の研究論文を調べてみるのも面白そうである。
地球温暖化はほんとうに多様なところに影響を与えているのだなと感じた。