植物が生きるうえで欠かせない営み、光合成。
二酸化炭素と水と光から光合成で、酸素を生み出す植物たち。人間をはじめとした動物たちは、呼吸によって酸素を取り込んで二酸化炭素を外に出す。植物に必要な二酸化炭素を動物が作って、動物に必要な酸素を植物が作り出している。
動物と植物は持ちつ持たれつ。互いに正反対の生き方をしているおかげで地球はバランスを保っていると思うと、改めてよくできた仕組みだと感心してしまう。
しかし、植物だからといって問答無用にできるわけではない。実は樹木には、光合成をすることができない時期があるのだ…。今回の雑学ではそんな自然の仕組みについてご紹介していく。
【自然雑学】紅葉した葉は光合成ができなくなる
【雑学解説】光合成には「緑色」が不可欠!
植物にとって呼吸ともいえる光合成だが、行うためには色がとても重要なのだ。光合成ができるのは、基本的に「緑色」をした植物に限られる。
光合成は葉緑体という、その名のとおり緑色をした組織の中で行われる。そもそも葉が緑色に見えるのはこの葉緑体があるから。葉の細胞には葉緑体がぎっしりと詰まっており、緑色に染められているのだ。
すなわち、光合成をするには緑色が絶対条件。一般的に葉っぱで行なわれていると知られる光合成だが、実は緑色の部分ならどこでもできる。ピーマンの実やスイカの皮でも行われているようだ。
逆にいえば、緑色の箇所がなければ葉緑体はないに等しいため、光合成も基本できないのである。
秋になって紅葉した染まった葉っぱは緑色を失う。つまり、光合成の機能を失ってしまうのだ。
「緑から赤や黄色に染まる」というより「緑色の色素が抜け落ちて赤や黄色に落ち着く」といった方が正しいのかもしれない。
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【追加雑学①】紅葉のメカニズムって?
光合成を行う大事な葉緑体。なぜ、秋になるとなくなってしまうのだろう。
先にも書いたが、光合成は二酸化炭素から酸素を作り出す。この過程で必要になるのが水と光だ。
このうち水は、雨さえふれば一年中確保できる。ところが光は…春・夏・秋くらいまではさんさんと日光が降り注ぐが、冬はそうもいかない。日照時間も減り、日の強さも弱くなる。
そうなると、冬は光合成の効率が悪い。無理に光合成を続けるよりも、夏にうんと溜め込んだ栄養で生き延びるほうがよいのだ。
つまり、冬には光合成を行う葉緑体は必要ないのである。
そういうわけで、秋になり日照時間が短くなると、葉緑体は分解され始める。葉っぱを緑色にしていた葉緑体が分解されてしまえば、葉っぱは緑色でなくなってしまう。その結果、赤や黄色に衣替えするのだ。
【追加雑学②】きれいに紅葉する条件
秋になると毎年楽しみな紅葉だが、植物がきれいに紅葉するには、実は条件があるといわれている。
その条件とはずばり、この3つだ。
- 十分な日光を浴びている
- 昼夜の寒暖差が大きい
- 適度な湿度がある
夏のあいだの日照時間が長く、たくさん光合成をすることができた葉はきれいに色づく傾向にあるようだ。
そして、寒暖差も必要。1日の最低気温が8度を下回ると紅葉が始まるのだが、昼間の気温が高い場所だときれいに色づくそう。残暑が続いて昼間は暑く夜は寒い、なんて人間にしてみれば嫌な気候は、きれいに紅葉するための良い環境なのだ。
とはいえ、湿度が低く乾燥してしまうと葉が痛んでしまうので、雨も不可欠。集中豪雨や台風でない、適度な雨が好ましいのだそう。
紅葉を楽しむためにも、夏から秋にかけての天気を気にしてみるとよいだろう。
雑学まとめ
今回は光合成と紅葉についての雑学を紹介した。
光合成は一年中行われていると思ったら、まさかの冬は休止期間。紅葉したらもう光合成ができないなんて、驚きだ。
きれいきれいと、はしゃいでしまう紅葉だが、葉っぱたちからしたら役目を果たして落ちていくのを待つだけの時間…。ちょっぴり悲しくて切ない営みなのかもしれない。