あなたはスーパーで肉を買うとき、なにを基準で選んでいるだろうか? もちろん消費期限は大切な情報だが、買ったその日にすぐ使うのか、数日後に使うのかという条件も大切だ。持ち帰るときの気温と保存状態によっては、表示されている期限よりはやく傷むこともある。
そもそも、畜肉は種類によって傷みやすさに差がある。さらに加工されている形状でも長持ち度合いが異なるのだ。これを覚えておけば、いつ使うのか・どう保存するのかで肉の種類を選ぶことができる。
おいしいお肉を安全に食べられるように、今回の雑学を読んでおおよその目安をしっかり頭に入れておこう!
【食べ物雑学】鶏・豚・牛でいちばん傷みやすい肉は、鶏肉
【雑学解説】しっとり柔らかいお肉ほど傷みやすいという事実
食いしん坊の筆者からすれば、肉はすべからく肉! どれもおいしいことに変わりはないのだが、たしかに種類によって歯ごたえや食感が違う。実はしっとりしていて柔らかいお肉の方が、硬くて噛み応えのある肉より傷みやすい。
一般的に流通している3大畜肉は鶏・豚・牛。この順に痛みやすい。肉の主成分はタンパク質だが、その他に脂質・水分などがある。細菌は水分が多いもので繁殖しやすい、ということで、水分量が多くしっとりしたお肉は傷みやすいということになる。
たしかに鶏は他の豚・牛に比べると繊維質が少なく、柔らかな印象だ。口当たりがいい分はやく腐ってしまう…。部位でいうと、しっとりナンバーワンのささみが1番傷みやすい。切り身なら保存は1日といったところだろう。
豚肉は「中から傷む」といわれるほど、見た目で鮮度が分かりにくいのが難点。実は切りたての方が黒ずんで見え、時間が経って酸化するほど鮮やかに赤いのも特徴である。もし色ムラがあるようなら要注意! 冷蔵で2~3日の日持ちが目安だ。
1番長持ちする牛肉は、死後硬直を解くために店頭に並ぶまで10日ほど熟成されていることがほとんどだ。とはいえスライスしてからは3日が保存の限度。「ドリップ」といわれる赤い液体が出ているものは鮮度が落ちている。
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【追加雑学①】熟成肉ってなんのこと? どうして腐らないのか
最近流行りの「熟成肉」。長期間お肉を寝かせて旨みを増したもの、というザックリしたイメージはあるのだが…どれくらいのあいだもつものなのだろうか。腐った状態とどう違うのかもよく分からない。
実は「腐る」と「熟成する」過程はとてもよく似ている。どれも菌や酵素の力で肉のタンパク質が分解されて起きるからだ。ただ、ごく一部の菌や酵素は、タンパク質を旨みに替えて分解してくれる。この作用で肉の旨みをアップさせるのが「熟成」だ。
温度や湿度など一定の条件で、「人間に有害な腐敗菌」を抑え込み、「人間に有益な旨みをアップさせる菌」だけ活動させることで、熟成肉ができるというわけだ。プロの熟成庫は温度と湿度、そして風による乾燥が完全に管理されている。
その保存期間はなんと4~5ヶ月は余裕とか! あくまでプロの管理下での話なので、自宅では絶対にマネしないように。ちなみに、豚や牛はともかく、鶏はやはり長期熟成は不可能とのことだ。
自分でも作れる! ほっとくだけで熟成豚肉
自宅でプロのような熟成肉を作るのは、衛生的にほぼ無理である。ただし、塩漬けの感覚で旨みをアップさせる手軽な熟成豚肉なら、自作可能。この動画にあるように、調味料をよくすり込んで冷蔵庫内に放置するだけだ。
https://youtu.be/NCTkOQWkFnU
ただしドリップ(肉汁)はきちんと処理しよう。キッチンペーパーの取り換えは必ず行い、食べるときはしっかり火を通すように!
【追加雑学②】肉は形状によっても傷みやすさが変わる
どの肉でもいえることだが、加工の形状によっても傷みやすさは変わる。これは肉が空気に触れると酸化してしまうため。肉の表面積が多いほど傷みやすいのだ。
特にひき肉はミンチにする機械作業でも熱が伝わってしまうため、傷みやすい(鶏ひき肉は要注意)。傷みやすい順に、ひき肉・薄切りスライス・厚切り・ブロック・塊の順である。
自宅保存はトレイのままではなく、ラップに包んでジップ袋に入れるなど、極力空気に触れないような管理を心がけよう。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。肉は買ってきたその日に使うのが1番。それでもちょうどいい量を使うと余ってしまうのが現状だ。ラップと密封袋、もしくは新鮮なうちに冷凍して、早めに使いたいものである。
筆者も冷凍庫の奥にいつのものか分からない冷凍肉があったような…。不安なら心を鬼にして処分することが大切だ。冷凍を過信せず、なるべく期限内に食べきれるようにしよう!