今、現役の大学生で「実はコンドームなしでセックスをしたことがある」という人は、どのくらいいるでしょうか。もしくは学生時代にそういう経験がある人…どちらも、残念ながら珍しい話ではないでしょう。
しかしそういった経験をしている人たちは、その危険性をちゃんと認識していますか? もしそこまで脅威に感じていないなら、考えを改める必要があります。
【性の雑学】大学生はちゃんとコンドームをしているのか?
大学生の3人に1人はコンドームをしない?
2016年のこと、慶応義塾大学の学生たちが、大学生のコンドーム使用を促す「K-dom Project」という企画を立ち上げました。
このとき彼らが校内にて行ったアンケートでは、なんと学生のうち3人に1人が「避妊せずにセックスすることがある」と答えたといいます。
しかも避妊をしないことに対して一番多かった理由は「妊娠する可能性は低いと思った」というものでした。
これに関しては、妊娠のリスクに対する認識が甘いといわざるを得ません。コンドームなしでセックスをして、本当に妊娠の可能性は低いなどといえるのでしょうか?
外出しや安全日は避妊にならない
コンドームを着けずにセックスをしても妊娠する可能性が低いという声が多い理由には、「中に出さなければ大丈夫」「安全日を選べば大丈夫」という、間違った認識が浸透している面もあるでしょう。
まず射精の直前にペニスを膣外へ抜き出し、膣外射精を行ったとしても、妊娠する確率は十分にあります。射精前に分泌されるカウパーのなかにも、精液がわずかに含まれている場合があるからです。
また女性の月経の周期はそもそも不安定なものなので、正確に計算することは難しく、「安全日」と断定できるタイミングなどありません。
コンドームなしで挿入を行えば、どんなやり方をしても妊娠の可能性が低いとはとてもいえないのです。
コンドームの役割は避妊だけではない
学生たちがコンドームをしないことに対して、妊娠にしか触れられていないところを見ると、コンドームのもうひとつの役割である「性病予防」については多くの人が意識していないこともわかります。
しかし性病は決して他人事ではなく、一番流行しているクラミジアは、女性の20人に1人が感染している病気です。
そのほか梅毒についても、2013年以降、国内の感染者数は急増し、1,000人に満たなかったのが、今や7,000人以上にもなっています。
これらは症状が出ないことも多く、知らず知らずのうちに感染していることもしばしば…。どこから移るかわからない性質上、コンドームの装着は欠かせないのです。
性感染症になると不妊や死んでしまうことも…
もし性感染症になってしまった場合、一番恐ろしいとされるHIVなら、免疫力を失ってさまざまな病気を患った挙句、死んでしまうこともあります。
またもっとも身近なクラミジアも初期の症状は軽いですが、放置しておけば男女ともに不妊症になり、一生子どもを作れない身体になってしまいます。
ひとたびコンドームを着けなかったがゆえに、このような取り返しのつかないことになってしまうのです…。
妊娠してしまったら金銭的にも精神的にも負担は甚大
避妊をせずにセックスをして、もし妊娠するようなことがあれば、学生がそのまま産むという選択肢を選ぶのは難しいですね。こういった場合、多くは中絶を選ぶことになりますが、それにしたって当事者にはかなりの重圧がかかります。
中絶は早期でも7万円以上、遅くなってくると数十万円の手術費用が必要です。学生にとってそれだけのお金を用意することは簡単ではないでしょう。
また妊娠したことをふたりだけの秘密にしておくことなど当然できず、親にも事情を説明しなければいけません。中絶するのに親の同意書が必要な場合もありますからね。
さらに中絶は妊娠22週目まで行うことができますが、手術を行うのが遅くなれば母体にかかる負担も大きくなります。術後しっかりケアをすれば問題はないといいますが、子宮に傷が付いてしまうことがあるというのは怖いですよね…。
不安な場合はアフターピルを処方してもらおう
もしコンドームなしでセックスをしてしまい、不安に感じている人がいるなら、行為後72時間以内なら、アフターピルを服用することで妊娠を防ぐこともできます。すぐに近くの産婦人科で処方してもらいましょう。
費用は1万円前後といったところ。吐き気や頭痛などの副作用もありますが、妊娠してしまうことに比べれば軽いものです。
ただしこのアフターピルも、避妊率は80%と完璧ではありません。やはり行為中の避妊を怠ると、何かしらデメリットが出てくるものですね…。
月経が2週間遅れたら検査を
もし、前の月経が始まったタイミングから数えてその月の月経が2週間以上遅れていたら、妊娠している可能性があります。
すぐに薬局で妊娠検査薬を買うか、産婦人科で診てもらうようにしましょう。前述したように、中絶は早期に行うと負担が軽くて済みます。
しかし検査のタイミングが早すぎると判断できないので、くれぐれも上記の期日を待ってから行うようにしてください。
雑学まとめ
「コンドームをしなくても妊娠する可能性は低い」
そう思っている学生は多いですが、それは「外出しなら大丈夫」「安全日だから大丈夫」という間違った認識からくるもの。コンドームを着けなければ、妊娠のリスクは圧倒的に高くなります。
さらに性病にかかる可能性もありますし…一時の快楽やめんどくささで着けないことを選ぶのは、あまりにも軽率なことです。
「実をいうと着けずにやったことがある…」という人もそうでない人も、避妊を怠ることのリスクやコンドームの重要性をよく理解し、セックスに対する認識を改めていきましょう。