「コンドームってどんな感じで作られているんだろう…」
こんなことを考える場面は少ないかもしれませんが、いわれてみるとコンドームの作り方って想像できなくないですか? 風船と同じ要領じゃ、あの特殊な形は無理っぽいし…。人体への絶妙なフィット感も普通のゴムとは少し違うような・・。
【性の雑学】コンドームの作り方とは?
Step1.天然ゴム・硫黄の化学反応で伸縮性・耐熱性のある素材に
コンドームの原材料は、マレーシアなどの高温多湿の気候で育つゴムの木の樹液と、硫黄などその他さまざまな薬品を混ぜたもの。
このゴムの木の樹液がいわゆる「ラテックス」と呼ばれる天然ゴムで、硫黄と混ぜて加熱すると化学反応を起こし、より伸縮性・耐熱性に優れた素材になります。
これは1839年に、発明家のチャールズ・グッドイヤーが編み出した「加硫法」という手法で、この発明によってゴム製のコンドームが開発されるにいたったんですよ。
Step2.ガラス棒をプールに浸してコンドームの型取り
天然ゴムと硫黄などの材料を混ぜたら、今度はその液体で満たされたプールにコンドームの形をしたガラス棒を浸して型取りをしていきます。
このとき、引き上げる時間の配分によってガラス棒に付着する液体の量を調整し、コンドームの薄さを決めているそうです。0.01ミリを争う世界ですから…それってかなり精密な作業ですよね。
引き上げたら液体を乾燥させますが、この段階でコンドームの形としては仕上がっていることになります。
Step3.二度浸すことでコンドームの穴空きを防止
付着した液体を乾燥させたら、そこからもう一度ガラス棒をプールに浸します。これはムラをなくすための作業。つまり二度プールに浸すことで「液体が全体に行きわたらずに穴が空いていた」という状況を防いでいるんです。
Step4.巻き取ってコンドームおなじみの形に
乾燥が終わったらガラス棒からコンドームを巻き取る作業になりますが、型にピッタリと張り付いているわけですから、そのまま巻き取るのはちょっと無理っぽいですよね…。と、思っていたらここでも「なるほど!」と思わされる手法が取られていました。
巻き取りはお湯に浸したうえで、二酸化ケイ素の粉末をまぶして行われます。二酸化ケイ素は、私たちが普段食べているお菓子などにも入っている乾燥材「シリカゲル」のこと。
なるほど、乾燥材をまぶしながらだとたしかに巻き取りが簡単そう! そしてシリカゲルは万が一間違って食べても安全な薬品です。
Step5.電気を使った穴空き検査
コンドームの形が出来上がったところで、続いては穴空き検査です。この検査もゴムの性質を利用した納得の方法で、電気を利用しています。
具体的には、金属の型に装着したコンドームをぬるま湯に浸し、電流を流して通電するかどうかで、コンドームに穴が空いているかをたしかめるというもの。普通ならゴムは電気を通しませんからね。
ここで穴が空いていると判断されたコンドームはすべて除外されます。すごい! ここまでの工程、興味深い技術が目白押しじゃないですか?
開発段階ではさらにさまざまな検査が…
以下の動画では、ここまでの工程と、開発段階での検査内容がザっと紹介されています。
コンドームの伸縮性をたしかめる破裂試験・転がし試験、穴空きを確認する水漏れ試験など、かなり厳密にチェックされていますね。しかしまさかコンドームが120cmまで膨らむとは…私たちが扱い方を間違えなければ、絶対に破れることはなさそうです。
Step6.潤滑ゼリーの塗布・パッケージング
ここまでの段階を経て問題がなければ、あとは潤滑ゼリーの塗布・パッケージングという流れになります。ここで注目しておきたいのが潤滑ゼリーについてです。
潤滑ゼリーとなると、いわゆるローションを思い浮かべる人が多いですが、コンドームに塗布される潤滑ゼリーはそれとはまったくの別モノです。
どう違うのかというと、ローションは男性側の気持ちよさを目的にしていますが、潤滑ゼリーは挿入時の女性の負担軽減に特化されたもので、材質がまったく違うのです。
たしかにあまりベトベトしすぎていたら、挿入される女性は気持ちよくないですよね。最近はフレーバー付きのものも増えていますし、コンドームは時代を追うごとに、女性に優しくあるべく日夜研究が進められているのです。
参考マンガ『あそこではたらくムスブさん』がおもしろい!
最後に今回の執筆にあたって参考にさせていただいた、モリタイシ先生のマンガ『あそこではたらくムスブさん』がとってもおもしろかったので、そちらも紹介しておきます!
本作は、ゴム会社の開発部が舞台のお話。「サガミオリジナル」でおなじみの相模ゴム工業にみっちり取材を行ったうえで制作された作品です。
ほかには出回っていないコンドーム情報が描かれているのはもちろん、ストーリーが純粋なラブコメディになっているので女性でも抵抗なく読めますよ。
特にヒロインの結さんがひたむきに開発に取り組む姿を見ると、コンドームに恥ずかしい印象をもっている人もイメージがガラッと変わるはずです!
実のところ私は完全にコンドーム情報が目当てだったのですが、思わぬ名作に出会えてラッキーでした!
雑学まとめ
今回はコンドームの製造工程を紹介しました。何度も検査を繰り返し、かなり精密に作られていることを感じていただけたでしょう。ここまで行き届いた作り方がされていれば、私たちも安心して使うことができますね!
今回は主に情報を公開している相模ゴム工業の手法を紹介してきましたが、他社の製品のクオリティを考えても、同じようにこだわった製造が行われているはずです。