コンドーム、コンドームと簡単に呼んでいるけど、そもそもどうしてコンドームと呼ぶのか? その名前の由来を知っている人は少ないはずです。
「コンサートドーム」などと呼んでいる友人もいましたが、そんなの避妊具とはまったく繋がりがないし…ドーム型だというのは百歩譲ってあり…? と思いましたが、起源を辿るとそれもどうやら違うらしい。
【性の雑学】コンドームの由来とは?
王位継承の混乱を防げ!イギリスで生まれたコンドーム
コンドームの起源のなかでも有力とされているのは、17世紀イギリスの国王・チャールズ2世専属の医師だったドクターコンドームさんが開発したというもの。もちろんその名前の由来もこの人物だといわれています。
チャールズ2世はかなりのプレイボーイでたくさんの女性と関係をもっていたため、正妻以外から生まれた子どもが14人もいました。しかも正妻のキャサリン王妃との間に子はなく、となれば「いったい誰が王位を継承するんだ!?」ということになってしまいます。
そこで、これ以上子どもを増やさないためにドクターコンドームによって開発されたのが、魚の浮袋や動物の腸・膀胱を利用した避妊具だったのです。これがのちのコンドームの原形となり、コンドームさんへの敬意からその名前が付いたといわれています。
ただドクターコンドームという医師がいた記録は実は残っておらず、これを俗説と考える声も多いようです。子作りをしない時代なんてありませんから、いつ誰が考えだしてもおかしくない器具ということが出自をややこしくしているのかも?
イギリスとフランスで発祥地争いが勃発?
前項の説からすると、コンドームの発祥はイギリスとするのが自然です。しかしそのイギリスにおいて、コンドームはいかにも自国発祥ではない呼び方をされています。その名も「French letter」…「フランス人の手紙」という呼び名が付けられているのです。
一方フランスでは、コンドームのことを「Capot anglais」と呼び、直訳すると「イギリスの帽子」という意味になります。つまり、イギリスとフランスはお互いにコンドームが自国発祥ではないと主張し合っているということ。パイオニアの擦り付け合いというのも珍しいですね…。
両国が発祥の地を名乗りたがらないのは、一説にはコンドームが梅毒予防を目的として使われていたためといわれています。15~16世紀のヨーロッパでは梅毒によって100万人以上もの死者が出た記録があり、コンドーム発祥の地を名乗るのは特に蔓延した地域を名乗るようなものとして、汚名と考えられていたのです。
コンドームには国によってさまざまなあだ名がある
イギリス・フランスでもユニークな呼び名が付けられていたように、日本でもコンドームより、”ゴム”と呼ぶ人のほうが多いですよね。やはりそのまま呼ぶのは恥ずかしい側面もあるからか、その他の国においても多様なニックネームが付けられているんですよ!
・イタリア…「Guanto」グローブ
・スペイン…「Globo」風船
・ポルトガル…「Gamisade venus」ヴィーナスのシャツ
・アイルランド…「Johnny」ジョニー
・ギリシャ…「Kapota」オーバーコート
・ドイツ…「Iummeltute」淫らな袋
・デンマーク…「Gummirnand」ゴム人間
ざっとヨーロッパだけを挙げてみてもこのバリエーション。愛嬌のあるあだ名が付けられているのは、コンドームの性的なイメージを和らげるためでしょうか?
コンドームができる前の避妊方法がとんでもない
コンドームが避妊目的で開発されたのが16~17世紀ということで、それ以前は避妊をしないのが当たり前だったのか? というとそうではありません。コンドーム以前にも人々はさまざまな方法で避妊を試みており、なかには「嘘でしょ!?」と笑ってしまうようなものも多数あります。
特にインパクトの強いものを紹介しましょう。
ワニの糞
紀元前19世紀ごろのエジプトでは、なんとワニの糞にハチミツを混ぜたものを子宮頚部に挿入することで避妊していたという話があります。
古代エジプトでは「セベク」というワニが豊穣の神として祀られていますし、ナイル川に棲むワニを捕らえて食べることもあったのだとか。それほど身近な生き物だったから、避妊具にも利用されたのですね。
亀の甲羅
19世紀になると世界的にはようやくゴムのコンドームが登場してきますが、このころ江戸時代だった日本には西洋文化の浸透も進んでおらず、日本独自の避妊具が使われていました。
その一種が「甲形(かぶとがた)」と呼ばれる、亀の甲羅や水牛の角を材料にしたもので、コンドームのようにペニスに装着して使用します。
しかしそんなものを付けたまま女性器に挿入するなんて想像するのも痛いですし、男性側は感触も何もあったものではありません。案の定、これはいわゆるジョークグッズだったとのこと。江戸時代はとにかく子だくさんだといいますから、そもそも避妊するつもりもなかったのかも?
レモンの皮
コンドームの原形ができた17世紀に、同じく女性が子宮頚部に装着する避妊具として使用されていたのが、半分に切ったレモンの皮。単純に受け皿になるのと同時に、レモン果汁の酸が精子を殺傷するのにも役立っていたといいます。これは上記2つに比べればまだマシなアイデアにも思えますが…それにしてもすごく沁みそう…。
なんでも1000人の女性を抱いたと名高いイタリアの作家・カサノヴァも愛用していたとのこと。チャールズ2世より避妊が必要な男がここにいました!
コンドームが登場する以前にも、手段を選ばずに行われていた避妊は、やはり人々にとって永遠のテーマ的なところがあるのでしょうね。いやはや、コンドームのある時代に生まれてよかった…。
まとめ
コンドームは17世紀イギリスにて、国王チャールズ2世専属の医師ドクターコンドームによって開発されたもの。たしかに人の名前なら避妊具以外に聞き覚えがないことにも納得ですね!
一時は梅毒蔓延の証…のような汚名と捉えられていたこともありましたが、今や世界のスタンダード避妊具となったコンドーム。生みの親のコンドームさんが実在するなら、エジソンやニュートンなどと同レベルの偉人と呼んでもいいでしょう!