「性病なんて他人事。自分には関係がない」
そんな風に思っていませんか? 多くの人がそう思っているからこそ、近年になって性病患者は増加傾向にあるのです。
セックスのときのコンドームの役割についても、認識されているのはまだまだ避妊の側面だけで、性病予防を考えて装着する人は少ないでしょう。
性病は本当に珍しい病気ではなくて、セックスをする人なら誰だってかかり得る病気です。今回はその身近さ、感染を把握することの難しさなどを通して、性病予防について再認識していきましょう。
【性の雑学】性病はとっても身近な病気!
性病と聞いて多くの人が一番に思い浮かべるものといえば、悪化すれば死んでしまうこともあり、何かと取り沙汰されるHIVでしょう。
たしかにHIVは感染力が弱い側面もあり、その患者数は数万人にひとりぐらいの割合。他人事に感じてしまうのもおかしくありません。
しかしすべての性病が同じような割合ということは当然なく、クラミジアのように10~20代の女性のうち20人に1人が感染している病気もあります。身近だからといって症状も甘く見れないもので、放っておけば不妊症に発展する場合も…。
さらにHPV(ヒトパピローマウイルス)のように特に症状がなく、放っておいてもすぐに治るため意識されてない性病もあり、こちらは10人に1人、女性なら半数ぐらいの人は感染したことがあるといわれる病気です。
「症状がなく、すぐ治る」といわれると、「ならそんなに怖がる必要なくない?」と思いますが、HPVは子宮がんの原因になります。いずれもかなりやっかいな症状に発展するウイルスがこんなに身近に存在しているんです。
珍しいHIVや梅毒も増加傾向にある
患者数が比較的少ないHIVにしても、90年代には年間の感染者数が数百人だったのに対し、現在は1,400人近くに増えています。梅毒になるとさらに勢いを増し、2013年以前は数百人だったものが、今では7,000人以上の患者数が出るようになりました。
これらは「性病なんて自分には関係ない」と思っている人が多いからこそ、起こっている事態でしょう。
感染しても気付かない性病が多い
性病はヘルペスのように、キスや肛門周囲などの病変に触れて感染するものもありますが、ほとんどがセックスによる感染です。空気感染などをするウイルスに比べると感染経路はかなり限られることになりますよね。
そうなるとウイルスとしては、その限られた感染の機会を逃す手はないわけで、感染したときに簡単に追い出されるわけにはいきません。そのため性感染症には症状がわかりにくく、気付きにくいものが多いのです。
・クラミジア…男性は軽いかゆみや痛みを伴う場合が多いが、女性は炎症を起こしていてもほとんどわからない
・淋病…男性はペニスが赤くなり、排尿時に激痛が走る、膿が出るなどがあるが、女性は初期にはほとんど症状がない
・梅毒…3週間後ぐらいに性器にしこりができるが、すぐに治る。その後放置すると3ヶ月後ぐらいに全身に発疹ができる。
・HIV…初期は風邪のような症状が出ることもあるが、すぐ治まる。その後、数年かけてじわじわと発症。
特に女性は性器が内側に隠れているぶん、わかりにくいものが多いですね。いずれも放置すれば不妊症や内臓・神経疾患、免疫低下による合併症など、重大な症状に発展していきます。早期発見のためには、定期的な検査を受けることが不可欠です。
検査してもわからない性病がある
検査で陽性反応が出ていなければそれで安心かといえば、そうともいえない場合もあります。前述のHPVに関して、男性の検査方法は現在なく、男性は感染していても気付いていない人がほとんどなのだとか。
パートナーが子宮がんの原因になるウイルスをもっているかもしれないというのは、女性としてはとっても怖いですよね。また口からの感染の場合、口腔がんなどの原因にもなるので、男性も油断はできません。
感染を見極める方法がないのだから、予防としてコンドームを着けるのは義務といえます。
コンドームと定期的な検査で性病予防を徹底しよう
感染経路がセックスによるものということで、一番の性病予防はやはりコンドームを毎回着けることです。キスによる感染などを除けば、性器同士や粘液が直接接触しなければほとんど移ることはありません。
逆にコンドームなしでセックスをすれば、いつ感染してもおかしくないと思っているぐらいでいいでしょう。
また前述のように症状がわかりにくい側面なども踏まえて、年に数回ぐらいの頻度で検査を受けておくのがおすすめ。検査は保健所などで無料でやっている場合がほとんどで、複数の性病に対応している施設も多いです。
施設の検索には「HIV検査相談マップ」が便利なので覗いてみてください。
雑学まとめ
性病は他人事ではなく、いつ誰が感染してもおかしくない病気。クラミジアやHPVのように数十人に1人が感染しているものもあれば、HIVのような稀なウイルスも昔に比べるとかなり数が増えています。
せっかくのパートナーとのかけがえのない時間、余計な不安を抱えながら過ごすのはイヤですよね。コンドームをしっかり着けて、性病予防を徹底しましょう!