毎年、秋になるとテレビで報道される、奈良公園のシカのツノ切り。シカは小さな顔に大きくて立派なツノがトレードマークだ。毎年、ツノ切りの映像を見て、シカのツノは1年に1度切るものなのだと勝手に解釈していたのだが…。
なんとシカのツノは、何もしなくてもぽろっと自然に落ちるものだという雑学を耳にした。
えっ!? じゃあ、切らなくてもいいじゃん! そう…あえて切らなくても、時期がくれば取れるのだ…。
【動物雑学】シカのツノは自然に取れて落ちる
【雑学解説】シカのツノは毎年生え変わる
まず、奈良公園でシカを見たことがある方はお分かりかと思うが、大きなツノが生えているシカと、ツノが生えていないシカがいる。ツノがあるのは、オスのシカである。メスのシカにはツノが生えない。
オスのツノは、繁殖期にオス同士が争うときの武器としての役割。また、ライオンのオスにたてがみがあるように、自分の力を相手に誇示する象徴ではないかといわれている。
ツノは4月頃になると生えはじめ、枝が分かれるように分岐しながら大きくなる。初夏から秋にかけては、なんと1日におよそ3cmというスピードで一気に伸びる。
そして、繁殖期になる秋ごろに、あの立派なツノが完成するのだという。大きなものだと70cm! 立派な武器だ!
冬の終わりから春先にかけて、ツノはぽろっと自然と抜け落ちる。つまり、シカのツノは、毎年生え変わるのだ。
その決定的な瞬間をとらえた映像をご覧あれ!
えぇ~っ!! もう目からうろこな映像だ!
本当にぽろっと取れるのね…。痛くもかゆくもないのかしら…とふと心配になったが、完成したツノには神経が通っておらず、感覚がないらしい。人間のツメみたいな感じかな…。
なぜ春先になるとツノが生え変わるのかというと、冬の間に消耗した体力を回復して、体を大きくするためだとか。
たしかに、ずーっと大きなツノが頭から生えていたら、体力消耗もするだろう。あんなに立派なツノ…もったいない気もするが…。
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【追加雑学①】落ちたツノは森の動物たちの栄養源にもなる
野生のシカが住む森には、ツノがたくさん落ちているのだろうか…。
そう! じつは、シカが落としていったツノは、森に無造作に落ちているのだ!
シカのツノは、骨と同じカルシウムのかたまり。ネズミやリスなどの小動物は、落ちているシカのツノをかじって、カルシウムを摂取しているのだという。
生え変わるために落ちたツノは、森の動物たちにとっては貴重な栄養源になっているのだ。
【追加雑学②】ツノの大きさや、枝の分かれ方で年齢が分かる
シカは、成長とともに体が大きくなるにつれて、ツノも年々大きくなる。そのツノの大きさや、枝分かれした形を見れば、シカの年齢が分かるのだ。
- 1歳…ツノのみ
- 2歳…枝分かれが1本
- 3歳…枝分かれが2本
- 4歳以上…枝分かれが3本
つまり、年齢が1つ大きくなると、枝分かれが増えていくというわけだ。枝は3本が最大だというから、4歳を過ぎたシカの年齢は分からないそうだ。
シカの寿命は、オスがおよそ10年、メスがおよそ15年。オスの場合、10歳が最高と考えると、4歳以上から10歳までは同じように枝分かれが3本のツノであるということだ。
ん!? ツノがないメスの年齢は? これは大体の大きさで推定するしかないそうだ。
年齢不詳なことは、女性にとっては嬉しい限りである。
【追加雑学③】奈良公園では、なぜシカのツノを切るのか?
シカのツノは毎年生え変わるのなら、奈良公園のシカのツノ切りは必要ないのでは? と思ってしまうが、ちゃんと理由があって行われているのだ。
シカのツノは、繁殖期である秋ごろに完成する。立派に成長したツノは、オスたちの武器になるのだ。しかし、そのツノのせいでオス同士で傷つけあったり、公園に訪れた人間に危害を加える可能性もある。
こうした事態を防ぐために、奈良公園では、秋になるとシカのツノを切るのが恒例となっている。じつは江戸時代から続く大切な行事なのだそうだ。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。シカのツノがぽろっと落ちる映像は衝撃的だった。立派なツノがあんなに簡単にとれるとは…。えっ!? と、なんだか拍子抜けして思わず笑ってしまった。
生え変わりの時期には、森や山の中にシカのツノがいくつも落ちているそうだ。あの枝分かれした独特な形と、骨っぽい見た目(骨と同じなのだが)がインテリアとして人気で、拾って集める人もいるのだとか。
たしかに、ぽろっと落ちたものなのに、かなりの存在感だ。わたしも欲しい…。