DIYという言葉を耳にするようになって久しからず。昔から日曜大工という言葉はあったが、今やちょっとした家具やインテリアは手作りしたり手を加えたりするのが、ひとつのブームとなっている。
ホームセンターで工具や木材を見るのが好きという人も珍しくない。家具などを組み立てるときに欠かせないのが、小さいけれど大事な部品である、ネジだ。ネジの大きさや種類は様々で、用途に応じて使い分ける。
ネジを回すためのドライバーは、異なる太さのものが何本かセットになったものが、大抵どの家庭にもあるだろう。その中で、マイナスドライバーの出番が極端に少ないことにお気付きだろうか?
そう、実は一般的に使用されているネジのほとんどがプラスネジで、マイナスネジはごく一部の場所にしか使われていない。が、しかし! もともと日本ではマイナスネジしか使われていなかったという。
マイナスネジの独壇場だったはずが、なぜいまやプラスネジにその座を譲ってしまったのか…。小さくて目立たないけれど、なくては困る! 今回はそんなネジについての雑学をご紹介するぞ。
【生活雑学】第二次世界大戦前、日本にはマイナスネジしかなかった
【雑学解説】マイナスネジ→プラスネジの普及は第二次世界大戦以降だった
そもそも、日本におけるネジの始まりはいつだったのだろう。それは戦国時代にまでさかのぼる。
1543年にポルトガル人が種子島に持ち込んだ火縄銃にネジが使われていたのだ。それをもとに、改良されて多方面に使われるようになった。
しかし、はじめは構造の単純なマイナスネジしか存在していなかったようだ。プラスネジはそれからかなり後の1935年頃、アメリカで発明された。十字の溝により、ネジが真っすぐ入りやすくなり、安定性も増した。
プラスネジは主に自動車メーカーのあいだで浸透していき、世界中で使われるようになっていった。そして、日本でプラスネジが導入されたのは、第二次世界大戦の数年後。1950年代になってからのことだった。
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【追加雑学①】日本にプラスネジを持ち込んだのは本田宗一郎
日本でプラスネジが使用されるようになった仕掛け人は、自動車メーカー・ホンダの創業者、本田宗一郎だ。1952年にヨーロッパに視察に訪れた本田宗一郎が、あるバイク工場でプラスネジを拾ってきて、それをもとに日本で作らせたという。
初めて目にする十字のネジを見つけたときの本田宗一郎の驚きと感動を想像できるだろうか。ホンダが世界に名をとどろかせるようになったのは、この一本のネジによるといっても過言ではない。
プラスネジの導入により、それまで手作業だったネジ回しが機械化され、かなりの作業効率アップになったのだ。
【追加雑学②】プラスネジとマイナスネジの違いは?
実はプラスネジの普及によって、マイナスネジはどんどん使われなくなっていった。今や使われているネジの9割以上がプラスネジである。ではプラスネジとマイナスネジの違いは何か。
まず何といってもプラスの方がまっすぐ取り付けしやすい。またマイナスネジは溝が擦り減りやすく、ドライバーが回らなくなってしまうこともある。
こんな風にいうと、マイナスネジは名前だけでなくイメージもどんどんマイナスになってしまう。が、しかし! マイナスネジにもプラスな面があるのだ。マイナスなのかプラスなのかややこしいが…。
マイナスネジは、溝に汚れが溜まりにくい、もしくは溜まっても掃除しやすいため、汚れやすい場所で多用されている。また、コインなどでも回せるので、ドライバーが入らない狭いところにも使われている。
名前は若干消極的で、プラスネジに立場を奪われているけれど、それでもマイナスネジがこの世から消えることはないだろう。
雑学まとめ
今回は、地味だけど奥が深いネジについての雑学をご紹介した。マイナスネジの方が先輩なのに、今や後輩のプラスネジの方が主流になっている。
しかし、マイナスネジにはマイナスネジ特有の利点があるので、これからもひっそりと活躍していくことだろう。
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