医療は日進月歩で常に進歩している。そのため、病気の早期発見もかなりできるようになってきた。以前では不治の病とみなされてきた癌でさえ、今では早い段階で発見できれば完治可能になっている。
だが、しかし…。それでも病院での検査が辛くて、わかってはいても定期健診に行くのが嫌だという人も少なくない。もしなにかに引っかかったら、詳しい検査が待っている。
胃カメラだの内視鏡だのになると、口や鼻や肛門、体のいろんな部分にあんなものやこんなものを入れられて、苦しいやら恥ずかしいやら…。だから、ついつい不調があっても我慢してしまうという人もいる。
そんな病院嫌いの方に朗報だ! なんと、薬のように飲むだけのカプセル型胃カメラがあるという。今回はそんな、苦痛が少なく手軽にできる最新の検査方法についての雑学だ。
【人体雑学】カプセル型の「胃カメラ」がある
【雑学解説】口から飲み込むだけのカプセル型の「胃カメラ」とは?
従来の「胃カメラ」は、先端に小型カメラがついた管を口から挿入し、胃の中を観察するというものだ。人にもよるが、たいていかなりの苦痛を伴う。歯ブラシが喉の奥に当たると「おぇっ」となるあの感覚。その何倍も苦しい。
もちろん麻酔も使うがたいてい全身麻酔ではない。喉の感覚を鈍らせる部分麻酔と、少し意識をボヤーっとさせるくらいの麻酔で行なう。そのため、大人でももがいてしまうほどの苦しみを要する。
医学の進歩と共に、胃カメラも改良されていき、鼻から挿入する細い管のものもでてきた。口からよりもましにはなったとはいえ、鼻は鼻で不快感と痛みもある。できれば避けて通りたい検査なのだ。
しかしここ最近、そうした苦痛を伴わないカプセル型の「胃カメラ」が登場した。本当に薬の大きさと変わらない、2cm程度のカプセルに小型カメラが内蔵されている。
そしてそれを口から飲み込むだけという、簡単かつ負担の少ない検査だ。飲み込んだカプセル型胃カメラは、食道・胃・十二指腸・小腸・大腸を通りながら、毎秒2枚ずつ画像を撮影していく。
撮影された画像は、患者の身体に装着された10cmほどの小型レコーダーにデータとして送られる。撮影を終えたカプセルは通常1~4日後に、最後に肛門から排出される。カプセルは使い捨てで、使用後は廃棄する。トイレに流れてしまっても問題ない。
なんとも画期的な検査方法である。科学技術の進歩は目覚ましい。これならみんなやりたいと思うに違いない。では、カプセル型胃カメラのメリット・デメリットについてもう少し見てみることにしよう。
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【追加雑学①】カプセル型胃カメラのメリット
カプセル型胃カメラのメリットは、なんといっても苦痛が少ないということだ。患者はただ薬のように飲みこむだけでいい。その後は通常の生活を送れるので、入院も必要ない。3時間後には食事も摂ることが可能だ。
また、この記事では「胃カメラ」という言葉を使っているが、実はこのカプセル型カメラで見ることができるのは胃だけではない。俗にいう「胃カメラ」は「上部消化管内視鏡」のことで、主に食道と胃を観察する。
そして他に「下部消化管内視鏡」という検査がある。これは肛門からカメラを挿入して大腸を調べるものだ。実をいうと、この上部・下部両方の内視鏡でも到達不可能な臓器がある。それは消化管の真ん中に位置する小腸だ。
しかも小腸の長さは6~7mもある。病変も起こりやすいが、これまでは検査がしづらい部分だった。しかしカプセル型内視鏡は、小腸を含む消化管すべてを一度に撮影することが可能なのである。
【追加雑学②】カプセル型胃カメラのデメリット
そんな超優秀なカプセル型胃カメラにも、デメリットがある。通常の内視鏡は、医者が操作しながら撮影するので、調べたい部分をくまなく見れる。しかし、カプセル型胃カメラは飲み込んだ後、自然に流されていくのにまかせるので、操作できない。
病気の発見に大いにつながるものの、それですべて見つけることはできないのである。さらに技術が進歩していけば、遠隔操作可能なカプセル型カメラも誕生するかもしれない。
さらに、現在カプセル型カメラが保険適用になる患者は限られている。すでに小腸の病状が見られ、上部・下部どちらの内視鏡でも原因発見が不可能とみなされた場合だけである。
雑学まとめ
今回は、ブラックジャックもびっくりの現代医療に関する雑学をご紹介した。科学は飛躍的に進化を遂げていて、より患者の負担が少ない検査方法が生み出されている。
こうした検査技術の発展によって、治せる病気が増えているのは喜ばしいことである。命を救うテクノロジーのさらなる進歩に期待したい。