ビールの本場といえば、まずドイツが思い浮かぶ。案の定ドイツ人は大抵ビールが好きで、水替わりかと思うぐらいの量を飲む人も珍しくない。スーパーへ行けば、日本円にすれば50円にも満たない値段でビールが売られていることもある。
ドイツへ旅行に行くなら、ビールを飲まなきゃ損とさえいえるが、ドイツ人のビール文化は日本人からしてみるとちょっぴり変わっている。
日本でお酒を飲む機会といえば、必ずといっていいほど、何かおつまみと一緒にたしなむ。しかしドイツでは、ビールはガブガブ飲んでいても、一緒におつまみを食べている人をほとんど見かけないのだ。
料理をお酒と一緒に楽しめば、さらに美味しくなるのに…これはもったいない。そこで真相を探ってみると、ドイツの興味深い国民性が明らかになってきた! 今回はビールの本場、ドイツのおつまみ事情についての雑学に迫る!
【世界雑学】ビールの本場であるドイツ人は、おつまみをほとんど食べない
【雑学解説】ドイツの食事は基本的にワンプレート。ビールも他のものと一緒に楽しむという感覚がない
日本のレストランだと、一人で食べるにしても複数の品を頼むことは多々あるだろう。しかしドイツのレストランでは、一人が複数の品を頼むことはまずない。
ドイツの食事は基本的にワンプレートで完結する。一皿頼めば、他はもう注文しなくてもいいぐらいの量が盛られて出てくるのだ。
そして個人を尊重するドイツでは、一人で一皿を食べるのが基本。たくさん盛られているからといって、仲間とシェアすることなどほぼない。「このお皿はその人専用!」となっているような感じだ。
つまりドイツの人たちは、一つに集中して食事をすることに慣れている。ビールを飲みながらおつまみを食べないのも、そういった文化の影響だと考えられる。ビールを飲むと決めたら、ビールだけを味わうのがドイツ人流なのだ。
ただ、ドイツの人に「どうしておつまみを食べないの?」と聞いても、明確な返答は得られないだろう。おそらく「食べちゃいけないわけじゃないけど、別にいらなくない?」のような感じだ。
誰が決めたわけでもなく、自然と馴染んでいった文化だから、本人たちも明確な理由はわからないのだ。
【追加雑学①】乾杯の後は一度ボトルをテーブルに置くのがルール
日本の乾杯というと、「乾杯!」とやった後にグイっと一気飲みする印象がある。しかしドイツの人たちは乾杯した後、一度テーブルにボトルを置いてから飲み始めるという、暗黙のルールがあるのだ。
なんでも中世ドイツでは、あまり親しくない人とお酒を飲みかわす際、毒を入れていないことの証明として乾杯が行われていたという。相手のビールがグラスに流れ込んでしまうほどの勢いで乾杯をして、毒を入れていないことを証明するのだ。
乾杯の後に一度テーブルに置くのは、そういった証明が終わった後の、仕切り直し的な意味ではないだろうか。「疑いも晴れたところで…」といったところだ。
もちろん現代ではビールに毒を盛るなんてことはない。それでも習慣として根付いているのは興味深い。
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【追加雑学②】中世ドイツでは、修道士が断食期間を乗り越えるためにビールを飲んでいた
中世ドイツでは断食中の修道士が、物を食べてはいけないからと、代わりにビールを飲んでいたという。ドイツ人はどこまでビール好きなんだとツッコミたくなるが、これは「物を食べずにいかに栄養を補給するか」を考えた末の行為である。
ビールは麦を発酵させた液体だ。パンやパスタだって、麦からできているではないか。いうなれば修道士たちにとって、ビールは飲める主食だったわけだ。しかも身体にいいとされる発酵食品ときた。
当時はスポーツドリンクやスムージーなどもちろん存在しない。飲めるもので栄養があるといえばビールだったのだろう。
ただ、断食中の修道士が赤ら顔で酔っぱらっていては、禁欲とはかけ離れているというか…なんともかっこがつかない印象を受ける…。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。ドイツ人は一皿で食事を完結させる文化がある。ビールと一緒におつまみを食べないのも、きっとその流れからだ。
外国へ行くと日本と違った文化に驚かされることが多々あるが、どんなに異様に思えても、辿ってみると必ず理由があるものだ。
その背景を「素敵だな」「なるほどね」と味わうのもまた、外国文化に触れる醍醐味だろう。
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