小学生のとき、夏休みの宿題に「読書感想文」があった。あまり好きではなかったから、課題図書の最初の目次と最後のあらすじを読んで書いていたため良い思い出は残っていないが、いつも疑問に思っていたことがある。
そう、400字詰原稿用紙の真ん中にある【 ←これだ。
真ん中にあり目立つため、子供ながらに「タイトルを入れる空欄だ!」と思ってタイトルを書いて提出したことがある。もちろん先生に直された。
大人になって原稿用紙を見る機会はほとんどなくなったが、今も疑問に思っている人は多いのではないだろうか。今回の雑学では、意外と知られていない原稿用紙の【 ←これの意味を解説しよう。
【生活雑学】原稿用紙の真ん中の【 ←これなに?
【雑学解説】魚尾。原稿用紙の真ん中の【 ←これの名前と意味とは?
いつまでも【 ←これでは言いにくいから早速名前から紹介しよう。
【 ←これは正式名称を「魚尾(ぎょび)」という。理由は簡単、形が魚の尾に似ているからだ。もともと和書に書かれていた折り目の飾りなのだが、ちゃんと役割もある。
それは原稿用紙を真ん中で折るための目印である。つまり、魚尾の真ん中のへこんでいる部分を中心に折れば、誰でもぴったり半分に折ることができるということだ。
さらに全ての用紙を魚尾で折り、1枚1枚重ね、折っていないほうの端をとめれば一冊の本になる。
なるほど、タイトルを書くための空欄ではなかったんだな。
【追加雑学①】魚尾には種類がいろいろあった
昔は魚尾にも種類があったらしい。「黒魚尾」「白魚尾」「花魚尾」などといわれ、作品や作家によって使い分けていたそうだ。名前だけでもかなりおしゃれな感じだ。
現代では、物書きの仕事をしていてもパソコンを使用しており、原稿用紙に直接記入する機会が少なくなったため、子供の夏休みの宿題以外ではなかなか見ることはないかもしれないが、昔はかなり一般的なものだったそうだ。
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【追加雑学②】原稿用紙が400字の理由
原稿用紙に関してもう一つ疑問がある。
なぜ原稿用紙は400字詰が一般的なのだろうか? 「原稿用紙5枚で書きなさい」と言われたら2,000字。わかりやすく100字にしてくれれば良かったのに。
これは京都にある萬福寺という寺の住職だった鉄眼禅師(てつげんぜんじ)という方が、『大蔵経』という本を多くの人に読んでもらいたいと思って、印刷用の木版を彫ったことにルーツがあるらしい。
25年もの歳月をかけて6万枚の木版を彫り上げ、1681年に完成したそうだが、その時の木版が20字×20行の400字だったそうだ。
ルーツよりも6万枚の木版を彫り上げたことのほうがびっくりだ。
ちなみに、400字詰ではない原稿用紙ももちろん存在している。
「魚尾」の雑学まとめ
今回は、原稿用紙にまつわる雑学をご紹介してきた。
小学生の頃、1年に1回以上は使っていた原稿用紙だが、魚尾の名前や意味まで知らない人の方が多かったのではないだろうか?
大人になるとほとんど見る機会もないと思うが、宿題をしている子供達から聞かれたら優しく教えて、尊敬の眼差しを向けられるのもいいだろう。
また、魚尾を使うことで原稿用紙を一冊の本にもできるため、自分が書いた字と文章に自信がある人はぜひチャレンジしてもらいたい。黒歴史にならないことを祈っている。