「シビカラ」。痺辛、痺れるような辛さのことだ。鍋などの味つけでブームとなり、一躍有名になったフレーバーである。
実際に舌がしびれるような刺激的な味で、初めて食べた人は驚くかもしれない。
このしびれのもとになっている調味料が「花淑」だ。日本語なら素直に「はなしょう」と読むが、中国語で「ホワジャオ(ホワシャオ)」と呼ぶ方がメジャー。知っているようで知らない調味料、花淑とは一体どんなものなのだろう?
【食べ物雑学】花椒(はなしょう・ホワジャオ)とは?
【雑学解説】他の食材では代替不可能!?花椒はとても個性的なフレーバー
花淑は舌がしびれるような刺激的で、パンチのきいた風味が特徴の中国原産の植物である。日本原産の山椒と「同属異種」にあたり、同じミカン科サンショウ属なのだが味や風味がまったく違うのだ。
花淑の風味を文字で説明することは非常に難しい。酸っぱいとかしょっぱいといった五味で表現できず、しいて言えば辛い。舌にしびれる風味は「第六の味覚」とされており、花淑がないからといって他の調味料で代わりになるものはない。
花淑を再現しようと唐辛子やワサビを使っても意味はなく、むしろ粗びき黒コショウの風味が一番似ているそうである。
味だけでなく香りも独特で、中華料理では欠かせないスパイスとなっている。花淑さえあれば本格的な中華料理を再現できるので、家庭にひとつあるとプロの味に近づくぞ!
【追加雑学①】花淑はこんなにバリエーションがある
では、実際に花淑を調味料として買ってこようとすると…ん? こんなにバリエーションがあるの? と悩むことになるだろう。
花淑は乾燥させた果皮を使う調味料。輸入食材店などには乾燥させた果皮そのままの「ホール(粒)」がある。本来はこのホールを使うときにすりつぶすのが一番で、つぶすとそれは素晴らしい香りがする。
ただ、いちいち挽いていられない! という人が大半なので、コショウ同様に「花淑粉」がメジャーである。振りかけるだけのパウダー状の花淑で、スーパーマーケットなどで普通に購入可能だ。
スポンサーリンク
ホール花淑を乾煎りしてから塩と混ぜた「花淑塩」は揚げ物に使うと絶品で、中国では定番の食べ方だそうだ。また、ホールを油に漬け込んだ「花淑油」もタレなどを作るのに大活躍とか…(ヨダレが…)。
唐揚げ好きなら聞いたことがあるかもしれない「怪味(かいみ)ソース」、中華料理好きならお馴染みの「五香粉(ウーシャンフェン)」にも花淑は欠かせない存在である。
【追加雑学②】やっぱり中華?花椒の具体的な使い方とは?
パウダー状の花淑粉なら、家庭料理でも簡単に取り入れることができる。味付けは中華やエスニックな方向になるので、好きな人にとってはクセになること間違いなし!
いちばん定番なのはうま辛で有名な「四川麻婆豆腐」だろう。四川風ときたら花淑というくらい欠かせない。いつもの野菜炒めにひと振りするだけでとたんに中華料理の雰囲気が漂うし、サラダや肉料理のタレに使うのもおすすめだ。
花淑なんて買っても使い切れるか…と悩む方も、一度使ってみると使い勝手のよさに驚くはずだ。きんぴらごぼう、唐揚げに振りかけるだけでも風味が変わる。揚げ物や炒め物との相性がピッタリなので、いろいろな組み合わせを試してみよう。
夜中に見るのは危険!ヨダレが出そうな四川風麻婆豆腐の作り方動画
レトルトに頼らなくても、意外と簡単に麻婆豆腐を作ることができる。このレシピなら最後に花淑粉をふるだけなので簡単だ。それにしても…深夜に見てはいけないレベルでおいしそう…!
雑学まとめ
筆者はシビカラが大好き。お恥ずかしながら花淑のことをよく分かっていなかったが、他に替えの効かない独特な調味料だったとは驚いた。たしかに四川風麻婆豆腐のしびれるような感覚は、他の料理で食べたことがない。
辛いのが苦手な人でも、辛さを感じない程度にほんの少し振りかけるだけで風味が激変。いつもと違う味つけに挑戦したいときは、ぜひ一度お試しあれ。