ネコパンチ、オレハマッテルゼ、モチ。
これを聞いて競走馬の名前であるとわかる人はどれくらいいるだろうか。現在JRA(日本中央競馬会)に登録されている馬の数は8412頭。地方競馬を含めれば、ゆうに1万頭を超える競走馬の名前はユニークなものも多く、競馬界の盛り上げに一役買っている。
競走馬の名前は親から子へと代々引き継がれるものもあれば、馬主の名前をつけたものなど多種多様であるが、その名前は時として名場面を演出する要素となる。
たとえば、前述した「モチ」であるが、この馬は逃げ馬ということもあり、ゴール前の実況では「モチ、粘っている!」などの名実況が飛び出した。
このように一見すると好き放題につけているような名前だが、実は競走馬の名前の決め方には厳正なルールがあり、これにそぐわない名前は登録を拒否されてしまうこともあるのだ。
そこで今回は、競走馬の名前の決め方についての雑学を紹介していくので、ぜひ最後までご覧いただきたい!
【スポーツ雑学】競走馬の名前の決め方には国際ルールがある
【雑学解説】競走馬の名前のルールとは?
競走馬の名前を決める際に最も重視されるのが、文字数だ。競走馬の名前の文字数はアルファベット表記で18文字以内と国際ルール(パリ協約)で定められている。
なぜ、日本の馬に国際ルールが必要なのかと思うかもしれないが、日本の馬が海外のレースに参加することもあるため、日本個別のルールでもアルファベット表記で18文字以内、カタカナ表記で9文字以内と国際ルールに則った形になっている。
以前は漢字での表記も認められていたが、1928年以降使用できる文字はカタカナのみで統一され、「ヰ」や「ヱ」などの旧字も禁止された。
このように文字数・表記の制限をクリアする必要があるのだが、文字数以外にも使用できない馬名として、国内G1レースを勝利した馬の名前や国際保護馬(海外有名レースの優勝馬など)の名前は使えない。また企業の宣伝になるような語句や公序良俗に反する語句を入れることも禁止されている。
意外としっかりしたルールがたくさんあるにも関わらず、「アドマイヤジャスタ」や「アドマイヤマーズ」のように似たような名前が多いのには理由がある。
競走馬にはそれぞれ所有者(馬主)がおり、所有者が名前を決める権利を持っている。馬主はそれぞれに冠名(かんむりめい)というものをもっており、前述の「アドマイヤ」がこれにあたる。
他にも「ダノン~」や「ミッキー~」、「サトノ~」など冠名+αの馬名を登録する馬主も多いことから、似たような名前の馬が多く存在するのである。
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【追加雑学】個性ある名前の競走馬たち
意外にも厳しいルールの中で決められてきた馬名の中には、ひと際異彩を放つ馬名も多く誕生してきた。ここからはそんな個性あふれる名前の馬たちをご紹介しよう。
競走馬の珍名を語るうえで外せないのは小田切有一(おだぎり ゆういち)オーナーが所有する馬たちだ。小田切オーナーはその独特のユーモアセンスでこれまで数多くの珍名馬たちを競馬界に送り出してきた。以下はその一端である。
ビックリシタナモー
名前の由来は読んで字のごとく「ビックリしたな、もう」
セガールモチンモク
映画「沈黙の~」シリーズの俳優、スティーブン・セガールを彷彿とさせる馬名。
セガールも沈黙してしまうほどの速さでゴールを駆け抜ける?
イイコトズクシ
「良い事尽くし」に由来しているなら、正確な表記は「イイコトヅクシ」になるはずだが…。ちなみに、同じく小田切オーナーの所有場で「イイコトバカリ」という馬もいる。
オレハマッテルゼ
ゴール前で「俺は待ってるぜ」といわんばかりの名前。
小田切オーナーの所有場の中でも一番有名なのがこの馬だろう。珍名の馬たちは残念なことに競走成績が振るわないことが多いのだが、この馬はなんと2006年の高松宮記念というG1レースを勝っており、小田切オーナーの所有馬の中では一番の出世頭となった。
他にも、勝負事ということで縁起を担いだ馬名も多く存在し、「ワラウカド」や「フクキタル」などの縁起のいい名前も多い。競馬に参加される際はこういった馬の名前で楽しむのもまた一興である。
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「競走馬の名前」の雑学まとめ
今回は、競走馬の名前のルールについての雑学を紹介してきた。珍名も多いことから一見、適当に決められていそうな馬名だが、文字数の制限や厳しいルールがあった。
ひと昔前には高須クリニック院長の高須克弥氏が「イエスタカス」という馬名を登録しようとして企業広告を理由に拒否されたことも有名だ。あながち適当につけられていたわけではなかったことがわかる。
もし、競馬に触れる機会があれば、馬の成績だけではなく、こういった名前の由来などについても着目してみると意外なルーツの発見になり、勝ち馬予想に役立つかもしれない。
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