「B級グルメ」という言葉を聞いて、最初に思い浮かべるのはどんな料理だろうか。私は断然富士宮やきそばだ!
というのも、私は富士宮生まれ富士宮育ち。幼い頃から…まだ富士宮やきそばが有名になる前の前から、あのやきそばを食べている。
あの頃は、やきそばに違いがあるなんて思いもしなかった。B級グルメがブームになったとき初めて、自分たちが食べていたやきそばは一般的なやきそばと少し違うと知ったのだ。あのときは衝撃的だったなぁ…。
B級ご当地グルメの代表としてよく名前が聞かれるようになった富士宮やきそば。皆さんは、富士宮やきそばとその他のやきそばの違いをご存知だろうか。
今回は、富士宮市民歴ウン十年の筆者がその違いについての雑学をご紹介する!
【食べ物雑学】B級グルメ「富士宮やきそば」は他のやきそばとどう違う?
【雑学解説】「富士宮やきそば」と名乗るには、使う材料にいくつかの条件がある
富士宮やきそばが他のやきそばとちょっと違うといっても、麺と野菜を炒めソースを絡めるという基本的なことは変わらない。では、どこが違うのか。
実は、「富士宮やきそば」を名乗るにはいくつか満たさなければならない条件があるのだ。
1.麺は蒸し麺でメーカー指定あり
富士宮やきそばの麺は、他のやきそばと違い太くてコシがある。人によってはパスタみたいな食感だと感じる人も。これは、独特の蒸し麺を使っているからである。
通常、やきそば用の麺は蒸したあと一度茹でて作られている。しかし、富士宮やきそばの蒸し麺は、蒸したあとに茹でずに急速に冷やし、表面に油をまぶすのだ! こうすることで、あの独特の食感が生まれる。
ちなみにこれは、富士宮やきそばが作られ始めた終戦直後に、麺の日持ちを良くするために考えられた方法だそう。
そして、「富士宮やきそば」を名乗るには、富士宮市内の4つの製麺所のいずれかで作られた麺を使う必要がある。その製麺所がこちらだ。
- マルモ食品工業
- 叶屋(かのうや)
- 曽我めん
- さのめん
うちはいつもマルモの麺だったなぁ。
これがマルモの蒸し麺。レトロな雰囲気を醸し出す外装がステキ。
メーカーによって麺の太さや油の量が違うので、食べ比べてみるのもいい。しかし、地元やその周辺のスーパーにしか置いていない模様。通販なら手に入れることができるぞ!
2.肉かす
肉かすと聞いてピンとくる人の方が少ないのではないだろうか…。肉かすとは、豚の背脂からラードを絞った後の残り物を油で揚げたものだ。うーん…たしかに「かす」かもしれない。
しかし! その名前とは裏腹に、富士宮やきそばには欠かせない存在なのだ。肉かすが入っていないやきそばは富士宮やきそばではない。肉かすから染み出す油が、富士宮やきそばに旨味を与える。
肉かすも、地元のスーパーには置かれているが遠方ではなかなか手に入れるのは難しいだろう。
こちらは我が家で愛用している肉かす。
なんと、製麺所であるマルモさんが作っている。その名も「焼そばの友」。こちらもレトロな雰囲気が漂っている。
細かく砕いてもいいし、そのまま入れてもいい。私は大きい方が好きだ。
3.削り粉(けずりこ)
削り粉というのも、あまり聞き慣れない単語かもしれない。削り粉とは、イワシを削った粉。だし粉とも呼ばれる。
富士宮やきそばを出す店や市販の製品によっては、サバとイワシのミックスや青海苔ミックスもあり、魚介の風味がやきそばに加わる。出来上がったやきそばを皿に盛ったあと、お好みの量をかけるのが通常だ。
これは、うちの削り粉。
サバとイワシのミックス削り粉を愛用している。やはり、どこかレトロ感が…。
実は、私が子供の頃はこの削り粉があまり好きではなかった。魚介だしの良さがいまいちよくわかっていなかったのだ。
純粋にソース味のやきそばが食べたかった私は、削り粉をかけなかった。今思えば、あれは富士宮やきそばの条件を満たしていない普通のやきそばだったのだ…。
大人になるにつれ、削り粉の良さがわかるようになってきた。
以上の蒸し麺・肉かす・削り粉の3つが富士宮やきそばである条件だ。さらに、炒め油にはラードを使い、ソースは辛口のウスターソース、仕上げに紅ショウガを乗せるのがツウの食べ方。
具材にもやしやネギを入れることもあるぞ。うちはもやしでかさ増ししている!
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【追加雑学①】富士宮やきそばの作り方
家庭での作り方は、他のやきそばとあまり変わらない。フライパンで作るのもいいが、ホットプレートでやるとお店の雰囲気も味わえるぞ! 家庭ごとに具材や手順が若干違うと思うが、ここでは我が家の作り方を紹介する。
①熱したプレートにラードを広げる。
②キャベツ・もやし・肉かすを入れて炒める。
③野菜類を端に寄せて、空いたスペースで麺を炒める。かけるお湯は1玉につき40ccほどだが、野菜の水分もあるので水っぽくならないように調整しながら。
④麺を炒めたら、野菜と肉かすを合わせてウスターソースで味付け。
⑤全体にソースを絡めたものを皿に盛り、削り粉と紅ショウガを好きなだけ乗せたら完成。
富士宮やきそばは麺のコシが強いので、満足感もハンパないぞ!
【追加雑学②】富士宮やきそばだけじゃない!富士宮名物「しぐれ焼き」
富士宮やきそばを使ったグルメには、しぐれ焼きというものもあるのをご存知だろうか。こちらは富士宮やきそばよりも知名度が低いかもしれない。しかし、「富士宮やきそばよりしぐれ焼きの方が好き!」という方も結構いるようだ。
しぐれ焼きは、小麦粉を水で溶いた生地に、キャベツ・富士宮やきそば・肉かすなどを乗せて焼いた、広島焼きやモダン焼きの仲間。
プロがしぐれ焼きを作っている場面の動画を見つけたので見てみてほしい。作り方も書いてあるぞ!
生地にたっぷり具材を乗せているので、返すのが難しそう…。富士宮市内には、富士宮やきそばとともにしぐれ焼きを食べられるお店が結構あるので、自分でひっくり返す自信がない…という方は、プロにお願いしよう!
雑学まとめ
今回の雑学では、富士宮やきそばと他のやきそばの違いについてご紹介した。こうして書いてみると、一般的なやきそばとは全然違うなぁと改めて思う。
地元の人間にとっては、やきそばといえば「硬い蒸し麺を使った、肉かすと削り粉が入ったもの」が普通なので、特別なものを食べているという感覚はないのだが…。
しかし、昔は富士宮といえば富士山だけが有名だったのが、富士宮やきそばのおかげで地元がさらに賑やかになったのは嬉しいことだ。
各地のB級ご当地グルメは、もともとまちおこしのために始められたものなので、富士宮やきそばもその役目をしっかり果たしている!
皆さんもぜひ富士宮に来て、本格的な富士宮やきそばやしぐれ焼きを味わってほしい。