自分を動物にたとえるなら…。誰でも一度はこんな質問をされたことがあるのではないだろうか。自身のまっすぐなところを強みとたとえるために、猪突猛進のイノシシだと答えた方もいるのでは?
実はイノシシはまっすぐしか走れないわけではない。むしろその身体能力は抜群で、左右に曲がるのみならず、急停止・急発進なども自由自在。1mほどの障害物であれば軽々飛び越えるという。
これまで、自分をイノシシと例えてきた方がいたら、この雑学記事を読んで、イノシシのイメージを改めてみてはいかがだろうか。
【動物雑学】猪突猛進で有名なイノシシは曲がるのが得意
【雑学解説】「イノシシ=猪突猛進」のイメージの源とは?
猪突猛進とは「周囲の人のことや状況を考えず、一つのことに向かって猛烈な勢いで突き進むこと」であり、よくよく見ればあまりいいたとえではない。
この言葉の由来はもちろんイノシシで、「イノシシのように猛々しく進む」様子を四字熟語にしたものだが、実はここに「曲がれない」といった情報は入っていない。理解が湾曲した結果、現代のようなイメージになったと考えられる。
つまり、イノシシが曲がれないなんて、誰も一言もいっていないのである。
実際のイノシシが獲物を追いかけるときは、獲物の動きにあわせて右へ、左へ。もともと脚の短いイノシシは小回りが利く方なのだ。しかも驚いたことに、イノシシは泳げる。2~3km程度であれば、簡単に泳いで渡るそうだ。
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【追加雑学】最後の干支、イノシシのルーツ
その昔、神様は年の暮れに動物たちを集めて競争をさせ、上位12位までに入った動物を十二支に決めたという言い伝えがある。しかし、100mを8秒台で走り、小回りも利く、さらには泳ぎも得意なイノシシがなぜ、最後の十二支になってしまったのか。
イノシシの身体能力を知った今、その順位に不服と感じるのは私だけではないはずだ。
実は、干支とは「十干(じっかん)十二支(じゅうにし)」の略で、動物の名前が割り当てられた部分は「十二支」の部分にあたる。
古くは中国にて年・月・日・時間・方位などを表す語として使われてきた「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」に、漢字が読めない人でも親しみやすいようにと、動物の名前を割り当てたことが起源とされており、動物の競争の言い伝えは後付けなのであった。ならば仕方がない。
ちなみに「十干」の方は、陰陽五行説に基づいた「甲(こう)・乙(おつ)・丙(へい)・丁(てい)・戊(ぼ)・己(き)・庚(こう)・辛(しん)・壬(じん)・癸(き)」の10種類からなり、それぞれを十二支と掛け合わせ、60種類で「干支」が構成されている。
「壬申の乱」や「戊辰戦争」などの「壬申」や「戊辰」は干支を表しているのである。
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雑学まとめ
今回はイノシシと猪突猛進にまつわる雑学をご紹介した。イノシシの身体能力は、四字熟語では表せないほど万能であった。
イノシシの通った後には獣道ができ、一度道を作るとずっとその道を使うらしいので、一つの道を突き進むといった意味では「猪突猛進」もあながち間違った表現ではないのかもしれない。
もし、山中でイノシシに出会ったら、無理に逃げようとせず、イノシシに刺激を与えないようにゆっくりとその場を後にするか、高いところに登ること。これがイノシシを回避する有効な対処法であることを最後にお伝えしておく。
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