最初にロシアによって打ち上げられてから、2018年11月に20周年を迎えた「国際宇宙ステーション」。
施設内の様子はときどきテレビ中継され、無重力状態での実験の様子や、宇宙飛行士が宇宙での生活を教えてくれたりと、比較的なじみのある「宇宙船」のイメージだと思う。
そんな国際宇宙ステーションにまつわるこんな雑学をご存知だろうか。
【宇宙雑学】「国際宇宙ステーション」の周辺には重力がある
【雑学解説】国際宇宙ステーションでも地球の重力は働いている
ロシア・アメリカ・日本・カナダ・欧州宇宙機関が共同で運用している宇宙の研究施設、「国際宇宙ステーション」。
日本ではテレビのニュースなどでたまに中継され、映像では乗組員やモノが無重力状態でフワフワと浮いている様子が映し出されている。
だれでも一度は見たことのあるこの光景。このような様子を見て、「宇宙は無重力」と思っている人は多いのではないだろうか? 実はこれ、全くの誤解である!
たしかに、地球から離れれば離れるほど地球の重力の影響は少なくなっていくことは事実だし、ましてや「宇宙」ほどの距離となると、地球の重力は一切影響がなくなって無重力になるのでは? と思うのもうなずける。
しかし、国際宇宙ステーションはたかだか上空400km程度。実はこの付近はまだ地球の重力は9割程度影響しているのだ。9割の重力だと60kgの人間が54kgになる程度で、とても無重力状態とはいえない。
では、重力があるはずの場所に存在する国際宇宙ステーションが無重力状態なのはなぜだろう?
無重力状態になるのは「遠心力」の影響
それは、「重力」と「遠心力」の釣り合いが取れているためなのだ。
簡単にいうと、「遠心力」は回転運動をするときに物体の外側に働く力。バケツをもって上下にグルグル回しても中の水が落ちないことや、ジェットコースターで1回転するときに乗客が落ちないのも遠心力が働いているためだ。
一方、空気抵抗がない宇宙空間では地球上では考えられない速度が出る。実際に国際宇宙ステーションは、なんと弾丸よりも速い時速27,600kmもの速さで地球を周っており、この速度は90分で地球を1周してしまうほどの超スピードだ。
この超スピードによって生まれる「遠心力」と、地球に引っ張られる「重力」の釣り合いがちょうどよいため、国際宇宙ステーションは「無重力状態」となっているのだ。
重力と遠心力のバランスが崩れると地球に落下してしまったり、地球の軌道からそれてしまったりする。役目を終えた人口衛星が地球に落下するというニュースをたまに目にするのはこのためなのだ。
絶妙なバランスで、一定の上空にとどまり続けている国際宇宙ステーション…。船内の無重力は、いうなれば「人工的」に作られた無重力であったのだ!
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【追加雑学】宇宙は無重力ではない
広大な宇宙空間だが、どんな場所でも大小無数の星の引力の影響を受けており、そもそも純粋な「無重力空間」は(後述の「ラグランジュポイント」をのぞいて)存在しない。
地球から38万km離れた月の引力が「潮の満ち引き」を生み出しているのがいい例だ。どんなに離れていても重力(引力)の影響から逃れることはできない。
唯一無重力が生まれる場所が、天体の引力と引力がちょうど釣り合う特殊な場所。そこは完全な無重力であり、「ラグランジュポイント」と呼ばれる。
余談だが、ラグランジュポイントは知る人ぞ知る「機動戦士ガンダム」のスペースコロニーが設置されている場所で、SF系のアニメや小説でもしばしば登場する。
雑学まとめ
本雑学記事では、国際宇宙ステーションの無重力のしくみや、そもそも宇宙空間は無重力ではないということを紹介した。
宇宙は無重力…とあたりまえのように信じてきた人も多いと思う。そんな人にとってはなかなか衝撃の事実だったのではないだろうか。
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