西洋から渡ってきたものには、何にでも「日本人初」というものが付く。サラリーマンの多くがお世話になっているネクタイにも、もちろん「日本人初」がある。
それでは、日本で初めてネクタイを付けた人は、いつの時代の人だったのだろうか? 西洋文化が広まっていく明治時代だろうか? いや、違う。なんと江戸時代だ!
今回は、知っているようで知らない、日本で初めてネクタイを付けた人物についての雑学を紹介しよう。
【歴史雑学】日本人で最初にネクタイをつけたのはジョン万次郎だった
【雑学解説】漂流でアメリカに渡った数奇な人生の持ち主
日本人で初めてネクタイをしたとされるジョン万次郎は、現在の高知県出身の人物だ。14歳のころ、炊事や雑用係として漁船に乗船していたのだが、沖合で強風にあい、船が操縦不能になってしまう。海のど真ん中で遭難してしまったのだ!
そのあとは海を漂流し、伊豆諸島の無人島で生活。船が操縦不能になってから約150日後、植物の調達にやってきたアメリカの捕鯨船の乗組員たちによって保護された。しかし、万次郎は日本に帰ることができなかった…。
どういうことかというと、当時の日本は江戸時代。そう、鎖国の時代である。万次郎が漂流したときは、まだ開国もしておらず、一部の国としか貿易をしていなかったのだ。
鎖国をしているから、アメリカは日本に立ち寄れない。そのため、万次郎は仕方なくアメリカへ行くしかなかったのだ…。そして万次郎は生きるために捕鯨船の乗組員として働き、アメリカ人たちから「ジョン・マン」という愛称で呼ばれることになった。
さらに、万次郎は保護してくれた捕鯨船の船長の養子になり、アメリカの学校にも通う。そこで万次郎は英語・数学・航海術・造船技術など様々なことを学んだ。とても勉強熱心だったため、主席にもなったほどだったそうだ。
とはいえ、差別にあうこともあった。そんななか、異国の地で勉学に励んだ万次郎は、本当に素晴らしい日本人だと思う。
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そして1851年、万次郎は日本に帰ることができた。もちろんこの時も鎖国の時代だが、当時琉球(りゅうきゅう)だった沖縄を通って、現在の鹿児島に入り、そこから各地を転々として故郷の高知に帰ることができたのだ。
漂流してから、なんと11年後のことである。
このとき、アメリカから持ち帰ってた所持品の中にネクタイがあったことから、「ジョン万次郎は日本人で初めてネクタイをした人物」とされている。
日本が開国する前から、アメリカの文化に触れた万次郎。それを考えれば、彼が日本人で初めてネクタイをした人物になるのも納得できる。
【追加雑学】その他、ジョン万次郎の「日本初」
ジョン万次郎はネクタイの他にも、日本で初めてのことをやってのけた。どんなことをやったのか、リストで見てみよう。
- 日本に「ABCの歌」を広めた
- 日本人で初めて鉄道や蒸気船に乗った
- 日本人で初めて金の採掘に携わった
「ABCの歌を広めた」というのは驚きだが、日本人だった万次郎がアメリカの英語を学ぶ第一歩として、アルファベットを習得する必要があったのだろう。そしてそのときに、ABCの歌に触れたということらしい。そう考えると、彼がこの歌を広めたのは当たり前のことなのが分かる。
ちなみに万次郎は、帰国後は通訳としても活躍していた。もしも彼がいなかったら、私たちはアメリカ人との言葉の壁を乗り越えられなかったかもしれない…。
雑学まとめ
現在ではサラリーマンの多くが身に着けているネクタイにまつわる雑学、いかがだっただろうか。日本人で初めてネクタイをつけたのは、漂流をきっかけにアメリカへと渡ったジョン万次郎という人物だった。きっとアメリカ生活の中でも、ネクタイをつけることはあったのだろう。
ちなみに、万次郎は英語ができることを活かして、日本とアメリカの平和的な関係を約束する「日米和親条約」の締結に陰ながら進言をしていたこともあった。
陰ながら日本を支えた人物の1人でもあったというわけだ。
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