1989年公開のディズニー映画『リトルマーメイド』。アンデルセン童話の『人魚姫』をアレンジした、王子様と人魚の恋を描いた物語である。
リトルマーメイドに登場する悪役は、ディズニーの悪役でも根強い人気を誇る「アースラ」という魔女だ。作中では主人公・アリエルの恋心を利用し、海の王の座をアリエルの父・トリトンから奪い取ろうとする。
アリエルどころか、あらゆる海の生き物たちを貶めてしまうなかなかにヤバイヤツである。
で…このアースラと、アリエルは実のところ親戚だという。ってことは…姪っ子に牙を剥こうってのか!? 余計にヤバイヤツじゃないか!
ということで、今回は『リトルマーメイド』の悪役・アースラの雑学を紹介するぞ!
【サブカル雑学】ディズニー映画「リトルマーメイド」の悪役・アースラはアリエルの親戚
【雑学解説】『リトルマーメイド』のアースラとアリエルの関係は?
アースラがアリエルの伯母さんだって!?という雑学に触れる前に、まずはアースラがどんなキャラクターなのかをおさらいしておこう。
グッズやショーなどで知ってはいても、実は作品はまだ見れてないんだよね! みたいな人もいるかもしれないしね。
『リトルマーメイド』のアースラはこんなキャラクター
アースラは映画『リトルマーメイド』に登場する魔女で、タコの足に紫色のふくよかな身体、パンク風のヘアスタイルに銀色の髪の毛が特徴のおばはんである。海の底の暗い洞窟に、フロットサム・ジェットサムという2匹のウツボを従えて暮らしている。
「人助け」と称して悩める人魚たちの願いを叶え、代わりに自分の欲しいものをなにか貰う(アリエルの場合は声)という悪業を繰り返している悪いおばはんである。
え…願い叶えてくれるの? いいおばはんやん。…などと思ったら大間違い。
魔法をかける際には約束を設け、期限内にその約束を果たせなければ、干からびた変な生き物に変えられる。変な生き物はアースラが魔法を調合する際の材料に使われてしまうという、なかなかエグイ仕打ちをしてくるのだ。
しかも条件となる約束は部下に妨害させるなどして、必ず失敗するようになっている。つまり「約束さえ守れば大丈夫!」と思っている人魚を利用して、自分の欲しいものだけネコババするクソババである。
ちなみに魔法をかける際は口約束ではなく契約書を交わすという入念っぷり。悪徳セールスマンの鏡だ。この契約書自体が魔力を持っており、それはアリエルの父・トリトンが矛で破こうとして失敗するほど強力なものである。
で、作中では主人公のアリエルが標的にされるわけだ。ふたりがどんなやり取りをしたのかも詳しく見ていこう。
映画『リトルマーメイド』内でのアースラとアリエルのやり取り
アリエルがアースラの標的になったことからわかるように、アリエルもほかの人魚たちと同じく悩める人魚ちゃんだった。
彼女は人間の船を見物に行った先で王子・エリックに恋をするのだが、人間と人魚の恋は禁じられており、父親のトリトン王から「もう会ったらあかん!」と言われてしまう。
そう、アリエルの願いは人間の身体を手に入れてエリックと結ばれることである。アースラはこの願いにつけこんでこんな約束をけしかけるのだ。
「3日間、人間の足を与える代わりに、持ち前の美声をもらう。でも、もし3日以内にエリックとキスできなかったら、あんたの身体をもらう」
この契約を交わしてアリエルは人間の姿となり、エリックの元へ行くわけだ。以下がその1シーンである。
この後もちろん、人間になったアリエルの恋はアースラに邪魔される。アースラは「ヴァネッサ」という黒髪の美女に姿を変え、アリエルから奪った美声と魔法を使ってエリックを操り、自分が結婚してしまおうとするのだ。
間違って結婚した相手がタコのおばはんってけっこうショックである…。まあそれも結婚する前にバレちゃうんだけどね!
…と、今回はそんなアースラが「実はアリエルの親戚」という雑学なのだが、これはいったいどういうことだ?
アースラはトリトン王に追放された彼の姉だった!
実はこの「アースラはアリエルの伯母さん」という設定は、ミュージカル『リトルマーメイド』にて加えられたものである。
ブロードウェイ板のリトルマーメイドの劇中歌には、以下のような内容の歌詞が登場する。
ブロードウェイ版の劇中歌「I Want The Good Times Back(楽しかった時間を取り戻せ)」
「父親が亡くなる際、アースラは魔法の源の貝殻と海の半分をもらって、 トリトンは矛(ほこ)と海の半分をもらった。 黒魔術使ってたら王になったトリトンに追放された! 許さない! 復讐してやる!」
以下が「I Want The Good Times Back」のシーンを映した動画だ。
また日本の劇団四季版では少し設定が変わっていて、以下のような内容になる。
劇団四季版の劇中歌「パパの可愛い天使」
「アースラは7人姉妹の末っ子だった。父親は姉たちを愛して、醜い自分は愛されない。だから魔法の貝で姉や父親を殺したんだ。トリトンは当時赤んぼだったから見逃したけど、王になったら追放しやがった! 許さない! 復讐してやる!」
音声だけだが、以下の動画で「パパの可愛い天使」を聴くことができる。
なるほど! 1曲聴けばアースラが何者なのかしっかりわかる。
つまり姉弟のなかで唯一醜く生まれたアースラは姉たちを妬んで全員殺してしまった。その罪でアリエルの父・トリトン王に追放されてしまった彼の姉なのだ。アリエルにとっては伯母さんにあたる。
ブロードウェイ版では「黒魔術を使った罪」となっているが、とにかく追放された恨みは変わらない。その恨みがアリエルに標的を向けさせたわけだ。
映画『リトルマーメイド』終盤で、アースラはアリエルを人質として利用し、トリトンから一時、王座を奪う。
その際トリトンからぶん取った「王族だけが扱える矛・トライデント」を扱っているのは、彼女もまた王族の血を継いでいるからだったのだ! すげー! 繋がったー!
ちなみに姉弟のなかでアースラだけが醜く生まれてしまったことには、彼女が側室の娘だから…という設定がある。
つまりアースラやトリトンのお父ちゃん(ポセイドン)の正室は人魚で、側室はタコだってこと…? お父ちゃんは何を考えてタコを側室にしたんだよ…。
姉を殺すのはダメだけど、よく考えたらアースラも被害者だよね。
以下に劇団四季版『リトルマーメイド』のPVも紹介しておこう! アニメ映画とはまた違ったおもしろさがあるので、機会があればぜひ!
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【追加雑学①】『リトルマーメイドⅡ』ではアースラの妹が登場する
知っている人も多いかもしれないが、アースラには「モルガナ」という妹がいる。アースラとは対照的な細身の身体をしているが、下半身は相変わらずタコ。
アースラぐらい悪人だけど、アースラほどの魔法は使えない。そのためアリエルとエリックの娘・メロディを利用してトリトン王のトライデントを手に入れ、海を支配しようとしたちょっと残念な悪役である。
…下半身がタコってことは、モルガナも側室の子なわけだよね。アースラみたいに魔法の力ももらえなかったわけだし、余計に可哀想な役どころではないか…。
以下がモルガナの登場シーンだ。日本語吹き替え版は久本雅美さん。
【追加雑学②】アースラにはモデルがいる
実のところ、アースラは完全に想像でデザインされたキャラクターではなく、ちゃんとモデルがいる。え…あんな人間いるの!? と思わされるところだが、アメリカにはいたのだ。
そのモデルとは、1980年代にアメリカで活躍した「ディヴァイン」という俳優・歌手。男性なのだが、アースラのような逆立てた髪型にケバケバのメイク、ドラァグクイーンと呼ばれる装いで、女装を芸風にしていたタレントだった。
要するにアメリカ版マツコ・デラックスだ。
以下はディヴァインの「Shake It Up」という楽曲の動画である。
彼は残念ながら1988年に亡くなってしまった。リトルマーメイドの公開まであと1年だったのに…。観たかっただろうなあ。
【追加雑学③】アースラは初期デザインではカサゴになる予定だった
アースラは実は制作の初期段階でタコではなく、別の生き物がモチーフにされようとしていた。
カサゴである。
…どんな魚だっけ? という人もいるかもしれないので動画も紹介しておこう。
トゲトゲしたヒレをもつ、なかなかにファンキーな見た目の魚である。そこまで毒性は強くないものの、毒針をもっているちょっと怖い魚だ。
以下のツイートでカサゴを模したアースラの初期デザインが載せられている。タコよりも化け物感がすごい…。
アースラの初期デザインはタコではなくてカサゴhttp://t.co/7nwp4Xa6ol#ディズニー #アースラ pic.twitter.com/SegLLhfqMb
— ディズニー雑学・トリビア「じゃみログ」 (@jami_ru) June 29, 2015
試行錯誤を重ねた結果、最終的には今のようなタコの下半身をもつキャラクターとなった。
個人的にはタコのほうが魔女っぽくてアースラらしい気がするので、このデザイン変更は正解だったのかなと思える。ヨーロッパではタコは「デビルフィッシュ」と呼ばれているし、悪役のイメージにもぴったりじゃないか。
まあ、カサゴもおっかなくていい感じだけど。
雑学まとめ
今回は『リトルマーメイド』の悪役・アースラの雑学を紹介した。
主人公と黒幕という、縁遠い立ち位置にいながら、アリエルにとってアースラは親戚の伯母さん。そしてアースラには、ひねくれてしまう気持ちもわからなくない辛い過去があった。
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