江戸時代

マジか!?「マジで」は江戸時代から同じ意味で使われている

雑学カンパニー編集部

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「マジで」に関する雑学

「マジで?」「マジっすか?」…現代を生きる人間ならほとんどの人が聞いたことがあるであろうこの言葉。一般に若者が使っている最近できた言葉というイメージがあるが、実はこの言葉は遥か昔から変化しながら存在していたのだ!

今回の雑学ではこの新しそうで古い言葉、「マジ」を解説する。

【生活雑学】「マジで」は江戸時代から使われている

孫ちゃん
おばあちゃん、聞いて聞いて!「マジ」って江戸時代から使われてた言葉なんだって!
おばあちゃん
おや、あんたが口癖みたいにいってる「マジ」のことかい?
孫ちゃん
そうそう!しかも意味も今と同じような感じなんだって!なんかすごいね!

【雑学解説】江戸時代の「マジ」

江戸時代の「マジ」についてのトリビア

江戸時代の「マジ」は、楽屋言葉として使われていた。今でいう芸能界での「業界用語」だ。当時から若者たちのあいだで主に使われていたようだ。用法としては、「マジになる」「マジな心」と現代とほぼ同じような使い方をされている。

おばあちゃん
もともと業界用語なのかい。知らなかったねぇ。

また、「ほんに男猫も抱いて見ぬ、まじな心を知りながら」というように、楽屋言葉から発展して歌舞伎のセリフとしても使われていた。

文献としては、1624~44年に刊行された仁勢物語で、「まじめなるかほ」というかたちで使用されている。

意味としては、現代と同じ「真剣」「本気」といった意味のほかに、「おびえた表情」「白けた顔」といった意味でも使われていた。現代でもその意味が残っていたならば、「あいつビビりすぎててマジになっちゃってるぜえぃ…!」という感じで使われるのだろうか。

孫ちゃん
怖がってる様子も「マジ」っていってたんだね。

そんな「マジ」という言葉の由来を、江戸時代からさらに時代をさかのぼって探してみよう。

【追加雑学①】「マジ」の語源をたどる

「マジ」の語源をたどるというトリビア

「マジ」の語源は、遥か平安時代以前にまでさかのぼることができる。そして最終的に「ましろく」という言葉に行き着く。

孫ちゃん
平安時代!?そんな前!?

「ましろく…?なんだ、白いのか?」と思われる方も多いかもしれないが、意味は「瞬きする」「目をしばたかせる」となる。詳しく見ていこう。

まずこの単語は、「ま」と「しろく」に分けることができる。

この「ま」は「まなこ」という単語からきている。これを分解して現代語に訳すと、

  • 「ま」…「目」という意味
  • 「な」…現代の「~の」
  • 「こ」…「子供」の「子」

となるので、「ましろく」の「ま」は「目」という意味になる。

ちなみに「まなこ」という単語は、分解して現代語訳すると「目の子」となることからわかるように、最初は「目の中の黒目」という意味で使われていた。後にそれが転じて、目全体を指す言葉になった。

そして、「しろく」の意味は「こまかく動く」である。

よって「ましろく」は「目がこまかく動く」となり、「瞬きをする」「目をしばたかせる」という語訳につながっていくのだ。

この「ましろく」だが、時が経つにつれて「まじろぐ」というかたちに変化していく。「まじろぐ」という言葉は、1120年代に編纂(へんさん)されたあの有名な「今昔物語」に載っている。

さらにそこから現代でも使わてれいる「まじまじ」という言葉に派生していく。

「まじまじ」とは、「じっと見つめる」という意味である。語源から察するに「何度も瞬きが必要なほど長い時間見つめている」となろうか。

これが江戸時代の楽屋でさらに変化して「まじ」となる。語源から意味をくみ取ると「長い時間同じものをじっと見つめている」→「本気の眼差し」→「本気」と、現代に通じる意味になっていくのだ。

おばあちゃん
平安時代の「ましろく」からこう繋がっていくとはねぇ…。
孫ちゃん
そんな昔の言葉が語源だったなんて誰も知らないよね。

こうして楽屋の中で若者が「マジ」を使っていったのである。「それ、マジな心?」「そう、マジな心。」といった感じの会話が繰り広げられていたのだろうか。

そのあと、現代まで業界用語として一部に使われていた「マジ」だが、現代のメディアの力によって全国の若者に浸透していくことになる。

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【追加雑学②】現代に返り咲いた「マジ」

現代に返り咲いた「マジ」についてのトリビア

「マジ」という言葉が若者に広く普及したのは1980年代の頃である。

1980~1987年にビッグコミックスピリッツに連載されていた「めぞん一刻」のなかで「本気」と書いて「マジ」と読む言葉が使用されていた。

さらに、1986~1996年まで週刊チャンピオンで連載されていた「本気!(マジと読む)」という漫画が大ヒットし、若者を中心に「マジ」が浸透していく。

他にもテレビでとんねるずが「マジ」を使用したことも普及の一因となった。

こういった若者向けのメディアを通して広く普及した「マジ」は、当然ながら若者が中心として使う若者言葉になっていったのである。

最終形態「マ」

「マ」は「マジ」の短縮形である。

「マ」の歴史をたどると「こマ?(これマジ?)」という言葉に行き着く。この言葉は最初、ごく一部のネットユーザーのみが使う言葉だった。

ツイッターでの検索によると、「こマ?」が2012年の年末に一部のネットユーザーに使われ始めた。そのあとすぐに「そマ?(それマジ?)」に派生した。

半年ほど遅れて「マ?」という使い方も現れた。そして「こマ?」「そマ?」「マ?」は徐々にネットユーザー全体に浸透していったのだ。

孫ちゃん
えぇ!?周りに「マ?」とかいってる人いないけど!?
おばあちゃん
ネットの中での独特ないい回しなのかねぇ。

やがてネットから発生した「マ」は現実世界にも浸透し、2017年にはギャル語大賞に選ばれるまでになったのである。

おばあちゃん
あぁ、あんたはギャルじゃないからねぇ。
孫ちゃん
おばあちゃんの口からギャルって言葉が出てきたよ…。

雑学まとめ

マジか!?「マジで」は江戸時代から同じ意味で使われているというトリビアまとめ

「マジ」についての雑学、「マジで!?」と楽しんでいただけただろうか。江戸時代には業界用語だった「マジ」だが、その言葉の背景には長い年月と多くの言葉があった。

そして現代、移り行くメディアによって大きくかたちを変えてきた「マジ」は、1980年代には漫画やテレビを通して若者に普及し、2010年代にはネットを通して新しいかたちを生み出したのだ。

短くなるところまで短くなってしまった「マジ」だが、このあとはどのように変わっていくのだろうか。またネットを通して変わっていくのか、それともまったく新しいメディアによって変化していくのだろうか。今後が楽しみである。

おばあちゃん
最近はどんな言葉も省略して短くなっちゃうからねぇ。おばあちゃんにはもう何がなんだか…。
孫ちゃん
「マ」でしばらくたったら、むしろ今度は「本気」とかちゃんとした言葉に戻ったりしてね。
おばあちゃん
そうなったらおばあちゃんも会話についていけるねぇ。

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