秋になると色づく植物たち。紅葉は秋の風物詩だ。
ところでこの「紅葉」、なんと読む?
葉が色づく様を表した「こうよう」という読み方とともに、特定の植物を指す「もみじ」とも読むことができる。小さな子供の手のひらのようなかわいらしい葉をもつもみじ。代表的な色づく樹木だ。
ところがこの「もみじ」という植物、実は存在しない…? 今回はそんな、驚きの雑学をご紹介していくぞ!
【自然雑学】「もみじ」という植物は存在しなかった
【雑学解説】モミジ=カエデ?
♪あーきのゆうひーにー、てーるーやーまーもーみじー
他にも、もみじ饅頭にもみじおろし…。「もみじ」という言葉はいろんなところに転がっている。
そして、私たちが「もみじ」と聞くとき、思い浮かべるのは決まって特定の植物だ。赤や黄に染まる小さな手のひらの形をした葉っぱ。
ところが、なんとその植物の正体は「カエデ」だったのだ。
一般に「もみじ」と呼ばれる植物は「イロハモミジ」を指すことが多い。しかし、この「イロハモミジ」、分類でいうと「ムクロジ科カエデ属」。
れっきとした「カエデ」なのだ。植物の分類に「モミジ科」も「モミジ属」も存在しないのである!
カエデ…というと、メープルだ。メープルシロップの原料はサトウカエデの樹液。もみじはその仲間のひとつだったのだ。
たしかに、メープルと聞いて思い浮かぶのも、もみじに似た形の葉っぱ。似ているどころか、親戚だった。
「もみじ」とはなんなのだろうか?
そもそも「もみじ」という言葉は、そのまんま「紅葉」という漢字が当てはまるように、「紅葉する植物」そのものを意味していたのだ。
つまり、「もみじ」は紅葉する植物の総称。そして、そのなかでも代表的なカエデが次第に「もみじ」と呼ばれるようになったのである。
イチョウやブナなど、赤や黄色に染まった葉っぱはみんな「もみじ」だと言っても間違いではない。
それにしても、紅葉という言葉そのものが特定の植物の名前になってしまうなんて…。もみじの力、恐ろしい。
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【追加雑学①】もみじにも血液型がある!
もみじ…もといカエデだが、赤く染まる木もあれば黄色く染まる木もある。同じ植物なのに色が変わるなんて不思議。
実は、カエデの色が木によって違うのには驚きの理由があった。それは血液型だ。なんと、血液型がある植物が存在する。
そもそも血液型とは、血液に含まれる糖タンパクの種類によって分類されている。植物には人間のように赤い血が流れているわけではないが、人間の血液と同じように植物によって異なる種類の糖タンパクを持っているのだ。
血液型の特定も人間とまったく同じ方法で調べるのだそう。もちろん血液はないから植物をすりつぶした液を使う。
全植物のおよそ10パーセントが人間と同じようなABO式で分かれる血液型を持っているのだ。たとえば、ダイコンやキャベツ、イチゴはO型。ソバやバラはAB型。セロリやイヌツゲはB型。アオキやヒサカキはA型。
カエデもその10パーセントの植物のひとつ。しかも、血液型によって葉の色づきが変わるのだ。
赤いカエデはO型で、黄色いカエデはAB型。
まさか、カエデの色づきに血液型が関係していたとは…。同じ血液型のカエデにはなんだか親近感を覚えてしまう。
【追加雑学②】もみじも花が咲く?
紅葉の代表格として「紅葉」の単語そのものになっていたカエデ。それだけあって、葉っぱばかりに注目がいきがちだ。
「もみじ」と聞いてもすぐに出るのは葉っぱのイメージ。でも、カエデだって植物なんだから花も咲くはず!
そう、カエデも花は咲くし実もなるのだ。
カエデの花が咲くのは4月頃。そして、そのあとに実がなる。
花の動画を見つけたので見て欲しい。
葉っぱの陰にちょこんと見え隠れする、赤くてハート型をしたかわいらしい花。紅葉ばかりにフォーカスされがちなもみじだが、花だって魅力的だ。
色づきが美しい秋だけでなく、春の姿にも注目したい。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。まさか、もみじが存在しない植物だったなんて…。驚きだ。
そうはいっても、「カエデ」はメープルみたいな洋のイメージが強くて違和感だ。たとえカエデが正しくても、やっぱりもみじは「もみじ」がしっくりくる。
紅葉そのものを指す「もみじ」。それを我が物にしてしまったもみじはすごい。