パーティーのような人の集まる場だと、食事に手をつける前に乾杯をすることが多い。乾杯の飲み物は、大人ならビールなどのアルコール、子どもだとジュースが定番だろう。
北海道のある町では、「牛乳で乾杯条例」が制定されている。名前のとおり、「牛乳で乾杯をしよう」という条例だ。
牛乳で乾杯って、一般的じゃないよな…。なんで牛乳なの? 今回の雑学では、そんなナゾ条例について迫ってみた!
【ルール雑学】北海道に「牛乳で乾杯条例」を制定した町がある
【雑学解説】酪農が盛んな中標津町では牛乳で乾杯をする
北海道標津郡(しべつぐん)の中標津町(なかしべつちょう)には、おもしろい条例がある。「中標津町牛乳消費拡大応援条例」だ。漢字だらけ!
この条例は「牛乳で乾杯条例」と呼ばれている。どんな町で誕生した条例なのか、町の様子を見てみよう。
中標津町は「人より牛が多い町」として知られており、人口約2万4000人に対し、乳牛が約4万頭も飼育されている酪農の盛んな町だ。酪農が盛んだから牛乳で乾杯をしようと考えるのは理解できるが、条例で制定するほどのことなのだろうか?
わざわざ条例を制定したのは、中標津町の悲しい状況が関係していた。中標津町は酪農が盛んなだけでなく、生産される牛乳の品質もいい。しかし、地元の人には質のよさがあまり知られていなかったのだ。
さらに、牛乳の消費量も特別多いわけではない。酪農が盛んなのに、地元産牛乳の理解度も消費量もいまいちとは…。酪農に携わる人たちのことを思うと、胸が痛む。
そこで中標津町は、地元産の牛乳のアピールと消費拡大のために、「牛乳で乾杯条例」を制定した。条例では1杯目の乾杯を地元の牛乳ですることを奨励している。地元の飲食店も協力しており、乾杯用の牛乳を用意しているお店もあるようだ。
条例に反して牛乳以外の飲み物で乾杯をしても罰則はないので、牛乳が飲めない人も安心してほしい。正直、牛乳で乾杯はどうなんだと思ったが、地元愛あふれる条例なら応援したいと思う。中標津町に行ったら、牛乳で乾杯をするぞ!
スポンサーリンク
【追加雑学】日本各地でいろいろな乾杯条例が制定されている
北海道の中標津町のほかにも、乾杯の飲み物を条例で定めている市町村が、日本各地に存在する。今回は、3つの市の乾杯条例を紹介しよう。
京都府京都市「日本酒で乾杯条例」
京都市では「京都市清酒の普及の促進に関する条例」が制定されている。清酒とは日本酒の種類の1つで、この条例は通称「日本酒で乾杯条例」だ。
日本酒で乾杯条例は、日本酒の名産地である京都の日本酒を通じて、日本の伝統文化をより深く理解してもらうことを目的としている。かんたんな表現にすると、日本にもいいお酒があるから知ってほしい、といった感じだろう。
お酒の中でも日本酒はちょっと手を出しづらい、大人の飲み物というイメージだ。だが、京都に行けば条例を理由に日本酒が飲める! 日本酒にチャレンジしたい人は、京都に行こう!
和歌山県田辺市「紀州梅酒で乾杯条例」
和歌山県田辺市では、「田辺市紀州梅酒による乾杯及び梅干しの普及に関する条例」が制定されている。通称「紀州梅酒で乾杯条例」と呼ばれるこの条例は、地元の梅酒や梅ジュースでの乾杯を推奨している。梅ジュースもオッケーなのか!
田辺市では江戸時代から梅の生産が始まり、今も日本を代表する梅の産地だ。梅酒・梅ジュースで乾杯をすることで、梅の消費拡大や地域産業のアピールをするのが、条例の目的である。
私は梅酒が好きなので、梅酒なら乾杯だけといわず、食事中もグビグビ飲める。田辺市は私のような梅酒好きにとっては、もしかしたら理想の町なのかもしれない。
静岡県掛川市「緑茶で乾杯条例」
静岡県掛川市は、「掛川市緑茶で乾杯条例」だ。とてもわかりやすい、ド直球の条例名。さすが日本有数のお茶産地、静岡県!
緑茶で乾杯条例は緑茶の消費拡大だけを目的とせず、緑茶でのおもてなし文化を広めることも目的としている。「お茶どうぞ」の気持ちも大事だよと伝えたいのだろう。お茶文化ってステキ。
乾杯の飲み物はただの緑茶だけでなく、焼酎の緑茶割りなどのお酒も対象だ。ちなみに、焼酎を掛川産の緑茶で割ったものは、「掛川割り」と名づけられている。ご当地感があると飲みたくなるのは、私だけだろうか?
とりあえず緑茶で我慢しよう…。
雑学まとめ
北海道に牛乳で乾杯条例を制定した町があるという雑学を解説した。牛乳で乾杯なんてちょっと変だと思っていたが、地域の団結力を感じられるいい条例だった。
乾杯条例がない町に住む人も、地元で生産される飲み物で乾杯をしてみてはどうだろう? 自分の住む町の魅力を、再確認できると思うぞ!
おすすめ記事
-
イタリアでは"乾杯"を”Cincin(チンチン)”と言う。下ネタではない。
続きを見る