日本を代表する漫画家の一人・横山光輝(よこやまみつてる)。
『鉄人28号』を手掛け、日本に巨大ロボット漫画のジャンルを生み出したことは有名だろう。また海外ドラマ『奥さまは魔女』から着想を得た『魔法使いサリー』も、魔法少女漫画の元祖だという。
さまざまなジャンルのパイオニアとして、横山氏が日本の漫画界に多大な影響を与えたことは疑いようもない。
そして実は、そんな横山氏が手掛けた作品のキャラクターがこぞって登場するアニメが存在するという雑学を耳にした。以下よりその注目のアニメ作品について迫っていこう。
【サブカル雑学】横山光輝のあらゆる作品のキャラが登場するアニメがある
【雑学解説】「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」には横山光輝のキャラが総登場する
横山氏の作品の1つに『ジャイアントロボ』という漫画がある。そのアニメ版である『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』は、横山氏が手掛けた他作品のキャラクターが次々に登場する作品になっているのだ。
以下にジャイアントロボのアニメ版・OPの動画を載せておこう。
ジャイアントロボの原作は、世界征服を目論む秘密結社・ビッグファイアと国連特別捜査機構の戦いを描いたものだ。主人公の草間大作は国連特別捜査機構の一員として、ジャイアントロボを操ってビッグファイアと戦うのである。
後に制作されたアニメやドラマでは、組織の名前が微妙に変わるが、基本的な設定は同じだ。
しかしアニメ版では、登場人物のほとんどが横山氏の他作品のキャラクターになっているのが面白い。名前は変わっていることが多いが、元ネタを知っているとすぐに誰だかわかるようになっている。
アニメ版はジャイアントロボシリーズの中でも特に知名度が高く、イラスト投稿サイトの関連イラストは、ほとんどがアニメ版を描いたものだ。やはり自分のお気に入りのキャラが登場するとうれしい人も多く、注目されたのだろう。
しかしこの作品の魅力は、お馴染みのキャラクターが総登場することだけには留まらない。
スポンサーリンク
ジャイアントロボよりも強そうな人間が登場する
ジャイアントロボは巨大ロボットを主役にした作品のはずだが、アニメ版で目立った活躍をするのは敵役の超人である。一応ジャイアントロボは世界最強のロボットという設定だが、実はそこまで活躍しないのだ。
登場する超人たちは元ネタの作品でも強いキャラクターが多い。しかしこの作品では、さらに大幅に強くなっているのだ。特にアニメ版の敵役であるBF団の幹部十傑集は、ファンから「ジャイアントロボより強い」などと冗談混じりにいわれるほどである。
もちろん十傑集のメンバーは全員横山氏の漫画に登場するキャラクターで、『仮面の忍者赤影』の赤影・『闇の土鬼』の土鬼など、他作品の主人公が2人も加わっている。
また知名度の低いキャラクターも採用され、十傑集の一員である衝撃のアルベルトは『マーズ』という作品の名前すらないキャラが元ネタだ。しかし意外にも彼は、ジャイアントロボで屈指の人気キャラとなった。
アルベルトは、ゲーム作品・『スーパーロボット大戦』ではエヴァンゲリオンの使徒と生身で戦っている。…どう考えても生身の人間が勝てる相手ではないのだが…。以下の動画でゲーム内での描かれ方が確認できるぞ。
人間のユニットだからかHPは低いが、運動性が異常なので、まず攻撃が当たらない。ちなみに基本的にはプレイヤーが操作することはできず、使徒の足止めをするだけである。そもそも普通に操作できたら、ゲームバランスなどあったものではない…。
異常なほど強く描かれているが、原作のファンは少しもおかしいと感じていないのがまたシュールである。
ちなみにアルベルトの娘は、『魔法使いサリー』のサリーちゃんが元ネタの、サニー・ザ・マジシャンだ。
【追加雑学】30年近く経っても完結していない
アニメ版のジャイアントロボは1992年にスタートした作品だが、実は未だに完結していない。1998年に一応物語には区切りがついているが、飽くまで「第一部が終わった」という扱いに留まっているのだ。
本来は全26話を予定されていたが、実際は7話までしか作られておらず、続編を望む声も多い。しかし、たった7話の製作に6年もかかったうえ、制作費がかかりすぎたせいで続編の製作は不可能といわれている。
その後、設定を一部変更した漫画版が雑誌・『チャンピオンRED』で連載され、この作品もファンの間で大いに話題を呼んだ。
作中では前述のアルベルトが、悪役のボス・ビッグファイアに反旗をひるがえすことを匂わせるなど、気になる展開が繰り広げられたが、こちらもまた完結せずに終わっている。
そして実写版のジャイアントロボに関しても、予算の問題で制作が途中で中止されるなど、関連作品は軒並み完結していないものばかりだ。
ちなみに原作のジャイアントロボ自体も、連載終了後に単行本化されるまで30年かかっており、一時は幻の作品と呼ばれていた。ジャイアントロボというタイトルがつくと、どうにもトラブルが付き物らしい…。
雑学まとめ
『ジャイアントロボ』についての雑学を紹介したが、いかがだっただろうか。
生身の人間がロボットより強い設定から、アニメ版のジャイアントロボは、しばしばネタ的な扱いを受けることがある。しかし、ストーリーは父と息子の絆をテーマにした重厚な内容で、見応えありだ。
作品は途中で終わったが、「親子の物語としては完結している」などといわれ、その評価は高い。
また横山氏は自分の作品のアニメ化には厳しいというが、アニメ版・ジャイアントロボに関しては、面白いと喜んでいたという。