馬とロバが非常に似た生き物だということは、誰が見ても明らかなことだ。しかし、馬とロバの間に子どもが産まれると聞くと「え! 別の動物なのに?」と驚く人も多いのではないだろうか。
今回紹介する「ラバ」は、馬がお母さん・ロバがお父さんという珍しい動物である。人間でいえば、ハーフというとカッコイイイメージがあるが、動物の世界ではどうなのだろう?
今回の雑学記事ではそんな不思議な動物、ラバの実態に迫った!
【動物雑学】「ラバ」はメスの馬とオスのロバから産まれた動物
【雑学解説】馬とロバのいいところをあわせ持つのが「ラバ」
ラバについて説明する前に、まずは馬とロバについて解説しておこう。馬は「ウマ科ウマ属ウマ亜種」グループに所属し、ロバは「ウマ科ウマ属ロバ亜種」グループに所属している。似ていても、生物学上でしっかりと区別された動物だ。
このような別の生き物同士が子どもを作ると、生まれてくるのはまったくの新種になる。メスの馬とオスのロバの間に産まれた子どもは、馬でもロバでもない新たな動物として「ラバ」と呼ばれるのだ。
ちなみに、オスの馬とメスのロバからは「ケッティ」という、ラバとも異なる動物が産まれる。生物の分類は非常に複雑なのだ…。思わず、もうラバでいいじゃん…といいたくなる。
以下の動画では、ラバの姿を確認することができる。馬とロバが似ているのだから、子どものラバも似た姿になる。おおざっぱにいえば、どれも一緒に見えてしまうが…。
見分けるポイントを挙げれば、ロバは馬よりも耳が長く、ラバの耳もロバほどではないものの、やや長めになっている。顔はどちらかといえばお父さん似なのだろうか。
とはいえ、ラバの身体には馬の特徴もしっかり表れている。ロバは身体の大きさや脚力の面では、強靭な馬に劣る。対してラバは、馬の身体の大きさと脚力を受け継いでいるのだ。
ん? じゃあ結局、パフォーマンス的には馬が一番ってことじゃないか? と思った人もいるだろう。しかしロバにだって、馬に勝る部分が当然ある。ロバは少ないエサでも生活でき、暑さや乾燥に強いという特徴をもっているのだ。
そしてラバは、そんなロバの生命力も受け継いでいる。いわば馬とロバのいいとこどりをした生き物なのだ!
ちなみに性格は、お父さんのロバに似た傾向がある。ラバはロバに似て、頑固なのだ。「お父さんが頑固」などといわれると、なんだか『巨人の星』の星一徹のような、頑固オヤジを連想してしまう。
関係ない話だが、ラバのお父さん似、お母さん似の話をしていたら、なんだか、自分のどんなところが親に似ているのかも気になってきた…。久しぶりに実家に帰ろうかな。
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【追加雑学①】ラバが子どもを産むと世界が滅びる?
ラバには恐ろしい言い伝えがある。「ラバが子どもを産むと世界が滅ぶ」というものだ。えっ…何それ、こわい…。ラバからは悪魔が生まれてくるとでもいうのか?
実はラバが子どもを産むことは、非常に珍しいことなのだ。つまり珍しいという意味で、世界の終わりに例えられたわけだ。珍しいことが起きたときに「明日は雨が降る」というのと、同じようなニュアンスである。
ほとんどのラバは生殖能力がなく、子どもを産むことができない。これも違う動物を両親にもった宿命なのだろうか…。ただし、ごくまれに、子どもを産めるラバもいる。ちなみに生まれても世界は終わらないぞ!
ラバからしてみれば出産はめでたいことなのに、世界が終わるなどといわれてしまっては、ちょっと可哀想である。
【追加雑学②】ライオンとトラを親に持つ「ライガー」も存在する
ラバ以外にも、異なる種を親にもつ動物はいる。中でも有名なのが、ライオンとトラから産まれた「ライガー」だ。いかにも強そうな名前である。
以下にライガーを撮影した動画を紹介しておこう!
動画のライガーは体重が約400キロ。対するライオンの体重は約150キロで、大きい個体でも200キロ前後だ。トラについては小型のトラで約70キロ、大型のトラだと約300キロと幅があるものの、400キロには届かない。
ライガーはライオンやトラと比べて、かなり大きいのだ。
2013年には「最も大きな存命中のネコ」として、ギネスブックにも認定された。認定されたライガーは体長が3.33メートル、体重は412.2キロ。ネコ科の動物には違いないが…400キロオーバーの巨体をネコと呼ばれると、なんだか不思議な感じだ。
雑学まとめ
今回はメスの馬とオスのロバから産まれた、ラバの雑学を紹介した。馬とロバの長所を受け継いだスーパー動物かと思いきや、生殖能力がないとは…。万能の動物というのは、なかなか生まれ得ないものなのだろう。
ちなみに日本では2019年にシマウマと馬の間に子どもが産まれている。このように大きく違う生き物でも、子どもを作ることができるのだ…。この先どんな新種が生まれてくるのかもまた見ものである。