通勤途中、イヤフォン越しに聴くアップテンポなロックが「今日も頑張るぞ!」という気分を奮起させてくれる。また、ドライブをしながら懐かしのバラードに癒される。
このように日常の中で、私たちの感情は少なからず音楽の影響を受けているはずだ。
音楽が感情に影響することに、科学的なメカニズムがあるとしたらどうだろう。それがはっきりとわかれば、作曲家は聴き手の印象を自由にコントロールすることができるし、聴き手としても音楽をいろんな場面に活用できそうだ。
今回はそんな「音楽」と「感情」に関する雑学に迫ってみた。真相を読み解いていくうちに、音楽が人にもたらす意義深さを実感する結果となったぞ!
【人体雑学】「音楽」と「感情」は共鳴する?
【雑学解説】人は音楽に込められた意図を理解しているだけ
音楽と感情の関係を調べた実験例は少なく、実のところ科学的には未だにはっきりしていない。しかし聴く音楽によって、身体がそれぞれ反応を示すことは明らかになっている。
2008年に兵庫県で行われた実験では、明るくアップテンポな曲では交感神経が優位に、暗く落ち着いた曲では副交感神経が優位になる傾向が示された。ちなみに交感神経は身体を活動的にさせ、副交感神経は身体をリラックスさせる。
これを聞くと「なんだ、やっぱり音楽は感情を生み出しているではないか」と思う人もいるだろう。しかしよく考えてほしい。自律神経は「活動的」・「リラックス」などの身体の状態を表しているだけで、それに対して抱く感情は人それぞれのはずだ。
つまり感情は音楽が直接的に生み出しているのではない。音楽の傾向に脳が反応し、その反応に対する聴き手の感想で生まれるものなのだ。
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【追加雑学①】聴いたシチュエーションを思い出して感情が湧き上がることも
音楽を聴いて湧き上がる感情には、その曲に対する経験が作用することもある。たとえば明るい曲を聴いても、別れた恋人との思い出の曲であれば、悲しくなってしまうことだってあるだろう。
また曲を聴いて気分を盛り上げようと思うのは、同じような曲で盛り上がった経験があるからだ。このように曲に対してあらかじめもっているイメージが、聴いたときの感情に影響するのである。
【追加雑学②】衝撃を受けるのは聴いたことがないから
音楽を聴いていても「楽しい」・「悲しい」のような感情ではなく、「すごい!」という衝撃を受けることがある。これはなぜかというと、自分があらかじめイメージをもっていないものに出会ったからだ。
つまり自分の経験では分類できない曲・聴いたことがない曲だということ。音楽を聴いたときの驚きというのは、感想というよりも「どう言い表せばいいかわからない」と脳が混乱している状態だといえる。
そんな未知のものを「これはどういうことだ」と考察していくのもまた、音楽の醍醐味の一つだろう。
雑学まとめ
今回は、音楽と感情にまつわる雑学をご紹介した。音楽を聴けばたしかに脳はそれに応じた反応を示すが、感情は飽くまでも、脳がその傾向を読み取ったことに対する感想だ。これは感覚としては映画や本のように、経験を疑似体験をしているのに近い。
映画や本が心に影響して、その人の人生を豊かにしていくことはいうまでもない。音楽もまた、それらと同じぐらい有意義な可能性を秘めているのだ。
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