世の中には、さまざまな種類の缶詰がある。
身近なところでいくと果物や魚あたりだろうか。缶ジュースだって缶詰の一種だし、最近ではお酒のおつまみに特化した缶つまなんていうものもあると聞く。
開けるだけでおいしい食べ物や飲み物が手に入る缶詰。常温でも長期保存がきくので、災害時の備えにもぴったりだ。
そんな缶詰が生まれるきっかけをつくったのが、あのナポレオンであるということを小耳に挟んだ。ナポレオンと缶詰。嘘くさくない? というわけで、今回の雑学ではナポレオンと缶詰の関係についてだ!
【食べ物雑学】缶詰の歴史とは?
【雑学解説】食糧補給問題のアイデアから生まれた缶詰
時は1790年頃。ナポレオンは国外遠征を繰り返していた。自国から遠方の国に出向いて戦っていたのだ。
そこで問題になったのが食料の補給である。当時は塩漬け・酢漬け・燻製などの保存食が一般的であったが、これらの食物は味が単調である上、腐敗することも多かったのだ。
そこでナポレオンが携帯食のアイデアを募集したというわけだ。1804年、フランス人のニコラ・アペールが、アイデア募集に応じてビン詰を発明した。しかし、重たい上にビンが割れやすいことが問題となった。
そしてその6年後、イギリス人のピーター・デュランドによって缶詰が発明されたのである。当時の缶詰はTin Canister(チン・キャニスター)と呼ばれる、ブリキ製容器に食品を入れて密封したものであった。
殺菌処理がうまくいかず、中身が発酵してしまって爆発したり、密封時に使用したはんだに含まれる鉛で鉛中毒になる人がでたり、といった失敗もあったようだ。それでも携帯用保存食としては有能だったらしく、船中の非常食や軍用食として重宝された。
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【追加雑学①】缶切りが発明されたのはいつ?
缶詰は密封されているため、開けるには当然缶切りが必要である。しかし、この常識が当初は通用しなかったのだ。缶詰が開発されてから48年間、そこに缶切りは存在しなかったのである。
あれだけ密封された物を作っておいて、それを開けるアイテムを考えないことに驚きを隠せない。しかもその間48年! それまではどのように開けていたかというと、銃剣でこじあける・金づちとのみを使う・銃で撃つなどの方法が用いられていたとのこと。
たかだか缶詰あけるくらいでバイオレンスすぎやしないか。当初は軍用食だったからといって、そんな開け方はないだろう。缶切りを発明してくれたアメリカ人、エズラ・J・ワーナーには感謝しかない。
缶切り必須だった時代から時はさらに流れ、最近ではイージーオープンエンドと呼ばれる、缶切りいらずの缶詰が増えている。そのうち缶切りがいらないことが常識になるのかもしれない。
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【追加雑学②】缶詰に防腐剤は入っている?
缶詰の利点のひとつに、常温で長期保存がきくことがある。そこで気になるのは防腐剤である。常温で置いてもなかなか腐らないとなると、かなりの量の防腐剤が入っているのでは? と思うところだ。
しかし、なんとほとんどの缶詰に防腐剤は入っていない。缶詰が長期保存できるのは、その製造方法にポイントがあるのだ。
多くの缶詰は、缶の中に食物を入れて空気を抜いた状態で密封し、加熱することで作られている。この加熱の過程で缶の中が殺菌され、長期保存がきくようになるというわけだ。また、魚の缶詰を食べて、その骨のやわらかさに驚いたことはないだろうか。それも加熱による恩恵である。
缶詰が長期保存できるのは、密封された状態で加熱殺菌することから菌が繁殖できないためだ、ということがわかった。そのため、開缶した場合には冷蔵庫で保存し、できるだけ早く食することをおすすめする。
【追加雑学③】10月10日は缶詰の日
1871年、長崎でイワシのオイル漬が作られたのが、日本で初めての缶詰といわれている。ただ、これは商業用に作られたものではなく、試作のようなものだったようだ。
商業用缶詰が作られるようになったのはそこから6年後、場所は北海道である。当時から鮭漁がさかんだった北海道に、北海道開拓使石狩缶詰所が建設され、1877年10月10日に鮭缶が生産されたのだ。
初めて缶詰を商業生産した日を記念して、10月10日は缶詰の日となったのである。かつて10月10日といえば体育の日だった。ハッピーマンデー政策によって体育の日という冠は失ってしまったが、10月10日にはまだ、缶詰の日が残されていたのだ。
缶詰の雑学まとめ
缶詰発祥には本当にナポレオンがからんでいた。彼がアイデアを募集しなければ、缶詰の発明はもっと遅れていたのかもしれない。ありがとうナポレオン!
缶詰の魚は骨まで食べられるので、栄養価も高いらしい。ただし、かば焼きや味噌煮の缶詰はカロリーが高めなので食べすぎ注意である。
10月10日は缶詰の日。非常時のために備蓄した缶詰を、1年に1度缶詰の日に入れ替えるのも悪くないかもしれない。これからは缶詰と缶切りの発明に感謝して、缶詰をいただこう。