「大島てるって知ってる?」
こんな質問をすると、だいたい「演歌歌手?」「昔の女優?」といった反応が返ってくる。そんななかでも、この名前を聞いて眉をひそめた人は、おそらく大島てるというサイトを知っている。
そう…「大島てる」とは、全国の事故物件を集め、公開しているサイトである。
一度でもサイトを見たことがある人はわかるだろうが、あのサイトはやばい。まじでやばい。軽い気持ちで見てはいけないサイトだ。
なぜか? 自分が今住んでいる家が事故物件なことが、割と普通にあるからだ。
今回は、そんな大島てるについての雑学をまとめてみようと思う。
ガチの話
当サイト「雑学カンパニー」編集部に所属するテンション高め女子「Cちゃん」の住むマンションが、「大島てる」に掲載されていた…! Cちゃんはもちろん絶叫である。部屋番号は同じではなかったものの、事故物件と同じ階だったことが判明。Cちゃんは引っ越しを検討中…。
\今日からあなたもムダ知識マスターだ!/
人間というのは罪深い!調べたくなるに決まってるっ!
実は・・・私の住んでいるマンションが掲載されているではないかっ!!
引っ越しを検討中だw笑い事ではない。#雑学カンパニー #雑学 #トリビア #生活 #大島てる #事故物件https://t.co/roO5KY2Rwk— 雑学カンパニー (@play_zatsugaku) 2019年5月17日
【面白い雑学】「大島てる」というサイトを使うと全国の事故物件を調べることができる
【雑学解説】事故物件サイト「大島てる」の実態と精度は?
「大島てる」は2005年に開設された事故物件の情報サイトだ。
管理者はもともと複数の不動産を所有し、大家業を営んでいた大島てる氏(本名・大島学)。
大島氏は「事故物件の情報は曖昧にされがちで、所有している大家さえ知らないことがある」という業界事情に疑問を感じ、サイトの運営を始めた。大島てるというネーミングは、大島氏が不動産を譲り受けたおばあさんの名前からだという。
サイトには日本全国、最近では海外の事故物件まで集積されており、登録件数はなんと56,000件以上! 日本だけで49,000件近く掲載されている。
あなたの隣の家が事故物件でもおかしくない数だ…。ということで、さっそくサイトを覗いてみよう。
「大島てる」での物件の検索の仕方
大島てるのサイトを開くと、画像のようにところどころに「炎のマーク」が表示された地図が現れる。この炎マークが事故物件のある場所を示す印だ。トップページを表示した時点では日本地図が全体的に表示され、どの地方に事故が密集しているのかが数字でわかる状態になっている。
ここからさらに地区ごと、建物ごとの詳細が見たい場合は…
- 該当する住所を左下の検索窓に入力する(「新宿」「横浜」などと入れると、さらに具体的な住所を示した選択肢が表示される)
- マウスで気になる地区をクリック、もしくは地図上でホイールを使いスクロールする
これらの操作で地図の縮尺を拡大することができる。
拡大していくと地区ごとに物件情報を見ることができるようになり、その状態から炎マークをクリック。すると物件の詳細が表示されるぞ。
表示される情報は…
- 事故の起こった日時
- 部屋番号
- 死因(自殺・焼死・孤独死などいろいろ…)
- 建物の外観写真
などなど。場合によっては事故が起こった当時の状況などを具体的に見られるものもある。不謹慎かもしれないが、怖いもの見たさ、興味本位で見てみたくなるのは私だけだろうか?
このサイトがヤバいのは、見ているだけで怖いし不安になるのに、見始めるとやめられなくなってしまうところだ。後味悪いしテンションめっちゃ下がるのに見てしまう…。
スポンサーリンク
大島てる活用術
続いては大島てるをどんな風に活用すればいいかを解説していこう。
1.引越し・物件購入時の参考にする
引っ越しや物件購入の際には、ぜひ大島てるを確認してみてほしい。
事故物件は通常より2~3割安い値段で借りられたり、購入できたりするところが多い。少々のいわくつきでもできる限り安いほうがいいという場合は、賃貸サイトよりも目当ての物件を探しやすいのではないか。
もちろん、これから住もうとしている場所が事故物件に該当していないかの確認にも役立てられる。不動産屋に勧められた物件を自分でも確認しておけば、より安心して引っ越しができるだろう。
2. 旅行するときの治安確認
自爆テロや銃乱射など、海外の事故物件・事件も掲載されているので、旅行に行くときの参考にするのもいい。「この地区は治安が悪そうだから近付かないようにしよう」という心づもりをしておくことで、安全な旅行ができる。
ガイドなどでも危険地域については触れられるが、実際にどんな事件が起きているかを知れるという点で、大島てるはよりリアルに現地の事情を体感できるぞ。
【追加雑学①】大島てるに載せられた情報の信憑性は?
大島てるはこの手のサイトのなかでは比較的、信憑性が高いサイトである。どうしてそう言い切れるのか? その根拠として大島てるの管理体制を見てみよう。
大島てるに掲載された事故物件の情報には、以下の2通りがある。
メモ
- サイト管理者が投稿したもの
- サイト利用者が投稿したもの
このうちサイト管理者が投稿した情報に関しては、事実確認をしっかり行ったうえで掲載されている。一方、問題なのは利用者が誰でも書き込める点だ。
近所で不幸な出来事などがあれば、あなたが大島てるに書き込むこともできる。そんな体制を取っていれば、悪意ある書き込みや間違った情報、デマなどは出てきて当然である。
では、大島てるは無法地帯になっているのだろうか?
この点、大島てるでは全国各地にボランティアスタッフを雇っており、利用者が投稿した物件に関しては、時間がかかっても必ず現地調査を行っている。削除依頼があればそのぶん優先的に調査が行われ、結果としてたしかな情報が残っていくという管理体制だ。
この手のサイトで大島てるほど徹底した体制が取られているものは類を見ない。そういう意味で、やはり信憑性は高い部類に入る。
間違った情報が載せられることもあるが…
タイミング的にデマやイタズラの投稿が載ってしまうことも避けられないが、この点は利用者自身で見極められるポイントでもある。サイトに掲載されている情報のなかでも、デマほど詳細が記載されていないケースが多いからだ。
つまり…
- 詳細に情報が載せられている=現地調査が行われている
- 詳細が不明瞭=未調査の可能性が高い
と、情報の信憑性を判断できる。
たとえば死因に関して、「自殺」や「飛び降り自殺」など、端的な情報しか明記されていない場合、詳細な調査は行われていない可能性が高い。
一方、事故発生時の状況、マンションの階数や「情報開示したくない」という、家主の対応などが載せられているようなものは、スタッフが調査した可能性が高いと考えられる。このほか写真の有無も、現地に赴いているかどうかの判断材料になる。
また管理者の大島てる氏は、内見の際に以下の条件に該当すれば事故物件の可能性があると、インタビューにて解説している。サイトの物件情報と、内見の際のこれらの状況を合わせて信憑性を判断するようにしよう。
- 同じ建物で一室だけ、またはキッチンやバスルームなど、一部だけがリフォームされている(事故でその部分だけが汚れてしまった可能性がある)
- 周辺に比べて家賃が安すぎる
- マンション名の変更があった(「○○というマンションで事故があった」という噂を風化させるため)
- 前の借主が期間限定で契約している(事故物件であることを理由に、期間を限定して安く貸し出すケースが多い)
連日大量に投稿が行われている関係上、管理者もすべてに即時対応することは不可能だ。また、いくら実地調査をしても、個人情報保護の関係から、警察や遺族から情報を得ることはほとんどできず、地域の人への聞き込みに頼らざるを得ない部分もある。
利用する側にも、情報を鵜呑みにしないリテラシーが問われるサイトなのだ。
不動産会社・大家からのクレームも多い?
ここまで信憑性の高い管理体制を取っていれば、やはり黙っていない人間も出てくる。不動産会社や大家だ。
「大島てるで事故物件となっていたので、賃貸契約を解除したい」と借主から申し出られることも実際にあり、不動産会社や大家にとっては死活問題となる。そのため物件の管理者から「削除しろ」というクレームが寄せられることも多いのだ。
この点に関してサイト管理者である、大島氏はどう考えているのか、本人のコメントを抜粋してみよう。
「(不動産業者の中には瑕疵があるにも関わらず)告知事項もないままに売ったり貸したりする人がいるから。事故物件をあの手この手で隠す、真実を隠蔽する、そのことで利益を得ている大家や業者がいるということは伝えていきたい」と話す。(私を訴えてくる大家の方が幽霊より怖い」 東大卒・大島てるの"事故物件人生)
不動産業界には、事故物件を隠蔽して販売しようとする事実がある。事故物件の告知義務は非常に曖昧なもので、それを告知せずとも法には触れないケースが多いためだ。
たとえば…
- 何年も前の事故だから告知しなくてOK
- マンション共用部での事故は告知しなくてOK
- 孤独死や高齢による死亡は自然的なものなので告知しなくてOK
などなど。
このはかにもいろいろあるが、いずれも気にする人からすればいい気はしない。大島氏はサイトを通じて、そんな業界の闇と戦っているのである。
家主たちは事故物件の情報が事実だからこそ「削除しろ」と騒ぐ。彼らが必死になるほど、サイトの信憑性も高いということだ。
一方、大島てるの情報をいい意味で活かしている不動産業者、大家もまたいる。
事故物件の情報は、「これぐらいなら、報告しなくていいか」という判断で、大家間、不動産業者間のやり取りでも共有されていないことが多い。
そのため、「知らないうちに事故物件を売っていたなんてあってはならない」という考えで、大島てるを利用している業界人もたくさんいるのだ。業者によって反応はさまざまだが、いずれにしても大島てるが不動産業界の事情を好転させていることは間違いない。
スポンサーリンク
【追加雑学②】「大島てる」に削除依頼を出したい!
記事を見ている人のなかには、ひょっとすると「自分の所有物件が大島てるに載っていた! 事故なんて起こっていないので消してほしい!」という人もいるかもしれない。そういう人のために、大島てるへの削除依頼の方法についても解説しておこう。
削除依頼の方法は、物件の詳細ページで情報を削除してほしい旨をコメントをするだけ。入力項目は…
- コメント
- 名前(本名でなくてもOK)
- メールアドレス
- パスワード
のみ。面倒な手続きは一切不要である。このとき、どういう部分が間違っているのか、間違っているという根拠なども説明できる範囲で残しておけば、サイト側もより迅速に対応しやすいだろう。
大島氏は「削除・訂正依頼は絶対に無視しない」ということをポリシーにしており、依頼のあった投稿に関しては、管理者が確認し次第非公開にされ、詳細の調査が行われる。
コメントの確認、調査などには時間を要することも多いが、結果、事実ではないと判明すればそのまま投稿が削除される。
ただし…情報が事実である場合、いくら所有者が「告知義務には触れていない事故だから載せないで!」と依頼しても、投稿が削除されることはない。前述したように、大島氏が「どんな事情があっても事故があった事実を隠されては、借手としていい気はしない」という考えだからだ。
事務所に削除依頼の手紙を送るのも◎
もし事実ではないにも関わらず、削除依頼が受け入れてもらえなかった場合、次の段階としては、大島てるの事務所に直接、削除依頼の手紙を送るという手もある。
書面には以下の情報を記載して送ろう。
- 差出人の情報
- 情報が間違っているという根拠
- 情報が掲載されている物件の住所
- 掲載ページのURL
このとき、普通に手紙として送るのではなく、書留などで送れば、先方に「重要事項が書かれている」と認識してもらいやすい。コメントよりも取り合ってもらえる確率は高まるだろう。
それでもなお削除に応じてもらえない場合は、法的処置を取る段階として弁護士さんに相談することになる。こうなると一気に気軽な話ではなくなってしまうので、よく考えたうえで対応してほしい。
【追加雑学③】大島てる氏が経験したやばい・怖い物件まとめ
事故物件といわれると我々は脊髄反射的に霊的なものを想像してしまう。しかし考えてみれば人間、誰しもいずれは死ぬものだ。事故が起こっていたとして、安易に「呪われる!」などと騒ぎ立てるものではないこともまた事実である。
ただ…大島てるの管理者・大島氏のように20年近く事故物件の調査をしていると、何か良からぬ力が働いているとしか思えない、やばい物件に出くわすこともあるようだ。以下よりいくつか事例を紹介しよう。
1か月のあいだに相次いで不幸に見舞われた一軒家
2010年ごろの話、神奈川県のある一軒家で起こった不可解な事件を、大島氏は目の当たりにした。
この一軒家では、祖母・40代の母親・20代の息子が3人で暮らしていたが、あるとき母親が死亡。これについて警察が事情聴取をしたところ、息子である20代の男性が「首を絞めて殺した」と自白した。
しかし司法解剖の結果、母親の死因は急性心不全で、首を絞められた跡など残っておらず、結局は病死だと判断されたのだ。
…なぜ、男性は「首を絞めた」などと供述したのか? と、関係者の誰もが不思議に思っていたところ、それから1週間後に事件は新展開を迎える。なんと同じ男性が今度は「祖母の首を絞めて殺した」と、警察に自首してきたのだ。
このときは実際、男性の祖母がマフラーで首を絞められ、殺されている。母親を亡くしたことで今後の生活に不安を抱えたふたりが口論になり、その末の犯行だったのだとか…。
挙句、男性が逮捕されて空き家になった一軒家は、その後すぐに放火に遭い、全焼してしまう。こうして一か月のあいだに、この一家は建物を含め、全員が悲劇の道を辿ることになってしまったのだ。
なんにせよ…最初に母親が亡くなったときに男性が「首を絞めた」と供述したことが、後に起こる事件を予期していたかのようで気味が悪い。彼は何者かに憑りつかれていたのか…?
4年間で入居者が4人亡くなったアパート
大島氏が「事故物件の聖地」と呼ぶそのアパートは、3階建てで各フロア1部屋ずつほどの居住空間が設けられている小さな物件。
このアパートではなんと、
- 屋上で住人が首つり自殺
- 3階で住人同士が口論になり、ビール瓶を凶器にした殺人事件に発展
- 1階に住む大家が2階の住人に刺殺される
- 大家を刺した住人が逃亡の末、埼玉の山奥で自殺
という一連の事件が、わずか4年のあいだに立て続けに起こっている。結局、住人のすべてが死亡、もしくは逮捕の道を辿り、アパートはもぬけの殻となってしまったわけだ。
大島氏はこうした同じ物件で何度も事件が起こるケースに出くわすことが稀にあり、そのたびに霊的なものを感じずにはいられないと話す。やっぱりそういうの、マジであるのかな…?
以下の動画でも、大島氏本人が同じ物件で死亡事故が相次いだ事例を語っている。エリア的にそういう物件が固まっているところもあるようだ。
事件当時の状況がリアルタイムで書き込まれることも…
なお、少し"怖い"の種類が異なるが、2017年に世間を騒がせた座間9遺体事件(アパートの同室に9人のバラバラ遺体が遺棄された事件)が起こった際は、この部屋の隣人と思わしき人物が当時の状況を書き込み、話題となった。
その内容は「異臭が漂っている」「警察や報道陣が出入りしている」といったもの。利用者が自由に投稿できるという点で、こういう生々しい実情が露わになるケースもあるのだ。
なお、現在は現場の物件情報を見てもこの書き込みは見当たらず、座間9遺体事件の現場ということだけが書かれている。
雑学まとめ
今回は事故物件情報サイト「大島てる」の雑学を紹介した。
怖いけど思わず覗いちゃう大島てる。管理体制も行き届いており、信憑性が高いからより怖い…。
しかし、いくら徹底した調査が行われているとはいえ、管理者もまた実際に事件を目の当たりにしているわけではない。やはり最終的にはあくまで情報のひとつとして、自分の目で判断することが大切だ。
怖いとおびえるも、家賃が安くてラッキーと思うも、怪談話として面白がるも、全部その人次第。あなたなりの使い方で大島てるを活用してほしい!