日本人に避妊の手段を聞けば、一番に挙がるのはコンドームでしょう。しかし海外へ行くと少し事情が変わり、一番普及している避妊法は女性がピルを服用することです。
ピルはある意味で、コンドームを使うことよりも手間がかかりますから、これは海外諸国の避妊意識の高さを物語っているように映ります。日本の性教育は遅れているといいますしね…。
ただ意外なことに、これはコンドームのもつ避妊以外の効果が世界的に軽視されていることも表しています。海外の人はピルを飲んでいても、コンドームをしない人が多いのです。
【性の雑学】海外のコンドーム事情はどうなってる?
海外では避妊は女性主導で行うもの。コンドームよりピルが主流
ピルは女性の身体を擬似的に妊娠しているような状態にすることで、排卵や精子の侵入を制御する避妊法。
産婦人科などで処方してもらう必要があり、日常的に服用しなければいけないなどの側面から、日本ではまだまだ浸透していないのが現状です。
それに対し「リプロ・ヘルス情報センター」で公開されている、アメリカを初めとする海外諸国の避妊事情を見てみると、コンドームよりピルを使っている人が圧倒的に多くなります。
アメリカ・イギリスでは、10代~30代でピルを常用している人に対し、コンドームを使っている人の数は半数ほど。ドイツではさらにコンドームの割合が減り、ピルの5分の1ぐらいしかコンドーム使用者がいないことがわかります。
これは「避妊は女性主導で行うもの」という価値観からくるもので、一般的に男性が用意するものであるコンドームには頼らないという意志の表れでしょう。
さらに2017年にアメリカのSuperdrug Online Doctorが行った調査では、聞き込みをした2,000人のうち「セックスでコンドームを使わないことがある」と答えた人はアメリカで65.5%、ヨーロッパで55.1%と非常に高い数字を示しました。
いかにも「ピルを飲んでいるからコンドームは使わなくていい」と、たくさんの人が思っていることを物語る結果ですね。
ピルの避妊率は99.8%で非常に高いもの…しかしその避妊率にかまけて、コンドームのもうひとつの大切な役割を、多くの人が忘れてはいないでしょうか?
1日100万人…依然として減らない性感染症はどう捉える?
コンドームの避妊以外の役割とは、そう、性感染症の予防です。
2019年6月WHO(世界保健機構)は、年間で約3億7600万人の人が新たにクラミジアや淋病、梅毒といった性感染症にかかっているという統計を出しました。
これを1日あたりで計算すると、毎日100万人以上の感染者が生まれていることになります。
いかにも恐ろしい数字ですが、それより問題視しなければいけないのは何年もこの状況が変わっていないことです。
WHOは2015年12月にも同じように統計を取り、その際は年間3億5700万人という数字を記録していました。
レッドリボン運動など、国際的に性感染症予防を推進する動きがあるにも関わらず、性感染症は減るどころか増えているぐらいなのです。
ピルを飲めば避妊はできますが、性感染症は防げません。性感染症を予防できる避妊具は、コンドームだけです。
世界を取り巻くこの状況を改善するためには「ピルを飲んでいるからコンドームはいらない」という認識を変えていく必要があります。日本からでも、個人からでもできることはあるはずです。
ピルを取り入れるのもいいけど、女子もコンドームを持つべき!
たとえば避妊にコンドームを使うのが一般的な日本でも、「コンドームは男性が用意するもの」という認識が強く、女性は持っていることに抵抗がある人がまだまだ多いです。
海外諸国のような女性が避妊の主導権をもつ意識は、日本人にも必要なこと。ピルを飲むのもいいですが、そこから一歩進んで女性もコンドームを常備し、日本人のもつ「女性がコンドームを持っていることは恥ずかしい」という意識をなくしていきませんか?
女性がコンドームを持っていることが普通になれば、ずっと変わっていない性感染症事情だって変えることができるでしょう。男性が忘れたもしもの場合だけなら、取り出すのも恥ずかしくないはずです。
ジェクス社の「グラマラスバタフライ」やオカモトの「ラブドーム」など、女性も手に取りやすいパッケージのものもあるので、興味が湧いた人はチェックしてみてください。まずはお店より、Amazonなどネット通販で買うほうがハードルが低くておすすめですよ。
雑学まとめ
アメリカやヨーロッパなどの海外諸国では、日本よりも女性の避妊意識が高く、多くの人がピルを常用しています。しかしその一方で、性感染症に対しては認識が浅く、コンドームの使用率が低い現実がありました。
性感染症になれば最悪の場合、死んでしまったり、不妊症になったり…望まない妊娠をするのと同じくらい、あるいはより怖い結果が待っています。個人からでも、コンドーム着用の意識を高めていきましょう。