キュートな容姿と愛らしい動きで大人気のペンギン。キャラクターのモデルにも引っ張りだこで、まさに動物界で1、2を争うアイドルっぷりだ!
その人気の秘密にはやっぱり、あの短い足でのよちよち歩きが外せない。水族館や動物園で見かければ思わず笑みがこぼれてしまう可愛さである。
しかし…「ペンギン=短足」のイメージは、実は間違っていることをご存知だろうか。ペンギンの足は、予想外に長い。長けりゃあんなよちよち歩きにはならないって? これにもいろいろ事情があるのだ。
今回はそんなペンギンの実は長い足の雑学をお届けしよう!
【動物雑学】ペンギンの足は意外と長い
【雑学解説】普段見えているペンギンの足はほんの一部
ペンギンの骨格をみると、足を体内で折り曲げて体育座りのような体勢になっていることがわかる。
鳥の足には、人間でいうかかとから足の甲にあたる「ふしょ骨」という部分が存在する。このふしょ骨から上の部分は体内に隠れている事が多く、私たちが鳥の足として認識しているのはそれより下、ふしょ骨からつま先までの部分でしかないのだ。
たとえばスズメのような小さな鳥にしても、足がすごく短いように見えるが、体長とほぼ変わらない長さの足が折り曲げられ、体内に隠れている。
どんな鳥でも、フラミンゴのような長い足を折りたたんで体のなかにしまっているわけだ。ペンギンにしてみても、体長の約3分の1にもなる長さの足が、体内に隠されているぞ!
盛り上がってるTLに何となくペンギンの骨格写真を投下してみる pic.twitter.com/vqOmMcjHH4
— 海と骨@博ふぇす延期しました (@openthepkk) October 5, 2013
鳥類の足がこういう仕組みになっているのは、空を飛ぶためだ。着地するときに衝撃を和らげるのに、ある程度の足の長さが必要なのである。
そういえば、人間がジャンプして着地するときだって、膝を折りたたんでクッションにしなければ、怪我をしてしまうよな。
ペンギンは空は飛ばないよ! という声が聞こえてきそうだが、ペンギンの祖先は空を飛んでいたというし、その名残による部分もあるのかもしれない。
ペンギンは寒さに耐えるため特にふしょ骨が短い
さて、鳥はのなかでもペンギンは特にふしょ骨が短い。これは体外に出ている末端の部分が少ないほうが熱が逃げにくいという、南極で生活するための知恵である。
外に出ているふしょ骨が短いから、足が余計に短く見えてしまうわけだ。
人間でたとえるなら、しゃがみ込んだ状態で足ごとセーターで覆うような感じ。こんな体勢になったら人間でもよちよち歩きになってしまう。
大人のペンギンだと長い足は完全に隠れて見ることができないが、産まれて間もない赤ちゃんペンギンは皮下脂肪が少ないので、足の骨格がよくわかるぞ!
実際にペンギンの赤ちゃん動画で確かめてみよう。
たしかに! 横っ腹あたりに折り曲げた膝のような形が見える!
体内に隠した骨は水中でも活躍する
足の骨が体内に隠れていることは、ペンギンが水中を泳ぐ手助けにもなっている。まず長い足が体外に出ていたりすれば、泳ぐときは単純に邪魔である。
そしてここからが重要な部分。ペンギンの骨はほかの鳥類より重く、太く進化した。
丈夫な骨を折りたたんで体内にしまっていることで、まるでテントを支える骨組みのようになり、水のなかを泳ぐときも水圧に耐えうる身体になっているのだ。
太くて重い骨ならなおのこと、陸上での動きはよちよちになってしまうよね。
ちなみにペンギンでも特に泳ぐのが速いアデリーペンギン・ジェンツーペンギンなんかは、時速30~40kmもの速度で泳ぐ。それに加えて水深は90mもの深さまで潜るというから、そりゃあ頑丈な骨格も必要になるわけだ。
以下の動画で、華麗に泳ぎ回るペンギンを見ることができる!
鳥なのに水中でのポテンシャルは魚レベル! すごいぞペンギン!
【追加雑学①】ペンギンの足は凍らない
ペンギンといえば南極、南極といえば氷、氷といえばペンギン!
そう、ペンギンは南極の氷の上で生活しているわけだが、素足で氷上生活とか考えただけでも足が凍ってしまいそうだ。というか氷にひっついて足が上がらなくなりそう…。
でも、現にペンギンは氷の上を素足で普通に歩いている。実はその理由はペンギンの血管にあるのだ!
まずペンギンは心臓で作った温かい血液を、一番最初に足の裏に送る。
そしてペンギンの足には動脈と、それを取り囲む形の静脈が密集している。動脈を流れる温かい血液が、静脈の冷めてしまった血液を温める仕組みになっているのだ。よって足の裏はいつもホカホカ! このおかげで、凍ることはないのである!
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【追加雑学②】ペンギン行列の理由は生存本能
動物園のイベントやテレビのドキュメンタリー番組などで、ペンギンが一列になって行進する姿を見たことがある人は多いはず。行列になってよちよち歩く姿はとってもキュートだ!
しかしそんな可愛い行列も実は、ペンギンたちが厳しい環境で生き抜くための行動である。ペンギンが列を作る理由は大きくふたつ。
- 氷上の落とし穴・クレバスを避けるため
- 海に飛び込んだときの天敵から身を守るため
なるほど…いずれも危険を回避する手段なのか。赤信号、みんなで渡れば怖くない的な? 以下より詳しく理由をみていこう。
氷上の落とし穴・クレバスを避けるため
クレバスというのは、氷の裂け目に雪が積もってできた天然の落とし穴のこと。柔らかい雪の部分を踏んでしまえば、裂け目のなかに真っ逆さまである。それによちよち歩きのペンギンのことだから、いかにも引っかかりそうだ…。
そこで行列が役に立つ。一列になっていれば最初のペンギンが落ちてしまっても、残る後続のペンギンはクレバスを避けて通ることができる。
…要するに先頭のペンギンは身を挺した偵察係。悪く言えば毒見役だ。
海の天敵から身を守るため
ペンギンは狩りをするときも行列を作る。海の中にはシャチやアザラシなどの天敵が潜んでいるため、それらから身を守るためだ。
みんなで団結した戦うのかって? そんなことしたってペンギンに勝ち目はない。クレバスと同じで、今度も先頭のペンギンが偵察係になるのだ。
最初に飛び込んだペンギンは天敵の餌食になってしまうが、他のペンギンはそれを回避できる。
先頭のペンギンは可哀そうと思うかもしれないが、人間社会でも危険を承知で新しいことにチャレンジする人を「ファーストペンギン」と呼び、その勇敢さを称える。
下手すれば群れが壊滅してしまうことを考えれば、一匹の犠牲はいたしかたないのだ…。南極厳しい…。
【追加雑学③】南極で子育てをするペンギンは2種類しかいない
ペンギンはなんとなく、みんな南極に生息してるイメージがある。たしかに南極大陸には何種類かのペンギンが生息しているが、実際にずっと南極大陸で生活し、子育てをするペンギンは実のところ、2種類しかいない。
それ以外はけっこうみんな、南極以外にも暮らしているのである。以下の2種類が南極で子育てをするペンギンだ。
- コウテイペンギン
- アデリーペンギン
コウテイペンギンは現在地球上でもっとも大きなペンギンで、体長は1m以上。ペンギンを思い浮かべたら、まずコウテイペンギンが出てくる人も多いはず。産卵で疲れたメスを気遣って、オスが子育てを引き受ける姿はとても感動的だ…。
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アデリーペンギンの特徴はなんといってもそのくりくりの目! アイリングという縁取りが目の周りにあり、実際の目よりも大きな瞳に見えるのだ。人呼んで化粧詐欺ペンギンである。
動画で見てみよう。アデリーペンギンは動きが機敏でとってもアグレッシブだ!
暖かい場所にもペンギンはいる
さて、南極以外に住んでるペンギンってどんな? と思うところ。実はけっこう暖かい地域にも、ペンギンは住んでいるぞ!
赤道直下のガラパゴス諸島で繁殖するガラパゴスペンギン。
さらに南アフリカのビーチでは野生のアフリカペンギンに急接近できちゃう!
青い海、白い砂浜、そこにペンギンが! なんとも不思議な光景だ…。
雑学まとめ
今回は実は長いペンギンの足の雑学に始まり、ペンギンにまつわる雑学をいくつかお届けした。
鳥なのに空を飛ばないペンギンは、とっても不思議な身体をしている。そのほとんどが、過酷な環境で生き抜くための知恵の結晶だった。ペンギンはカワイイ振りして、やっぱり割とすごいヤツなのだ!
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