ピラニアと聞くと川に入った牛をあっという間に骨にしてしまうというイメージをもつ人もいるのではないか。牛が骨だけになるというのは映画のイメージだが、実物のピラニアも鋭い歯をもっており、狂暴そうなイメージにかわりない。
しかし実は、ピラニアは臆病な魚で気が小さいことがわかっている。そのためピラニアは団体で行動するらしいが、なんと人間が水の中に入ったら逃げていくという。ピラニアは人間を襲ったことがないという話まであるのだ。本当なのだろうか…。
今回はそんな、ピラニアにまつわる雑学を紹介していくぞ。
【動物雑学】ピラニアには人を襲う勇気はない
【雑学解説】ピラニアは人が近づくと逃げ出す?
ピラニアというと狂暴で非常に恐ろしい魚というイメージ。
ピラニアの先祖のメガピラニアは雑食で、狂暴なサメの代表格であるホホジロザメに負けないほど噛む力が強かったと考えられている。
ピラニアは完全な肉食の魚でネズミのような小動物や小型の魚を主な獲物としており、興奮すると水面が泡立つほどの勢いで獲物に群がることは事実だという。
この様子が誇張されて、大型の動物が短時間で骨になる映像を生んだと考えられる。しかし、ピラニアが狂暴な魚というのは完全に誤りである。
ピラニアは臆病で単体行動を避け、自分より大きなものを見るとすぐに逃げ出してしまう。ピラニアがいる水の中に人間が入ってもほとんど危険はないという。
上の動画はピラニアに手で餌付けを行う映像だ。ただし、大きな動物でも死体を食べることはわかっているので、人間にとって全く危険がないとは言い切れない。
特に血の匂いと水面の音に敏感なため、血を流した動物が音を立てるとピラニアの群れが大挙することもあるという。
人がピラニアに殺されたという話はない
人間がピラニアに殺されたという話はないようだ。大型のピラニアがアルゼンチンのパラナ川で大量発生し、人を襲ったという記事がある。
ただし、人間に噛みついたのが本当にピラニアかどうか確認は取れていない。死人も1人もいないという。また、この川で人が魚に噛まれること自体滅多にないらしい。
ちなみにピラニアはタンパク質が豊富で、現地では食料として重宝されているという。日本にもピラニアを出す料理店が存在している。
またピラニアの歯は大きく切れ味が良いため、刃物として利用される。散髪に使われることもあるそうだ。
【追加雑学①】ピラニアの祖先は草食だった?
ピラニアは間違いなく肉食の魚ではあるが、先祖は草食の魚だと考えられている。ピラニアは1000万年ほど前に存在したメガピラニアから進化して肉食になった。
メガピラニアは、草食のメチニスの仲間が進化したものと考えられている。
上の動画はメチニスを撮影したものだ。姿がピラニアに似ていることがわかるだろう。メチニスは観賞魚として飼育されている。
また別の魚と一緒に水槽に入れても問題のない温和な性格で知られている。ただし、メチニスよりも大きな魚を同じ水槽に入れない方がいいという。そのような臆病な点はピラニアと似ている。
ピラニアが臆病なのは、草食だった先祖と性格が似通っているからと考えられているのだ。
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【追加雑学②】アマゾンにはピラニアより危険な生物がたくさんいる
ピラニアが生息している川で、一番メジャーなのはアマゾン川だろう。ピラニアは危険な魚ではないが、アマゾンには魚類も含めて危険な生物が非常に多い。
淡水に生息するオオメジロザメ・蛇の中で世界最大級のアナコンダ・ネコ科の猛獣ジャガー・危険な伝染病を媒介する虫であるサシガメなどが生息している。どれも人間にとって命にかかわる危険な生物だ。
魚類ではピラニアと並んで有名なデンキウナギがいる。デンキウナギはワニを感電死させることがあり、アマゾンの生態系でも上位に位置するという。また、毒針をもつ淡水エイも非常に危険だ。
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しかし、人間にとって一番恐ろしいイメージをもたれるのは、殺人魚と呼ばれるカンディルだろう。下の動画はカンディルを撮影したものだ。
カンディルは、ナマズの一種で大きなものでも30cmにしかならない。ピラニアよりも小型の魚である。しかし皮膚を食い破ったり、獲物の体にある穴から侵入して体内を食い破るという実に恐ろしい魚である。
体にトゲが生えており、一度体内に侵入するとトゲのせいで簡単に抜くことはできない。人間の体内深くに侵入したら、手術しない限り助からないといわれている。
アンモニアに反応するため尿道から侵入するという俗説があるが、これは間違いらしい。尿道に入った実例がないのが救いだろうか?
雑学まとめ
ピラニアはあまり危険な魚ではないという雑学についてご紹介した。非常に臆病な魚なので、ピラニアが人間を襲うことは基本的にはありえないだろう。
ただし、血の匂いに興奮することはことは間違いなく、傷を負った人間がピラニアに噛まれない保証はない。とはいえ、ピラニアの住む川にはより危険な魚が生息している場所が多い。
特にアマゾン川には、ピラニアよりはるかに恐ろしい生物が生息している。それらをより警戒するべきだろう。アマゾンではピラニアを恐れること自体がナンセンスなのかもしれない。