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100万巻も!?世界で一番古い印刷物は法隆寺にある【百万塔陀羅尼経】

雑学カンパニー編集部

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世界一古い印刷物は法隆寺にあるという雑学

百万塔陀羅尼

最古の木造建築として、ユネスコの世界文化遺産にも登録されている「法隆寺」は、まさに日本が世界に誇れる寺院である。そして法隆寺の「最古」という記録は、建物そのものだけには留まらない

なんでも法隆寺には、世界一古い印刷物があるというのだ。これは暗に、印刷技術を最初に編み出したのが日本人だということも表している。一体どのようにして、何を印刷したというのだろう…。

今回はそんな、日本が誇る世界最古の印刷物のトリビアに迫った!

【歴史雑学】世界一古い印刷物は法隆寺にある?

秀吉くん
法隆寺には世界最古の印刷物があるんっすか?
信長さん
そうだ。これは奈良時代の『百万塔陀羅尼経(ひゃくまんとうだらにきょう)』というもので、孝謙(こうけん)天皇が戦死した兵を弔って国の平和を願い、6年もの歳月をかけて100万巻印刷したものなのだ。

【雑学解説】約6年間で印刷した数は、なんと100万巻!

約6年間で印刷した数は、なんと100万巻!というトリビア

法隆寺に所蔵されている、世界最古の印刷物とは「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとうだらに)」と呼ばれる代物だ。

百万塔陀羅尼とは、奈良時代に法隆寺に奉納された仏教品である。その様相は、木で作られた小型の塔のなかに経文を納めたもので、一見すると木彫りの置物のような感じだ。

木製の小塔に納めた経文を「陀羅尼」といい、その塔を100万基作ったことから「百万塔」の名前が付いたのである

百万塔陀羅尼を発願したとされる人物は、764年の「藤原仲麻呂の乱(ふじわらのなかまろのらん)」を鎮めた孝謙天皇だ。

孝謙天皇は、乱を鎮圧した際に戦死した兵のとむらいと、国が平和であることを願って、約6年の歳月をかけ、陀羅尼を100万巻印刷したとされている。国民の幸せを願う、その想いの強さには感服させられる。

信長さん
ちなみに孝謙天皇は女性で、歴史上6人目の女帝だったのだぞ。

百万塔陀羅尼はどうやって印刷された?

百万塔陀羅尼はどうやって印刷された?というトリビア

気になるのは、現代のような印刷機器のない奈良時代に、どのようにして100万巻もの経文を印刷したのかということだ。

これには諸説あるようだが、一説では、文字を彫りぬいた版の上に、紙を載せて印刷したとされる。このとき使われた紙は「キハダ」という樹木の皮で染められたもので、これには虫食い防止の効果がある。

また大量の印刷をしなければならないことから、印刷に使われた版には、木製の版を大量に作ったとする説、あるいは消耗に耐えられる銅製の版を使ったとする2つの説がある

印刷された陀羅尼は小塔に納めた形で10万基ずつ、10カ所の寺院にわけて奉納したとされる。時代が進むにつれて火災で焼失する、紛失するなどで数は減っているが、現存するものは法隆寺や博物館などに所蔵されているのだ。

印刷業の創始者といえば、15世紀に活版印刷を発明した「ヨハネス・グーテンベルク」だが、それよりずっと前の古代の日本で大量の印刷物が出回っていたのである。いにしえの技術にあらためて驚いてしまうエピソードだ。

以下の動画にて、法隆寺の様子も紹介しておこう。年季の入った仏像などが、その歴史の長さを物語っている。

秀吉くん
法隆寺って渋いっすよね。歴史感じるっす!

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【追加雑学①】「百万塔陀羅尼経」よりも古い印刷物が発見された?

世界一古い印刷物と称された「百万塔陀羅尼」だが、法隆寺の時代よりも古いとされる印刷物が、韓国の仏教寺院で発見された。その寺院が、韓国東南部の慶州市(キョンジュ)にある「仏国寺」だ。

1966年、寺院の釈迦塔(しゃかとう)の内部から、法隆寺の百万塔陀羅尼の時代よりも20年古いと考えられる、8世紀前半の「無垢浄光大陀羅尼経(むじょうこうだいだらにきょう)」という経文が発見された

この経文が注目を集めたのは、印刷された文字に、中国武周の女性皇帝・武則天(ぶそくてん)が作った「則天文字(そくてんもじ)」が使われていたからである。

武則天の即位期間は、690年から705年までで、則天文字はそこから9世紀半ば頃まで使われていた。仏国寺の釈迦塔(しゃかとう)が751年に創建されたという事実と合わせて、この経文は、その期間に刷られたものだと考えられているのだ。

ただ、日本の識者のなかには、この時代に刷られたとすることに疑問を唱えている人もいる。また2007年には、韓国の調査チームによって、11世紀前半に刷られたものではないかとの研究結果が出されていたりと、最古の記録は断定できない状況にあるのだ。

信長さん
つまり、今のところはやはり世界最古の印刷物は法隆寺にあるということだな。

【追加雑学②】「金剛力士像」の別名は、あの慣用句に関係があった

「金剛力士像」の別名は、あの慣用句に関係があったというトリビア

金剛力士像

国宝に指定されている「法隆寺・中門」には、「金剛力士像」が安置されている。この力士像のことを「阿形(あぎょう)」・「吽形(うんぎょう)」と呼ぶことをご存知だろうか。そう、慣用句の「あうんの呼吸」と関係する呼び名をもっているのだ。

「あうんの呼吸」とは、それぞれの人間が一緒に物事をおこなうとき、お互いのタイミングが一致することをいう。要するに息が合っているということだ。…かといって、これは金剛力士像が息ピッタリの名コンビという意味ではない。

秀吉くん
僕と信長さんも『あうんの呼吸』っすよね!
信長さん
何言ってんだお前…。

「あうん」の「あ」とは、万物の始まりを示し、「うん」は万物の終わりを表している。これは人間が口を開けて最初に出てくる音が「あ」、最後に出てくる音が「ん」であることからだという。つまり、2つの像は始まりと終わりを表しているのだ。

息が合うという意味の慣用句に使われたのは、それぞれ口の形を表した言葉が、呼吸を表すのと同義だとされたことからである。

像を見分けるには、口元を注意深く見ればいい。口を開けているのが阿形、口を結んでいるのが吽形である。ちなみに狛犬などにも阿形・吽形は存在する。

雑学まとめ

100万巻も!?世界で一番古い印刷物は法隆寺にある【百万塔陀羅尼経】という雑学まとめ

現代から1000年以上も昔に、百万塔陀羅尼のような印刷物が存在していたというのはすごい話だが、何より100万部も印刷したという辺りが、常人の発想を超えている。

時代がいくら進歩しようと、あらためて歴史をひも解くと、驚かされる事実が次々に出てくるものだ。単に私たちが知らないだけで、古代には現代にも劣らない高度な文明がまだまだ存在するのかもしれない

秀吉くん
大昔のことなんて僕らわかんないっすもんね。いや~歴史はロマンっすよ!
信長さん
そうだな。これからもいろいろな驚くべき発見があるだろうな。

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